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ガヤガヤとしたショッピングモールにはたくさんの人が溢れていた。今日は名前が新しく出来たアミューズメントパークに来たいということでアベルとアビスは付き合わされていたのだった。
「わ! わ! わ! 何これすっご! めっちゃガチャガチャたくさんあって目移りしちゃうよ〜!」
「もう、そんなキョロキョロしなくてもゆっくり見ればいいじゃないですか」
「こんな場所でゆっくりなんてしてられないよアビスくん。……あぁ! 最近出たばっかりの神覚者様シリーズもあるじゃん。最新作、レイン様も入ってる〜!」
はしゃぐ名前を他所に、アベルとアビスはまるで保護者のようで。もちろん、名前はそんなことには全く構わず、四方八方に積み上げられた色とりどりのガチャガチャを子供みたいなキラキラした目で見つめていた。
「あれ! あれね! 名前がずっと欲しかったやつ……」
「あぁ、あの魔法学校シリーズの」
ピッと名前が指を指した先には、魔法学校シリーズのキャラクターが7種類描かれていて。1回400Lとは案外高い。その値段にアビスは少し渋い顔をした。
「このシリーズに出てくる男の子二人がね、アベルくんとアビスくんに少し似てるんだ〜」
「ふーん……どのキャラクターなんだい?」
その話に少し興味を持ったアベルが名前の方を振り返ればもうその場に名前はおらず、もう目当てのガチャガチャのハンドルに手を伸ばそうとしているところで。
「って、もういないし……。本当、子供のおもちゃなんかにあんなに目をキラキラさせて。単純だね」
「……追いかけなくていいでしょうか?」
アビスが不安そうに聞けば、アベルは心配ないというように自らの首を振った。
「大丈夫、勝手に戻ってくるよ」
そう言ったすぐ後に、アベルの名前を大声で呼ぶ名前が走って戻ってきて。
「あ〜バッグ忘れちゃった! お金無かったら回せないじゃん! ちょっとーアベルくんなんで言ってくんないの!」
「ほらね」
「さすがアベル様」
アビスはぽかんとする名前の顔も相まって余計おかしくなり、フフっと小さな声で笑った。
*
その後、なぜか一緒になってガチャガチャをガチャガチャとし続けるアビスと名前にアベルは痺れを切らしていた。
「ちょっとアビス」
後ろから呆れたように声をかけてきたのはアベルだった。
「ア、アベル様……」
ハンドルを回すアビスと、横で100Lを入れ続ける名前の足元には赤、青、緑のカラフルなカプセルがたくさん転がっていて。その中にはパッと見ただけで、同じキャラが被っているのも何個か見受けられた。
「あのね、僕は名前にやめさせるように言ったんだよ。ミイラ取りがミイラになってどうするの」
アビスは申し訳なさそうな顔をしながら、肩を落とした。
「……アベル様だけが出なくて」
「そうなの! あとアベルくんだけでコンプリートなのに」
名前も便乗するようにコクコクと頷く。確かにこんなに引いているのに出ないものなのかとアベルは不思議に思ったが、散財した額を考える方が先だ。
「もう諦めなよ君たち。そもそも、中のカプセルがほぼないじゃないか」
「ダメだよ、アベルくんも連れて帰りたい」
「いや、それ似てるだけで僕じゃないでしょ」
「……アベルくんだけひとりぼっちになっちゃうなんて嫌だ!」
「だからそれ、僕じゃないってば」
ちょっとした押し問答の末に、折れる気配がないのを察したアベルは閉口し、自分の財布から400Lを取り出した。
「いいかい? これで最後だよ」
アビスも名前も意を決したように頷いて、息を飲んだ。投入される硬貨と、それと引き換えに回されるハンドル。出てくるカプセルに三人の視線が集中していた。
「……これだ!」
名前の嬉しそうな声に、アビスもカプセルを覗き込んでわっと声を上げた。無欲の方が出やすいのかもしれないと名前はしみじみ呟いていたが、何のことだかアベルにはよく分からなかった。
「ほら、満足しただろ。行くよ」
アベルは二人を促して、中断されていた買い物の続きを始めた。心の中では、自分に似ているキャラクターが欲しくてカプセルを回し続けていた二人のことを、少しだけ嬉しく思いながら。
「わ! わ! わ! 何これすっご! めっちゃガチャガチャたくさんあって目移りしちゃうよ〜!」
「もう、そんなキョロキョロしなくてもゆっくり見ればいいじゃないですか」
「こんな場所でゆっくりなんてしてられないよアビスくん。……あぁ! 最近出たばっかりの神覚者様シリーズもあるじゃん。最新作、レイン様も入ってる〜!」
はしゃぐ名前を他所に、アベルとアビスはまるで保護者のようで。もちろん、名前はそんなことには全く構わず、四方八方に積み上げられた色とりどりのガチャガチャを子供みたいなキラキラした目で見つめていた。
「あれ! あれね! 名前がずっと欲しかったやつ……」
「あぁ、あの魔法学校シリーズの」
ピッと名前が指を指した先には、魔法学校シリーズのキャラクターが7種類描かれていて。1回400Lとは案外高い。その値段にアビスは少し渋い顔をした。
「このシリーズに出てくる男の子二人がね、アベルくんとアビスくんに少し似てるんだ〜」
「ふーん……どのキャラクターなんだい?」
その話に少し興味を持ったアベルが名前の方を振り返ればもうその場に名前はおらず、もう目当てのガチャガチャのハンドルに手を伸ばそうとしているところで。
「って、もういないし……。本当、子供のおもちゃなんかにあんなに目をキラキラさせて。単純だね」
「……追いかけなくていいでしょうか?」
アビスが不安そうに聞けば、アベルは心配ないというように自らの首を振った。
「大丈夫、勝手に戻ってくるよ」
そう言ったすぐ後に、アベルの名前を大声で呼ぶ名前が走って戻ってきて。
「あ〜バッグ忘れちゃった! お金無かったら回せないじゃん! ちょっとーアベルくんなんで言ってくんないの!」
「ほらね」
「さすがアベル様」
アビスはぽかんとする名前の顔も相まって余計おかしくなり、フフっと小さな声で笑った。
*
その後、なぜか一緒になってガチャガチャをガチャガチャとし続けるアビスと名前にアベルは痺れを切らしていた。
「ちょっとアビス」
後ろから呆れたように声をかけてきたのはアベルだった。
「ア、アベル様……」
ハンドルを回すアビスと、横で100Lを入れ続ける名前の足元には赤、青、緑のカラフルなカプセルがたくさん転がっていて。その中にはパッと見ただけで、同じキャラが被っているのも何個か見受けられた。
「あのね、僕は名前にやめさせるように言ったんだよ。ミイラ取りがミイラになってどうするの」
アビスは申し訳なさそうな顔をしながら、肩を落とした。
「……アベル様だけが出なくて」
「そうなの! あとアベルくんだけでコンプリートなのに」
名前も便乗するようにコクコクと頷く。確かにこんなに引いているのに出ないものなのかとアベルは不思議に思ったが、散財した額を考える方が先だ。
「もう諦めなよ君たち。そもそも、中のカプセルがほぼないじゃないか」
「ダメだよ、アベルくんも連れて帰りたい」
「いや、それ似てるだけで僕じゃないでしょ」
「……アベルくんだけひとりぼっちになっちゃうなんて嫌だ!」
「だからそれ、僕じゃないってば」
ちょっとした押し問答の末に、折れる気配がないのを察したアベルは閉口し、自分の財布から400Lを取り出した。
「いいかい? これで最後だよ」
アビスも名前も意を決したように頷いて、息を飲んだ。投入される硬貨と、それと引き換えに回されるハンドル。出てくるカプセルに三人の視線が集中していた。
「……これだ!」
名前の嬉しそうな声に、アビスもカプセルを覗き込んでわっと声を上げた。無欲の方が出やすいのかもしれないと名前はしみじみ呟いていたが、何のことだかアベルにはよく分からなかった。
「ほら、満足しただろ。行くよ」
アベルは二人を促して、中断されていた買い物の続きを始めた。心の中では、自分に似ているキャラクターが欲しくてカプセルを回し続けていた二人のことを、少しだけ嬉しく思いながら。