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6.陽だまり
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あれから三ヶ月。
今日は、最後の柱合会議。
柱も、二人だけになってしまった。
ただ空は、とても晴れた、綺麗な青空だった。
茉子は一通り病室を周り終えると、いつもの一角にいた。
たくさんの薬草を干していたスペース。
「……もう、そんなにいらないか」
独り言。
庭に目をやり、鍛錬していた日々を思い出す。
しのぶには、叱られたこともあった。
けれど、思い出すのはあの笑顔。
桜の花びらが散って、舞っていた。
「…………」
茉子は座って、静かにそれを眺めていた。
「……桜か」
「……あ!おかえりなさい」
その声に、茉子は振り返る。
「綺麗だな」
花びらを見て言う義勇の表情は、穏やかだった。
「はい」
義勇は、茉子の隣に腰掛ける。
二人並んで、桜を眺めた。
「……今日で、鬼殺隊は解散とのことだ」
「……はい」
少し間が空いて、義勇は再び口を開く。
「家に帰ろうと思う」
「……そう、ですか」
茉子は小さく俯いた。
「……えっと、じゃあ私、これからも……」
「茉子」
義勇は、茉子を見る。
すぐ隣で、視線が合う。
「痣が出た者は、25歳までに絶命すると聞いた」
「………」
「もっと早いかもしれない」
「………」
「俺には、左腕しかない」
「………」
「もう、お前を守ってやれないかもしれない」
「……………」
茉子は、静かに義勇を見つめている。
その瞳は潤み、揺れていた。
「お前はまだ若いし、気立てもいい。……だから、俺とは離れた方がいい」
「………」
茉子の唇が、僅かに震える。
次の瞬間、瞳から涙が溢れた。
「……だが」
義勇は、左手でそっと茉子の涙を拭い、困ったように少し笑う。
「やはり、お前を手放せそうにない」
「………っ」
茉子は、義勇の胸に顔を埋める。
「……っ……ばかっ……」
「……そうだな」
義勇は茉子の頭を撫でたあと、少しだけ体を離して、茉子の目を見る。
「茉子」
泣いている茉子の目は、少し赤い。
「……まだ、一度も言ってやれていなかったな」
義勇はそっと、茉子の頬に手を添える。
その指先は、確かめるように、ゆっくりと頬をなぞった。
「………」
義勇は静かに、茉子を見つめる。
まるで、長い間胸の奥に閉じ込めていたものをようやく言葉にするように。
「好きだ」
茉子の目から、再び涙が溢れる。
「………っ」
感情を言葉に乗せるのは得意じゃない——
そう、言っていたことがあった。
今の義勇の表情は、見たことのないほど穏やかで。
それは、言えなかったのではない。
言わなかった言葉なのだと。
茉子は、ようやく理解した。
「……俺の、そばにいろ」
「…………っ」
それは以前、決意して放った言葉。
「……っ……お側にいます……ずっと……っ」
今はもう、迷わずその想いを口にする。
「……苦労は、かけると思うが……」
「……そんなことありません……!いちいち謝ったりしたら……怒りますから……っ」
「……そうか」
義勇は、少し笑った。
「……ありがとう」
茉子もまた、微笑んだ。
桜の花びらが、春の風に乗って静かに舞う。
二人並んで、その景色を眺めていた。
もう、急いで駆け出す必要もない。
その穏やかな時間だけが、確かにそこにあった。
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義勇さんは多分、人を好きになる資格はない、ぐらいに思ってたんだと思うんですよ。でも好きになっちゃったし、行動自体には責任を持っていて。
義勇は、大事なときは言葉を選べる人だと思う。今更かもだけど、必要だと思って伝えた言葉かなと思っています。