名字と名前を入れてください
1.名のない始まり
*名前変換*
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「.....失礼します」
茉子はそーっと義勇の部屋に入る。
義勇は、先ほど準備した夜着に着替え、静かに眠っていた。
(.........寝てる....)
体を休めている姿を見て、茉子は少しホッとする。
義勇の寝顔を初めて見た。
端正な顔立ちで、キメの細やかな白い肌。
寝顔も綺麗なものであった。
この人にこうして体を休める時間はあるのだろうか、などと考えながら、冷水に手拭いを入れて絞り、そっと義勇の額に乗せた。
(......早く良くなりますように....)
茉子は、義勇の寝顔を見つめながらそう願った。
そして静かに立ち上がり、その場を後にした。
その後、茉子は定期的に義勇の様子を見に行っていたが、ずっと眠っていたので、その都度手拭いを替えて、部屋を立ち去っていた。
夜になり、また義勇の部屋を訪れると、義勇は目覚めたようで起き上がろうとしていた。
「.....?!大丈夫ですか?」
茉子が駆け寄って体を支えると、義勇はまた体を僅かに震わせていた。
「寒いんですね?今湯たんぽと....お布団増やしますからっ」
茉子はひとまず、近くに置いてあった布団を重ねて、義勇に掛けた。
たかが風邪、といえばそれまでなのだが、
高熱であろう義勇を目の前にして、何か助けになることをしたいという気持ちが込み上げる。
「.....点滴、します。血管に直接お薬が入るので、よく効きます」
茉子はサッと立ち上がり部屋を出たかと思うと、湯たんぽを持って布団に入れ、
また戻って行ったかと思えば、次は薬液の入った瓶や細いホースのようなものを持って現れた。
「腕、失礼します」
茉子は布団の間から義勇の左腕だけ出して、ゴム包帯で腕をギュッと締める。
そして、そっと指を滑らせるように義勇の腕に触れる。
血管に触れて、その走行を確かめながら、針を刺す位置を定めるためだ。
義勇は、触れられている自分の腕に視線を落とした。
まさに、手の届く位置にいる茉子。
まっすぐ伸びる綺麗な指、そして袖口から覗く手首は白く細い。
——こんな細い腕で、刀を振っているのか....
義勇はぼんやりとそんなことを思った。
「すみません、ちょっとチクっとします....」
茉子はそう言って、点滴するために義勇の腕に針を刺す。
そして手際よく点滴の準備を進めていく。
「あ、手拭い、1回取りますね。寒い時は無理に冷やさない方がいいので」
そう言われ額の手拭いを外された義勇は、天井を見ながらぽつりと口を開く。
「......昼間も、こうしていたな....」
茉子は少し驚く。
「.....も、もしかして毎回起こしちゃってましたか....?」
「.....いや、眠っていたと思う.....」
「.....?」
「.....だが、そんな気がした」
茉子はそれを聞いて、ゆっくりと微笑む。
そして義勇はまた口を開く。
「.....俺のことを、水柱とは呼ばなくなったな」
「.....え....あ、それは、その.....」
茉子は、炭治郎につられて『冨岡さん』と呼んで以来、水柱様とも冨岡さんとも呼べていなかった。
『冨岡さん』はさすがに気が引けてしまうのだが、「(呼んで)構わない」と言われた手前、呼ばないのも失礼なのかな、などと考えてしまっていた。
「.....水柱は、俺じゃない」
「........?」
「.....冨岡でいい」
茉子は、一瞬目を見開いてしまった。
(……水柱、じゃない......)
その言葉の意味を考えようとしたが、うまくまとまらない。
いくら考えたところで、今はわからないような気がした。
言葉の意味がどうあれ、今、義勇が望んでいることは——
茉子は、横になっている義勇の腕のそばで、義勇の顔を見つめた。
「.....冨岡、さん」
義勇は一瞬、まばたきが遅れる。
「......ああ」
その返事を聞いて、茉子は少し口元を緩めた。
「.....すみません、喋ってたら休めませんよね。点滴の様子を見に、時々少しお部屋に入ると思いますが」
茉子はそう言って、立ち上がった。
「あ、お水はそこに置いていきま.....」
「……待て」
低く、短く。
茉子の言葉を遮るように、義勇は声を発した。
そして義勇の瞳はまっすぐ、茉子を見ていた。
「.....そばにいろ」
茉子の瞳が揺れる。
茉子はふたたびゆっくりと微笑むと、またその場にしゃがんで、義勇の視線の高さに合わせる。
「...........はい」
茉子は、穏やかに返事をした。
窓の向こうで、月が静かに光っていた。
茉子はそーっと義勇の部屋に入る。
義勇は、先ほど準備した夜着に着替え、静かに眠っていた。
(.........寝てる....)
体を休めている姿を見て、茉子は少しホッとする。
義勇の寝顔を初めて見た。
端正な顔立ちで、キメの細やかな白い肌。
寝顔も綺麗なものであった。
この人にこうして体を休める時間はあるのだろうか、などと考えながら、冷水に手拭いを入れて絞り、そっと義勇の額に乗せた。
(......早く良くなりますように....)
茉子は、義勇の寝顔を見つめながらそう願った。
そして静かに立ち上がり、その場を後にした。
その後、茉子は定期的に義勇の様子を見に行っていたが、ずっと眠っていたので、その都度手拭いを替えて、部屋を立ち去っていた。
夜になり、また義勇の部屋を訪れると、義勇は目覚めたようで起き上がろうとしていた。
「.....?!大丈夫ですか?」
茉子が駆け寄って体を支えると、義勇はまた体を僅かに震わせていた。
「寒いんですね?今湯たんぽと....お布団増やしますからっ」
茉子はひとまず、近くに置いてあった布団を重ねて、義勇に掛けた。
たかが風邪、といえばそれまでなのだが、
高熱であろう義勇を目の前にして、何か助けになることをしたいという気持ちが込み上げる。
「.....点滴、します。血管に直接お薬が入るので、よく効きます」
茉子はサッと立ち上がり部屋を出たかと思うと、湯たんぽを持って布団に入れ、
また戻って行ったかと思えば、次は薬液の入った瓶や細いホースのようなものを持って現れた。
「腕、失礼します」
茉子は布団の間から義勇の左腕だけ出して、ゴム包帯で腕をギュッと締める。
そして、そっと指を滑らせるように義勇の腕に触れる。
血管に触れて、その走行を確かめながら、針を刺す位置を定めるためだ。
義勇は、触れられている自分の腕に視線を落とした。
まさに、手の届く位置にいる茉子。
まっすぐ伸びる綺麗な指、そして袖口から覗く手首は白く細い。
——こんな細い腕で、刀を振っているのか....
義勇はぼんやりとそんなことを思った。
「すみません、ちょっとチクっとします....」
茉子はそう言って、点滴するために義勇の腕に針を刺す。
そして手際よく点滴の準備を進めていく。
「あ、手拭い、1回取りますね。寒い時は無理に冷やさない方がいいので」
そう言われ額の手拭いを外された義勇は、天井を見ながらぽつりと口を開く。
「......昼間も、こうしていたな....」
茉子は少し驚く。
「.....も、もしかして毎回起こしちゃってましたか....?」
「.....いや、眠っていたと思う.....」
「.....?」
「.....だが、そんな気がした」
茉子はそれを聞いて、ゆっくりと微笑む。
そして義勇はまた口を開く。
「.....俺のことを、水柱とは呼ばなくなったな」
「.....え....あ、それは、その.....」
茉子は、炭治郎につられて『冨岡さん』と呼んで以来、水柱様とも冨岡さんとも呼べていなかった。
『冨岡さん』はさすがに気が引けてしまうのだが、「(呼んで)構わない」と言われた手前、呼ばないのも失礼なのかな、などと考えてしまっていた。
「.....水柱は、俺じゃない」
「........?」
「.....冨岡でいい」
茉子は、一瞬目を見開いてしまった。
(……水柱、じゃない......)
その言葉の意味を考えようとしたが、うまくまとまらない。
いくら考えたところで、今はわからないような気がした。
言葉の意味がどうあれ、今、義勇が望んでいることは——
茉子は、横になっている義勇の腕のそばで、義勇の顔を見つめた。
「.....冨岡、さん」
義勇は一瞬、まばたきが遅れる。
「......ああ」
その返事を聞いて、茉子は少し口元を緩めた。
「.....すみません、喋ってたら休めませんよね。点滴の様子を見に、時々少しお部屋に入ると思いますが」
茉子はそう言って、立ち上がった。
「あ、お水はそこに置いていきま.....」
「……待て」
低く、短く。
茉子の言葉を遮るように、義勇は声を発した。
そして義勇の瞳はまっすぐ、茉子を見ていた。
「.....そばにいろ」
茉子の瞳が揺れる。
茉子はふたたびゆっくりと微笑むと、またその場にしゃがんで、義勇の視線の高さに合わせる。
「...........はい」
茉子は、穏やかに返事をした。
窓の向こうで、月が静かに光っていた。