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6.陽だまり
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(……あれ?)
それは、僅かな変化だった。
今は、2人並んで歩いているだけ。
(……あ。やっぱり……)
少しだけ、いつもと違う。
気がついてしまう。
ほんの少し、左側に寄って歩くこと。
僅かにふらつくこと。
(……もしかして、片腕だと平衡感覚が……)
茉子は、義勇を見上げた。
表情はいつもと変わらない。
「………」
その視線に気づく義勇。
茉子に視線をやったあと、再び前を向く。
歩く足は止めない。
「……気をつけてはいるんだが」
淡々と。
本人にも、自覚はあるようだ。
「片腕だと、平衡感覚が少し掴みにくいのかもしれないですね。無意識に、左右で体のバランスをとっているので」
茉子の予想は当たっていた。
「……そうか」
義勇は筋力、体幹共に
鍛え抜かれた体を持っているため
一般の人間に比べれば影響は強くない。
ただ、これまでとは感覚が違う。
慣れるまでには少し時間が要るだろう。
「………」
少し考えるようにしてから
義勇は口を開いた。
「……昔、片目を負傷したことがある」
「え?そうなんですか?」
「片目だとこうも視野も感覚もとりにくいものなのだと思った」
「へぇ。義勇さんでも、顔傷つけられちゃうことあったんですね」
「…………」
義勇は、足を止めた。
「……最終選別のときだ」
「………」
(……珍しい)
茉子はまた、そう思った。
今まで義勇の口から、
過去の話を聞いたことがあっただろうか。
視線が合う。
「………」
義勇は何かを言いかけたが、
それは口にしなかった。
「……離れるな」
ただそれだけ言って、再び歩き出した。
手は、繋がれたまま。
茉子は何も言わず、その左側を歩いた。
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