in a twinkle2
雨宮太陽はその日、逃げていた。
病院に入院することに慣れてきたが、やはり点滴や苦い薬はまだまだ苦手だった。もしかしたら成長しても好きになれないかもしれない。
まだ子供の彼は外の公園の遊具の陰に潜んでじっとしている。行動範囲が限られてる中、見つかりにくい場所を選んでここになった。
陽気な日差しはポカポカと暖かく、眠気を誘ってくるが、ここでうっかり眠ってしまったら看護師の人たちに見つかるかもしれない。そう思うと眠気も少し吹っ飛んだ。できれば連れ戻されたくない、たとえすぐに見つかってしまうとしても、今は。
体を縮こませ、抱えた膝の間に顔を埋める。走って体が少し悲鳴を上げている。
落ち着くまで、少し眠ろうか。そう思いながら、ウトウトしはじめると、遠くから足音が聞こえた。小さい音が少しずつ大きくなっている。その持ち主はどうやらこちらに向かって歩いているらしく、集中して聞いていると、太陽のいる遊具のすぐそばまで気配が来た。
看護師がこの場所をもう見つけたのだろうか。逃げきれなかった悔しさと、すぐ見つかって当たり前だと思う自分の諦めが混ざり合う。
「っ!…ケホッ…」
病室から出る際、少しとはいえ走ってきたことで、体に負担がかかったのだろう。
肩を上下させ喉に詰まった空気を吐き出すように咳き込む。小さくはない自分の咳に足音の持ち主は気づいただろう。
重い気持ちになりながら、来た人物を見ようと、太陽は顔を上げた。しかし、想像していた看護婦たちの姿ではなく、そこにいたのは1人の女の子だった。ジッと女の子を見ながら思わず見惚れる。
「(わあ…かわいいな)」
「…………?」
この女の子は、天使だと思った。絵本やアニメで見たことある天使の姿と瓜二つだった。
太陽の思い浮かべる天使は、金髪で優しい顔をした子供なので、目の前の女の子に当てはまっている。
白いカッターシャツにサスペンダースカート、2つに結ばれている髪の毛の飾りも白で統一されており、胸元の赤いリボンと彼女が持つ瞳がアクセントになっている。
二つ結びされたブロンドの髪を揺らし、ルビーピンクの大きな目をさらに大きくさせてこちらを見ていた。
太陽は思わず息を止めた。目の前にいる女の子から視線を逸らせない。
女の子はまじまじと太陽に見られていても嫌がる素振りすることなく、不思議がっていた。どうやら人見知りをするタイプではないようだ。
思い切って女の子に声をかけてみる。先ほどまでの息苦しさと暗い気持ちはいつの間にか消え、太陽は今目の前にいる知らない女の子に興味を持っていかれていた。
「ねえねえ!ぼく雨宮太陽!キミの名前は?」
「入谷桃」
「ももちゃん?どうやって書くの?」
「くだものの桃だよ」
そう言って女の子は地面に指でなぞり自分の名前を書く。太陽も書こうとしたが、漢字が難しくて平仮名となった。どうやら女の子の名前は桃と言い、太陽と同い年だった。
「ぼくはお日様と同じ漢字だよ!」と字の説明をして、そのまま会話を続けることにした。
桃は人見知りはしないが、会話を自分から広げることはあまり得意ではないようだ。ほとんどの話題は太陽から出される。それでも2人の間に流れる空気はほんわりと和んでいる。
「へー…桃ちゃんもにゅーいんかんじゃ?」
「ううん、おかあさんがにゅういんしてるから、てるみちゃんといっしょに『おみまい』に来たの」
「てるみちゃんって桃ちゃんのお姉さん?」
「…?てるみちゃんは、てるみちゃんだよ。おかあさんとてるみちゃんは家族だから、ももの家族なの」
「そうなんだ。病院に会いに来るなんてお母さん思いでやさしいね」
「もも、おかあさんがすきなの!」
「おかあさん」の話を聞くと、桃はパッと笑顔になり、饒舌に話し始めた。太陽が尋ねなくても次々と母親関連の話題で会話は途切れず、看護婦が太陽を見つけて病室に連行するまでには仲良くなり2人でお互いの学校、趣味、色々な話題で会話が続いた。
病院に入院することに慣れてきたが、やはり点滴や苦い薬はまだまだ苦手だった。もしかしたら成長しても好きになれないかもしれない。
まだ子供の彼は外の公園の遊具の陰に潜んでじっとしている。行動範囲が限られてる中、見つかりにくい場所を選んでここになった。
陽気な日差しはポカポカと暖かく、眠気を誘ってくるが、ここでうっかり眠ってしまったら看護師の人たちに見つかるかもしれない。そう思うと眠気も少し吹っ飛んだ。できれば連れ戻されたくない、たとえすぐに見つかってしまうとしても、今は。
体を縮こませ、抱えた膝の間に顔を埋める。走って体が少し悲鳴を上げている。
落ち着くまで、少し眠ろうか。そう思いながら、ウトウトしはじめると、遠くから足音が聞こえた。小さい音が少しずつ大きくなっている。その持ち主はどうやらこちらに向かって歩いているらしく、集中して聞いていると、太陽のいる遊具のすぐそばまで気配が来た。
看護師がこの場所をもう見つけたのだろうか。逃げきれなかった悔しさと、すぐ見つかって当たり前だと思う自分の諦めが混ざり合う。
「っ!…ケホッ…」
病室から出る際、少しとはいえ走ってきたことで、体に負担がかかったのだろう。
肩を上下させ喉に詰まった空気を吐き出すように咳き込む。小さくはない自分の咳に足音の持ち主は気づいただろう。
重い気持ちになりながら、来た人物を見ようと、太陽は顔を上げた。しかし、想像していた看護婦たちの姿ではなく、そこにいたのは1人の女の子だった。ジッと女の子を見ながら思わず見惚れる。
「(わあ…かわいいな)」
「…………?」
この女の子は、天使だと思った。絵本やアニメで見たことある天使の姿と瓜二つだった。
太陽の思い浮かべる天使は、金髪で優しい顔をした子供なので、目の前の女の子に当てはまっている。
白いカッターシャツにサスペンダースカート、2つに結ばれている髪の毛の飾りも白で統一されており、胸元の赤いリボンと彼女が持つ瞳がアクセントになっている。
二つ結びされたブロンドの髪を揺らし、ルビーピンクの大きな目をさらに大きくさせてこちらを見ていた。
太陽は思わず息を止めた。目の前にいる女の子から視線を逸らせない。
女の子はまじまじと太陽に見られていても嫌がる素振りすることなく、不思議がっていた。どうやら人見知りをするタイプではないようだ。
思い切って女の子に声をかけてみる。先ほどまでの息苦しさと暗い気持ちはいつの間にか消え、太陽は今目の前にいる知らない女の子に興味を持っていかれていた。
「ねえねえ!ぼく雨宮太陽!キミの名前は?」
「入谷桃」
「ももちゃん?どうやって書くの?」
「くだものの桃だよ」
そう言って女の子は地面に指でなぞり自分の名前を書く。太陽も書こうとしたが、漢字が難しくて平仮名となった。どうやら女の子の名前は桃と言い、太陽と同い年だった。
「ぼくはお日様と同じ漢字だよ!」と字の説明をして、そのまま会話を続けることにした。
桃は人見知りはしないが、会話を自分から広げることはあまり得意ではないようだ。ほとんどの話題は太陽から出される。それでも2人の間に流れる空気はほんわりと和んでいる。
「へー…桃ちゃんもにゅーいんかんじゃ?」
「ううん、おかあさんがにゅういんしてるから、てるみちゃんといっしょに『おみまい』に来たの」
「てるみちゃんって桃ちゃんのお姉さん?」
「…?てるみちゃんは、てるみちゃんだよ。おかあさんとてるみちゃんは家族だから、ももの家族なの」
「そうなんだ。病院に会いに来るなんてお母さん思いでやさしいね」
「もも、おかあさんがすきなの!」
「おかあさん」の話を聞くと、桃はパッと笑顔になり、饒舌に話し始めた。太陽が尋ねなくても次々と母親関連の話題で会話は途切れず、看護婦が太陽を見つけて病室に連行するまでには仲良くなり2人でお互いの学校、趣味、色々な話題で会話が続いた。
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