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2.理由になる前
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お春が、鍋を運んでくる。
「はいはい、お待たせ。冨岡くんの好きなものよ」
蓋を取った瞬間、ふわっと立ち上る湯気。
「……鮭大根だ」
義勇はそう言って、すでに箸を取っていた。
茉子は、きょとんと鍋を見る。
「鮭大根……?」
「冨岡くん、これ好きなんだよ。茉子ちゃんも食べて」
「ありがとうございます。いただきます」
茉子は一口食べて、目を丸くした。
「……おいしい」
「でしょう?」
義勇は何も言わない。
だが、箸の動きが明らかに早い。
無言。
咀嚼。
次。
また次。
お春は、そんな義勇を見て微笑み、そっとご飯をよそい足した。
「冨岡くん、足りる?」
義勇は、モグモグと静かに食べている。
茉子は、義勇の横顔をちらりと見て思わず手を止めた。
(……え....?今ちょっと笑ってなかった......?)
気のせいかもしれない。
でも——
鬼を斬っている時とも、
縁側で黙っていた時とも違う。
ただ、黙々と鮭大根を食べているだけなのに、
その横顔は、少しだけ人間らしかった。
義勇は、一旦箸を止めてお茶をすする。
「……冨岡さん」
「……なんだ」
「好きなもの、あるんですね」
「……ある」
短く、それだけ。
茉子はそれを聞いて、安心したように笑った。
お春は、にやりと笑って鍋を見下ろす。
「はいはい、まだあるよ」
「……頼む」
——平穏な夜は、
こうして少しずつ、深まっていった。
------------
食事が済み、お春は手慣れた手つきで次々と皿を片付けていく。
「手伝います」
「いいのいいの!座ってお茶でも飲んでてちょうだい」
一度立ち上がった茉子だったが、
何か言いたげにしながらもその場に再び座った。
「.....断わられちゃいました」
「そうだな」
食卓には、湯気だけが残っていた。
義勇は、立たなかった。
それが自分でも不思議だった。
——いつもなら、用が済めば動く。
任務が終われば、次に備える。
それと同じように、
食事が終わればすぐに席を立っている、はずだ。
だが今は、そうしなくていいと思っている。
隣に、茉子がいる。
それだけで、十分だと“判断”している自分がいる。
(……妙だな)
任務はない。
鬼の気配もなければ、危険もない。
自分が茉子の隣にいる必要はない。
それなのに”離れる理由”が見つからない。
義勇は、湯呑みを置いた。
「……寒くないか」
それは、必要な確認ではなかった。
「はいはい、お待たせ。冨岡くんの好きなものよ」
蓋を取った瞬間、ふわっと立ち上る湯気。
「……鮭大根だ」
義勇はそう言って、すでに箸を取っていた。
茉子は、きょとんと鍋を見る。
「鮭大根……?」
「冨岡くん、これ好きなんだよ。茉子ちゃんも食べて」
「ありがとうございます。いただきます」
茉子は一口食べて、目を丸くした。
「……おいしい」
「でしょう?」
義勇は何も言わない。
だが、箸の動きが明らかに早い。
無言。
咀嚼。
次。
また次。
お春は、そんな義勇を見て微笑み、そっとご飯をよそい足した。
「冨岡くん、足りる?」
義勇は、モグモグと静かに食べている。
茉子は、義勇の横顔をちらりと見て思わず手を止めた。
(……え....?今ちょっと笑ってなかった......?)
気のせいかもしれない。
でも——
鬼を斬っている時とも、
縁側で黙っていた時とも違う。
ただ、黙々と鮭大根を食べているだけなのに、
その横顔は、少しだけ人間らしかった。
義勇は、一旦箸を止めてお茶をすする。
「……冨岡さん」
「……なんだ」
「好きなもの、あるんですね」
「……ある」
短く、それだけ。
茉子はそれを聞いて、安心したように笑った。
お春は、にやりと笑って鍋を見下ろす。
「はいはい、まだあるよ」
「……頼む」
——平穏な夜は、
こうして少しずつ、深まっていった。
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食事が済み、お春は手慣れた手つきで次々と皿を片付けていく。
「手伝います」
「いいのいいの!座ってお茶でも飲んでてちょうだい」
一度立ち上がった茉子だったが、
何か言いたげにしながらもその場に再び座った。
「.....断わられちゃいました」
「そうだな」
食卓には、湯気だけが残っていた。
義勇は、立たなかった。
それが自分でも不思議だった。
——いつもなら、用が済めば動く。
任務が終われば、次に備える。
それと同じように、
食事が終わればすぐに席を立っている、はずだ。
だが今は、そうしなくていいと思っている。
隣に、茉子がいる。
それだけで、十分だと“判断”している自分がいる。
(……妙だな)
任務はない。
鬼の気配もなければ、危険もない。
自分が茉子の隣にいる必要はない。
それなのに”離れる理由”が見つからない。
義勇は、湯呑みを置いた。
「……寒くないか」
それは、必要な確認ではなかった。