Aidez-moi, s'il vous plait.
生まれ変わる
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え、まさかバレた?…いやいやまっさかぁ~バレるとしたら昨日抱きついてた(庇うため)稲葉さんにバレるならわかるけど…え?
「ちょ、失礼よ!蓮くんは男の子!」
「ぅえっ!?」
「まぁ、確かに女っぽいから気持ちはわかるけどな。」
「確かに、女の子だと思ってたのだ。」
おいこらテメェ等!!仕方ねぇだろ!俺は母似なんだよ!兄が父似になっちまったんだから誤魔化すのきついんだよ悪かったな!
次々に俺も俺もと名乗り出てくる奴等を忘れないように頭の中のメモ帳にインプットしていく。…ったく、まあ、どうやらバレた訳じゃないらしいしいいか。
「まぁ、よく言われるから。」
とにかく、笑って許した俺って、何て優しい子なんだろう。やっぱ普通なら男が女に間違われるのって嫌だろ?男でいたいときは。これが女のふりとか女になりたいとか思ってる訳じゃなければしんどいだけだ。
「そ、そっか…。」
何なんだその残念そうな顔は…!!俺を介して女子と話すつもりだったのか!?残念だが俺は昨日やっと稲葉さんと話したところで紹介できる女子なんかいねぇぞ!!
「おーい席に着け~チャイム鳴ったぞ~。」
とりあえず、先生が教室に現れたから今回は見逃してやるが…さっき脳内でカウントした奴等!後で覚えてろよ!
…なんか俺の方が悪役みたいだけど、悪役じゃない…はずだ!
「広、放課後に俺の所へ来てくれないか?」
最後の礼まで済ませたところでそう言う鵺野先生。俺は、昨日のことかと思ったが、様子を見る限りそうじゃないようだった。
不思議に思った俺を含めたクラスメイト達は、その様子を静かに見ていた。
中には気にするなと怒られることを前提として励ましている奴もいたが、立野くんは笑う。…そこで笑えるのはスゴいよな。俺だったら精神年齢のわりに凹むわ…。
「ちくしょう、どうしてこうなんだ…一生懸命努力してるのに…頭に血がのぼると、もう何もわからなくなって…。────どうにでもなれ!俺みたいな暴力男は、どうせそのうち人を殺して、刑務所で死刑になる運命なんだ!」
サッカー部から追い出された立野くんを追いかけたは良いものの、どうすれば良いかわからないまま声すらかけられずに見ているだけだった。
ぼっち化した俺を救ってくれた(かもしれない)男子だ。放ってはおけない。だが、こんなことに対面した経験がねぇからどうすれば良いのかがわからない。
ほんっと俺って使えない奴だとつくづく思う。
影からこっそり覗くその姿は端から見ればストーカーみたいな奴だろうけど、周りには誰もいない。
俺は、意を決して立野くんの元へ飛び出した。
「それは違うよ!…えっと、あの…う、うまく言えない、けど……今回、のは立野くんは悪くなかった、っていうかサッカー部の先生とか、チームメイト、が悪かったんだよ。…だって、さ…?立野くん、ちゃんと自分が何しちゃったのか、わかってるでしょ?……普通に暴力振るうだけの人、反省する人少ない、から───」
勢いで飛び出したはいいものの、言う言葉なんて浮かんですらいなかった俺は、思い付くままを言う。それでも、あんまり人と話すなんてことをしなかった俺のこのうじうじとしたものも相まって、かなりオドオドした話し方になったが、それでも俺の思いを伝えて、何て言えばいいかこれ以上わからない、そう思ったときだった。
「そうだな蓮、ありがとう。…広、お前には悪霊がついている!そいつが感情のコントロールを失わせているんだ!」
俺の背後からのっそりと鵺野先生が現れて、そう話し始めた。にわかには信じられねぇ話だが、それは立野くんも同じなようで、インチキだと捲し立てる。
それでも、先生は動じなかった。
後から駆け付けたらしい稲葉さんが鬼の手について力説しているが、それでも何も言わないのかと思いきや、徐に外す片手の手袋。
「…先生、その手は──?」
俺が口からぽっかり漏れたその問いに、嫌な顔一つせずに答えた先生によると、鵺野先生が昔鬼を封じ込めた際にその手は霊障となり、見えなくなったらしい。
確かに、それなら出し惜しみとかなしに手袋をつけてねぇと手がないのに物が触れちゃう系人間っていう、生徒から恐怖と好奇心を一身に受ける先生になりそうだ。
俺は、少しだけ…ほんっの少しだけだが先生を信じてみようと思う。