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6.陽だまり
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本格的に目を覚ましてからは、回復が早かった。
実弥もそうだったが、特に痣が出た者たちの回復力は桁違いだ。
茉子の反対を押し切り、義勇は一人で家に戻った。自分より、炭治郎や他の隊士の治療を優先して欲しかった。
しかし——
「おはようございまーすっ」
「…………」
笑顔の茉子。
義勇はため息を吐いた。
茉子は蝶屋敷での診察治療を行いながら、朝はいつも、義勇の家を訪れるようになった。
これでは、茉子の負担が増えてしまう。
そんなつもりではなかったのに。
「……俺なら大丈夫だと言っただろう。お前は皆のことを……」
「ん?ちゃんとやってますよ?みんな順調です」
「……違う。俺が言っているのは……」
「あ、腕出してくださいね」
「…………」
素直に腕を差し出してしまうのは、なぜだろう。
茉子は包帯を外して、義勇の腕を見る。
「……うん、いいですね」
茉子はそう言って微笑む。
「………」
義勇は、傷口から目を逸らした。
茉子は慣れた手つきで消毒して、綺麗な包帯を巻き直す。
その手に、躊躇いはなかった。
「……無理はするな」
「え?してませんよ?」
「…………」
茉子のまっすぐな瞳。嘘偽りはない。
「肺の音、聴きますね。息吸ってください」
「…………」
つい指示に従う義勇。
聴診器を外した茉子を見て、再び口を開く。
「……疲れるだろう」
「疲れてるように見えます?」
「………」
見えない。
むしろ元気さえ感じる。
「今は、みんな屋敷にいて人手も十分だし。怪我人増えないし。私もたくさん眠れてますから」
以前は、合間に任務が入ったり、任務帰りに負傷者が押し寄せたり、薬を作ったりと多忙であった。
その生活に、慣れてしまっていた。
「………そうか」
義勇はそれ以上、問わなかった。
時が経つにつれて、みんなの治療も落ち着いてくると、時間ができたからと言ってご飯も作っていくようになった。
片手でも食べやすいように、主食はおにぎりにしてみたり。おかずは、スプーンで掬いやすいように小さめにしてみたりした。
鍛錬と薬学の勉強ばかりで、実はあまり料理をしてこなかった茉子は、蝶屋敷に戻っては
アオイに色々と教えてもらっていた。
結えなくなった長い髪。
切ってほしいというので、短くした。
そんなふうに、少しずつ日常は形を変えていった。
治療に追われていた日々も落ち着き、辺りには穏やかな気配が立ち込めていた。