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3.隣に立つ理由
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東側に向かっている義勇。
一人の隊士の姿が目に止まった。
「みっ……水柱様……っ!!」
息が、上がっている。
「櫻井が……!!」
義勇の動きが、止まる。
「見たことのない呼吸を使っていて……!ものすごい速さだったけど、頸までは斬れなくて…!」
「何回だ」
「え……?」
「何度、その呼吸を使っていた……?!」
「……えっ…と、俺が見た段階では二回ほど……」
聞いた瞬間、義勇は、もう走っていた。
義勇は何も考えず、ひたすら茉子を追った。
地面の影が消えていない。
鬼はまだ生きている。
村が見えた瞬間、一点に眩い閃光が差し込むのが見えた。
義勇は、その技を知っている。
——露の呼吸 滴閃だ。
(茉子ッッッ……!!!)
すぐそこだ……!
すぐそこなのに………!!
一秒すら長い。遅い。
早く、早く——
「茉子ッ……!!」
茉子は、そこに静かに立っていた。
頬と左腕から血を流して。
右手に握られた淡い水色の日輪刀には、鬼の血液すら付いていない。
澄んだ刃。
鬼は塵となり消えていた。
しかし、次の瞬間、茉子は力が抜ける。
両膝が地に着きかけるところを、義勇がそのまま抱きしめ、二人でその場に座り込んだ。
茉子は、苦しさのあまり、過剰に息を吸う。
吸いすぎて、吐くのを忘れている。
手足が冷たくなり、体を震わせていた。
「……冨岡さっ……」
「……いい。喋るな。息を吸うな……!」
「ごめ…っ…なさ……」
「ゆっくり吐け……」
「……おこって…ま…っ」
「怒っていない……!」
「……っ」
「落ち着け。大丈夫だ……」
義勇は、茉子を抱きしめたまま、呼吸を整える。
自分を基準にさせるように、呼吸を合わせる。
大丈夫だ。
——自分に言い聞かせるように、何度も。