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6.陽だまり
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朝。
義勇は、先に目を覚ました。
昨夜、茉子が眠ったあと、そっと左腕を放した。寝返りをうつのに、邪魔になるかと思ったからだ。
「………」
しかし、茉子はぴったりと寄り添っていた。
なんなら、義勇の胸元を少し掴んでいる。
「………ふっ」
義勇は、思わず少し声を漏らす。
寝ぼけてただの、違うだのと言っていたが、無意識に掴んでいるであろうその手を見て、笑みをこぼさずにはいられなかった。
(……不思議だ)
ずっと、守らなければと思っていた。
守ることができれば、それだけでいいと思っていた。
けれど今、その大切な存在が、自分の胸の中で眠っている。
「………」
義勇は、茉子の髪をそっと撫でる。
こうして一緒に過ごせることがこんなにも幸せなことなのだと、実感する。
「……ん」
茉子の目元が少し動いたあと、ゆっくりと目を開けた。
「………んー……おはよーございます……」
「……ああ」
茉子はまだ眠たそうに、モゾモゾと義勇の胸元にもう一度顔を寄せた。
「………」
「………」
わずか数秒。
「………っ!!」
茉子の目がパッと開く。
そして勢いよく顔を上げた。
「………」
視線が合うが、義勇は何も言わない。
慌てて離れようとする茉子を、義勇は左腕を回して抱き寄せた。
そこを定位置とするかのように。
「………っ!」
腕を回すその速度は尋常ではない。
抵抗する暇もない。
「な、何ですか?!」
「……別に」
「ていうか本気出すのやめてくれます?早すぎるし力強すぎ!」
「……何を怒っている」
「お、怒ってないし!」
「……じゃあ何だ」
「絶対思ってますよね?」
「何が」
「絶対に今『だから言っただろう』って思ってますよね?勝ち誇ってるよね?!」
「……勝ち誇ってはいないが」
義勇は、胸の中であれやこれやと言っている茉子を見て、そういえば負けず嫌いだったか、などと思う。
「だってこれは!義勇さんが抱きしめてたからで……!」
「……夜中に離した」
「……え?」
「お前が寝たあと、腕は離した」
「………」
「お前から来た」
「……………」
茉子は黙った。
「……何だ」
「……もう起きます」
茉子が離れようとしたその時、義勇の腕に力が入る。
茉子はすぐに、義勇の元へと引き寄せられた。
「………っ」
抵抗するかと思えば、茉子はそのまま静かに義勇の胸の中に収まった。
「……?」
「…………悔しいけど……嬉しくて困ってます……っ」
茉子は、聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声でそう言った。
「……そうか」
義勇はそれ以上何も言わず、またそっと、茉子の髪を撫でた。