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6.陽だまり
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「ただいまー!」
外から戻ってきた茉子は、元気よく戸を開けた。
あれから数週間が経った。
二人は今日も、変わらない日常を過ごしている。
「……ああ。早かったな」
義勇は、手にしていた文から顔を上げた。
「今日は近くだったのと、みなさん経過も良かったので」
茉子はそう言いながら、持ち帰ったものをちゃぶ台の上に並べていく。
「……これは」
「あ、これは塚田さんのとこの漬物」
「……それは」
「岡野さんのとこのトマト」
「………で、その花は」
「木村さんのとこのお子さんが、また私にって摘んでくれてて」
「……………」
「……いや、一応断ってるんですよ?お気遣いなく、って」
「………そうか」
茉子は、ふと台所に目をやる。
「……ん?義勇さん、あれは?」
「……ナスだが」
「いや、それは見ればわかりますけど……」
「二軒隣の奥方が、礼にと」
「お礼?」
「子供の凧が木に引っかかっていた。取った」
「……たこ?」
「……子供が木に登って、落ちそうになっていた」
「ああ、それで助けてあげたんですね」
「礼は断ったが……」
「悲しそうにされますよね」
「……そうだな」
そこまで聞いて、茉子はフフッと笑った。
「………?」
「いや、なんて言って断ったのかなって思って」
「…………」
「『いらん』ではないですよね?さすがに」
「………何だそれは」
「ん?義勇さんのマネ。似てません?」
「似ていない」
「えー?じゃあもう一回やりますね」
「やるな」
あまりに早い返事に、茉子はまた笑った。
それを見て——義勇も、笑った。
「………」
茉子は一瞬、目を丸くした。
「……何だ」
「…………」
「……茉子」
「………ううん、なんにも」
茉子はそれだけ言って微笑んだあと、義勇の手元にある文に視線を落とした。
「文ですか?豪快な字ですね……」
「……宇髄だ」
「おお、なるほど……」
「いい温泉を見つけたから来い、と」
「……そういえば蝶屋敷で、温泉の話してましたっけ」
茉子は義勇の隣に座る。
文にある「おてんばも連れて来い」という文字が目に入った。
「おてんばおてんばってさ。今まで言われたことないですけどね。義勇さんもそう思いませんっ?」
「……お前をそう思ったことはないが」
「ですよね?」
「……宇髄の観察力は鋭いな」
「…………」
「……何だ。不満か」
「べつに?」
義勇は、視線を文へと戻す。
「……どうする」
「行きます。ちょっと物申したい」
茉子はそう言って、再び立ち上がった。