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4.静水に咲く
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その後、義勇は毎日茉子の元を訪れた。
茉子は任務には行かず、蝶屋敷で他の隊士の治療などにあたっていたが、毎回、人目も憚らず茉子の前に現れ「体調は?」と聞くので、隊士たちは気を遣ってしまうのだった。
そしてその様子を一部始終見ていたしのぶは、笑いを堪えるのに必死だった。
ある日。
「茉子」
蝶屋敷のいつもの一角にいた茉子に、義勇は声をかけた。
「毎日ありがとうございます。体調ならもうだいぶ……」
「刀を見せろ」
「……かたな?」
思いもよらない問いに、茉子は首を傾げた。
(そういえば、あの戦いの日から見てない……)
茉子は、鞘におさまったままの刀を出し、そっと取り出す。
義勇はその刀を手に取り、日の光りに当てた。
ほんの僅か、眉が寄る。
「……亀裂が入っている」
「……?」
茉子は義勇の元に寄り、目を凝らして刀を見た。しかし、変化はよくわからない。
「……折れるぞ」
「……え?」
義勇は、刀身をそっと指でなぞる。
労わるかのように。
「俺はこれから刀鍛冶の里に行く予定がある。お前の刀も預かっておく」
(刀鍛冶の里……)
聞いたことがある。
しのぶも度々向かっていたことがあるからだ。
その場所は極秘なのだという。
一般の隊士はあまり出入りしない場所だが……
「……来たいなら、胡蝶にも話すといい」
義勇はそう言って、視線を落とす。
「……療養にもいい」
淡々とした物言い。
けれど、それは“ついで”のように見せた、明らかな提案だった。
次の瞬間には、もう背を向けてスッと消えていった。茉子の日輪刀だけを持って。
(……行ってみたい…けど、いいのかな……?)
茉子はぼんやりとそんなことを思いながら、気づけばしのぶの元へと向かっていた。