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生まれ変わる

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現実に戻ることができ、読むも読まぬも自己責任とできるのならば、お読みください。

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「ぐっ!」

 

「何すんのよいきなり!」

 

 

「へっへっへっ、この場所は俺ら6年の指定席なんだよ!」

 

「5年はどっか隅っこでやってな!」

 

 

誰が考えるだろうか、突然現れた6年生が立野くんの顔をぶん殴るなんて…ってかこの学校の6年生さ、いきなり成長しすぎじゃね?中学目前で肉体改造したのかってくらいに体つきが半端ない。ラグビーやってるって言われた方が納得するような体型だけど、それで後輩殴るのはどうなんだ…?

 

取り敢えず、立野くん用に保健室で氷嚢をもらってこようとしたが…

 

 

「何よ!あたしたちが先にとったのよ!」

 

「うるせぇ!女がでしゃばんじゃねぇよ!」

 

「────危ない!」

 

 

稲葉さんが次の標的としてロックオンされたことに気付き、俺は咄嗟に駆け出した。

 

…これで俺が男だったらラブコメ的展開がきたかもしんねぇのに勿体ねぇ…。

そう考えた瞬間、後頭部に激痛が走る。…それでも、俺は精神年齢だけならこの場にいる誰よりも上なんだ。意識を失いそうになったのをグッとこらえて稲葉さんから絶対に離れない。

 

 

「……ッ、グアッ!……!!」

 

「殴れ殴れ!」

 

「んだよ、いっちょ前に女庇ってんのかよ!もっとやれ!」

 

 

殴られ蹴られ、髪の毛を引っ張られても、稲葉さんが被害を受けないように隠すように覆い被さりながら離れないでいた。セクハラじゃねぇからな、そこんとこヨロシク!

そろそろヤバいかと力がゆるんだ時、何かが倒れる音が聞こえた。

 

 

「え…?」

 

 

それと同時に攻撃が止み、何が起きたのかとその方向を見ると、立野くんが6年の奴等を殴っていた。

 

 

「何が6年だふざけやがって!たった1年早く生まれたのがそんなに偉いのか!」

 

 

6年生が反撃できないほどの勢いで拳を振るう姿は、俺に声をかけてくれた人とは別人のようだった。

 

それは先生が駆け付けて立野くんを正気に戻すまで続いた。






くん、その…ありがとう。」

 

「稲葉さん…いや、俺の方こそ、勝手に触って…その、えっと…悪い。」

 

 

 

あの後、頭を殴られたために検査を受けることとなった俺は、6年の奴等と一緒に救急搬送された。

今はその検査も終わり、検査入院を断って帰るところだった。付き添いは鵺野先生がしてくれるそうだが、稲葉さんが残っていたのは驚いた。

夜も更けてるし、流石に女子児童がうろついて良い時間じゃないだろう。

 

 

「よし!じゃあ行こうか。」

 

 

俺に気づいたらしい先生が話し掛けてきたが、稲葉さんの家族がいるとは思えなかった。

 

 

「鵺野先生、…えっと、先に稲葉さんを送ってからでも良いですか?……あ、疚しい気持ち、とかじゃなくって…えっと、先に稲葉さんを送ってからでも良いですか?……あ、疚しい気持ち、とかじゃなくって…えっと、流石に危ないかなって…。」

 

 

女子供が外を出歩く際には大人の男がいた方がいいのは前世を通しても知っている。…ってか、一応病院の人には事情話して男のふりしてることは内密にって言ったけど、バレてねぇよな?…様子を見る限りばれてねぇっぽいけど、用心するに越したことはない。

 

 

「あ、あぁ…そうだな。」

 

 

先生は外を見ると、俺の言いたかったことに気づいてくれたらしく、3人で帰ることになった。

 

 

「そう言えば、くんの家ってどこにあるの?」

 

「えっと、童守高校の近くの山の麓。」

 

「ってことは駅を越えるんだね。…って、反対方向じゃない!?良いの!?」

 

「あ、その…俺は良いけど、先生が……。」

 

 

他愛のない話をしながら稲葉さんの家に向かう途中、そう聞かれたが、仕方ねぇだろ、危ないし。これで何かあったら俺が死んでも死にきれねぇ…!って、1回死んでたわ。

 

そう考えながら先生の方を見ると、反対方向と聞いてからお腹を押さえている。…そしてすぐに鳴った音に、お腹が空いていたのだと判明したってか分かりやす!!児童の前でくらい誤魔化そうぜ!?いや、確かに俺も減ってるけどよ!!

俺は噴き出すだけだったが、稲葉さんなんて腹抱えて大笑いしてるぞ!?

そんなこんなで、最近は感じなかった楽しい下校だった。あ、下院か。病院から帰るんだし、下校気分だし。

稲葉さんの家につき別れた後、俺の家へ向かう途中にもう一度鳴った腹の音。

 

 

「先生、お礼に…その、家に帰ったらご馳走します。」

 

「え、いや…でも──」

 

「一人で食べるのはつまらない、から。」

 

 

 

そう言うと、鵺野先生ははっとしたような顔をしていた。

本当なら、俺のことは親が迎えに来るはずだった。でも、父はまだ仕事中で、いくら子供が病院に行くような怪我をしたとしても俺の迎えに来れるほどの時間はとれなかった。

当たり前だ。俺は跡継ぎじゃねぇし、俺にかまけて売り上げが落ちたりしたら生活が危ういんだから。

 

 

 

「それじゃあ、お言葉に甘えようかな。」

 

「ありがとう。」

 

 

そうして、俺の住む家を見て先生が口をあんぐりと開けていたりしていたが、無事に夕食をとった俺達だった。

ってか、先生が口あんぐり開けちゃう気持ちがわかるわ…日本家屋の大豪邸と言っても良いような家に二人で住んでるんだからな。そのわりには使用人とか雇わないから俺の負担がただただ大きいし、維持費用も半端じゃないし。…最初、この建物見たときは先生と同じような反応した気がするけど、ちょっとでかすぎるんだよな…。








「怪我、大丈夫か?」

 

「あ、おう、それより…立野くんは手、大丈夫か?」

 

「おう!この通り!」

 

 

 

朝、登校すると立野くんが話しかけてきた。やっぱ昨日6年を殴っていたときとは人が違う…二重人格か?

とにかく、俺も頭に包帯を巻いたりして重症っぽくしてるけど、出血が多かっただけでそこまで酷い訳じゃなかったし、立野くんも大丈夫そうなら良かった。

教室で話していたが、そろそろ予鈴が鳴る時間だからと席に着こうとしたが、それよりも先に言葉が紡がれ……

 

 

 

 

 

 

「にしても、ごめん…女の子なのに顔に怪我させちまって…。」

 

 

 

 

 

空気が凍った。
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