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6.陽だまり
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茉子はその後、カナヲとアオイに、蝶屋敷を出る話をした。
寂しいと言いながらも、喜んでくれて。
笑ったり、泣いたりした。
なほ、きよ、すみ。
蝶屋敷にいるみんなにも、挨拶をして。
「……んで?すぐ行くのか?」
隠の後藤は、腕を組み、背後から問いかける。
茉子はしゃがみながら少ない荷物をまとめていたが、その手を止めて後藤を見た。
「はい。ゆっくり歩きながら向かおうかと」
「ま、急だけど、そんなに驚きもしねぇな」
「カナヲ達にも言われました。こういう日が来るような気がしてたのかもねって」
ふふっと笑う茉子。
「ふーん」
「……?」
少し、間がある。
「……喧嘩して帰ってきたりすんなよ」
「えぇ?!大丈夫ですよ?!」
「お前、急にブチギレたりするだろ」
「そ、そんなことは……」
——あるような気も。
「いいか、お前は勝手に我慢をするな」
「……はい」
「あと、一人で解決しようとすんなよ。できねぇんだから」
「……はぁい……」
茉子は小さくなりながら、少しだけ俯いた。
よく、こんなやりとりをしていた。
自分でなんとかしようとして失敗する茉子。
ガミガミ言いながらも、結局少し世話を焼いてしまう後藤。
記憶が、鮮明に蘇ってくる。
「……大変なことはたくさんあったけど、楽しかったです」
茉子は、荷物に視線をやったままだった。
目を見たら、泣いてしまいそうで。
「…………」
沈黙のあと、いつもより小さな声で言う。
「……バカ言うな。二度とあってたまるかよ」
後藤は目を逸らし、少し乱暴に頭を掻く。
「……水さんと、仲良くやれよ」
それだけ言って、踵を返す。
「……後藤さん」
呼び止められても、後藤は振り返らない。
ひらりと片手だけを上げて、そのまま歩いて行った。
「……ありがとうございます」
皆、それぞれの道を行く。
屋敷の中は、まだたくさんの声で賑わっていた。