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5.帰る場所
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その後、二人は再び任務や治療に追われる日々へ戻っていた。
義勇は、連日の任務。
ふと、空から鎹鴉の寛三郎がゆっくりと降りてきて、義勇の肩に乗る。
「北西ノ山奥デ負傷者多数。応援要請ジャ」
思わず、小さくため息を吐く。
それは、疲労からのものではない。
今まで、早く家に帰りたいなどと思ったことはなかった。
ただ、家にいれば茉子に会えるかもしれないと、頭の片隅で考えている自分がいるのだ。
「………」
義勇は夜に傾いていく空を見上げたあと、すぐに視線を戻し、走り出した。
目的地に着く頃には、すっかり日も落ちていた。
「……柱っ……!」
一人の隊士がそう言うと、辺りにいた者たちも一斉に義勇を見た。
「……状況は」
義勇は、それだけ問う。
「あ、はい…実は、鬼がどこにいるのかわからなくて……」
「………」
義勇が黙っていると、別の隊士たちも話し始める。
「木の枝が伸びるんです!」
「地面に突然、足を取られてっ……!」
言っている側から、近くある木の枝が勢いよく伸びて、その隊士たちの元へと向かってくる。
「水の呼吸——肆ノ型 打ち潮」
義勇は即座に反応して、その枝を斬った。
「……す、すげぇ……」
「威力が違いすぎる……」
あまりの一瞬の出来事に、助けてもらった隊士たちは体を固めたままだ。
ただの枝ではない。
凶器のような硬さ。
突き刺すような動き。
技を出そうと踏み込んだ瞬間、地面が不自然に沈む。
鬼血術によるもので間違いないだろう。
(攻撃の威力自体は、さほど強くないが……)
義勇は、鬼の本体を探す。
しかし、隊士たちを庇わなければならない。
(……厄介だな)
いっそ、自分だけなら良かったのだが。
あるいは——
そこまで考えて、その思考は止めた。
「……攻撃が見える者たちは周囲の攻撃に対応しろ。見えない者は一箇所に集まれ。足元に注意しろ」
義勇はそれだけ言って、刀を構えた。
一方その頃、茉子は走っていた。
近くで、鎹鴉の華が飛んでいる。
「山奥デ負傷者多数!スグ向カッテ!」
「山奥ってどこのっ?」
「……アッチダヨ!」
「もぉ〜!感覚で案内するのもうちょっとなんとかなんないかなぁ……っ」
「場所、ワカルカラ!着イテ来テ!」
「信じてるからね?あっちねっ?!」
茉子の髪には、簪。
走るたびに、水色の小花が揺れていた。