サーカス
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「アクシデントを解決するのはプロデューサーの仕事だけど、これは範囲外では…?」
誰に話すわけでもなく、私は独りで喋り続ける。そうしなければ、焦りと恐怖からこの口が悲鳴をあげてしまいそうだった。
「サーカスの動物が逃げたって聞いて、探すの手伝いますって安易に言わない方が良かった!まさかライオンだと思わないじゃないですか!」
今日は『fine』のサーカスライブ本番。当然プロデュースを担当する私も裏方で働きにきたわけで、朝から準備に大忙しだった。そんな中、檻から動物が逃げ出してしまったそうで、それを探すように頼まれた。調教師の人によると「おとなしい性格の可愛い猫ちゃん」と言っていたので、私でも探すのは手伝えると思っていた。
「ネコ科だけど危険度が違いすぎる」
しかし実際にいたのは大きなライオンだ。姫宮くんと一緒に活躍する猫のうちの一匹だと思っていた過去の私を止めたいし教えてあげたい。調教師にとっては猫もライオンも同じなんだと。
先程からライオンと目が合い、身動きが取れずにいる。携帯があれば直ぐさま誰かに連絡して応援を呼べるが、スタッフルームに置き忘れてしまっていた。
膠着の状態が続いてどれくらい時間が経っただろう。既に数時間経っているように感じるが、実際は数分なのだろう。幸か不幸か、この場には他の人はいない。この間、誰も来ることはなかった。誰かが来て、驚いて逃げたり声を出したらライオンを刺激して収拾のつかない騒ぎになっても、イベントを企画するものとしては避けたい事態だ。
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