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3.隣に立つ理由
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義勇は、蝶屋敷を出て自分の家へと向かう。
茉子の乱れた呼吸。
血を流し、自分の腕の中で必死に息を探していた姿。
全てが鮮明に脳裏に焼き付いていた。
間に合わなかったら、どうしようかと思った。
自分でも驚くほど、感情が動いた。
——ひとりにしていいはずがなかった。
義勇は、ゆっくりと息を吐く。
今までの茉子の立ち振る舞いと
先ほど聞いた“兄”からの言葉が
どんどん線で繋がっていく。
茉子は、
自分の苦労を苦労ともせず、いつもひたむきだ。
そんな彼女を、守らなければ、
とは思っていたかもしれない。
無意識に。
——ただ……今は……
いつだったか、
茉子に「そばにいろ」と言ったことを思い出す。
あれは、熱で看病されていた時だっただろうか。
茉子がそばにいる時は、
いつも不思議な感覚だった。
言葉にすれば、どれも違う。
(……随分前から、
そうしたかったのかもしれない)
義勇は、はっきりと決めた。
——俺の、そばに置く。
それが危険でも、
それが面倒でも。
(……それでも)
義勇は小さく、しかし確かな声で呟いた。
「……迎えに行く」
ここから先は、ただの任務じゃない。
——選んだ決断だ。
