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1.名のない始まり
*名前変換*
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義勇と茉子が洞窟に戻った頃には、
雨も小降りになり、
もう少しで朝日がさすところだった。
既にだいたいの隊士たちの姿は退散済みで、
ちょうど移動中であった。
無事に処置がなされていることを理解し、
2人は安堵した。
洞窟に入り、隊士たちがいなくなったところで
義勇は急にストンと座り込む。
(……?)
茉子はその様子を見て不思議に思ったが、
すぐにハッとして
左手で義勇の手首に触れて脈を測り、
右手で義勇の額に手を当てた。
「……高い熱……」
義勇の体は熱く、脈も早かった。
「お水、飲めますか?」
茉子は小さな瓢箪を差し出す。
義勇は無言だったが静かに受け取りそれを飲んだ。
「鎮痛薬入りですが、熱を下げる作用もあるので、今よりは楽になると思います」
茉子は手際よく義勇を介抱する。
「一旦横になった方が……」
「……いや、このまま降りる」
義勇は横たわらずに座っていた。
ここで横になっては
もう起き上がれないような気がしたのだ。
義勇の頬は、高熱によりほんのり赤く染まっており、
体は熱いのにブルっと震えるような寒気があった。
茉子はその様子を見て言った。
「羽織、脱げますか?」
義勇は言われるがまま、雨で濡れた羽織を脱ぐ。
茉子はサッと義勇の背中側に回り、
後ろから義勇を抱きしめた。
「……何をしている」
「お薬が効いてきたら寒気も落ち着きます。
それまで少しだけ、我慢して下さい」
義勇は背中に茉子の温もりを感じた。
初めて一緒に戦った夜、
帰りに茉子を背負った時に感じた温もりに、
今は助けられようとしていた。
「……わかった」
義勇はそれだけ言って、
そのまま茉子に体を預けていた。