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今日は良い天気だ。二人で外の木の下にあるベンチに座り、のんびりと日向ぼっこ中である。木漏れ日が気持ちよく、そよそよと風がわたし達の頬を撫でて、通り過ぎていく。
「ランスくん、わたし美容室行こうと思ってるんだけど」
「そうか。じゃあ、次会うのが楽しみだ」
最近のランスくんはこんな感じ。ツン要素がなくなって、デレ要素だけを存分に出してくれている気がする。しかも、さらっと甘い事を言ってくれるのに、本人は全く顔色を変えずに飄々と言うから困る。
「あのね、明るい髪色に染めようかと思うけどどう思う? 今の色は自毛なんだけど、ブリーチして抜いて、今っぽいカラーいれたいなって」
驚かせようかと思い、それを意気揚々に問えば、何だか心配そうな表情をしていて。
「オレは髪を染めたことはないが、髪の色を抜くというのは傷まないのか?」
「もちろん、多少は傷むだろうけど、ケアさえちゃんとしていれば大丈夫だと思う。もちろんいずれ、プリンにはなっちゃうけどね」
「じゃあダメだ」
「え、そんなにプリン気になっちゃう?」
「いや、髪が傷むのが」
「んー、それなら毛先を整えるだけにしようかな」
ランスくんが髪の手入れに厳しいとは知らなかった。今後より一層気をつけなきゃなんて思いながら、自分の長く伸びた髪の先をつい指でくるくるとする。これに関してはロングの女性特有の癖なのではないだろうか。
「ほら、それだよ」
そう言って髪をいじっていたわたしの手をそっと掴んだ彼は、代わりに自分の指であたしの髪をすっと梳いた。
「名前の髪は綺麗だから何もしなくていい。切ったら髪を結う楽しみもなくなるしな」
「そ、そんな急に言われると照れる! ヘアアレンジしてくれるのは嬉しいけど……」
「本当のことだから照れる必要もないだろ。……ほら、後ろ向いて」
わたしにそうお願いした彼は、お気に入りのポーチをゆっくりと開けた。わたしでなくとも、誰が見たって一目でお気に入りだとわかる理由は、妹のアンナちゃんが大きくプリントされているから。
聞いたことはないけれど、きっとポーチも特注なんだろう。で、肝心のそのポーチには、まるで女の子が持つようなきらきらなヘアアレンジアイテムがたくさん収納されているのである。
どうやら、最近はそれらを携帯するのが密かな楽しみになっているようで。妹のアンナちゃんにもヘアアレンジしてあげていたみたいだし、やっぱりシスコン過ぎるけど、そこに目をつぶれば面倒見が良いお兄ちゃんなんだよな。
「妹が髪は女の子の命だと言っていた」
「へー……アンナちゃん、さすがだね。その年から分かってらっしゃる」
「当然だ」
あぁ、嬉しそう。こうしてアンナちゃんを褒めると、彼はいつも自分が褒められているかのように優しく微笑み、「オレの妹だからな」と自慢げに言うのだ。そしてわたしはそんな姿を見て、つい呟いてしまう。「お兄ちゃん」と。
「断じてお前の兄ではない」
「いや、もうお兄ちゃんだもんランスくん。減るもんじゃないし、ちょっとくらいわたしにもお兄ちゃん要素分けてよ」
「分けられるか! そもそもお前が妹なんて、こちらから願い下げだ。お前は妹より手がかかるからな」
「お世話になります。お兄ちゃん」
「だからお兄ちゃんと呼ぶな」
ランスくんは慣れた手つきでコームを使って優しく髪を梳き、わたしの髪を丁寧に結っていく。今日は編み込んでハーフアップのテイストにしてくれるらしい。
そのうち、充電式のヘアアイロンも検討して髪すらも巻いてくれそうだ。わたしの髪をサクサクと編み込んでいくランスくんに、今日の髪型を聞けばハーフアップにして編み込んだ髪にヘアアクセサリーを付けたら完成ということらしい。
「……だが、髪の色はすぐには変えられないだろう」
「そうだねぇ。維持も難しいし、一旦色素を抜くとその色に染まっちゃうからね。次、染める色にも影響出ちゃうみたい」
その言葉にしばらく返答はなかったが、「出来た」と声が聞こえたのでどうやら集中していたらしい。小さな手鏡でしか見えないのが辛いが、今日もふんわり素敵に出来ている。なんなら、美容師顔負けだ。
「んー! さすがランスくん、めっちゃ可愛い」
「部屋に戻ればアイロンもバックミラーもあるんだが、悪いな」
「待って、いつの間に購入したの」
「アイロンの充電式も検討中だ」
「仕事が早い!」
やはり既に検討中だったか。ランスくんはわたしの正面に回って、髪型を確認し軽く頷いた。満足そうである。
でも結局さ、今までの話をまとめると、美容室に行っても髪をちょこっと整えてもらって、トリートメントくらいしかしてもらえる事がないよ。というか、それぐらいならいずれ、ランスくんにやってもらえるのではないか。
「ランスくん、わたしの専属の美容師さんだね」
「フン、これぐらい誰でも出来るだろう」
「出来ないよ!?」
「……お前が望むなら、オレは何にでもなってやる」
ランスくんが言うのであれば、きっとわたしの為に何にでもなってくれるのだろう。彼の言葉は絶対だ。
「じゃあ、あの、未来の旦那さんとか」
「は?」
「ダメ?」
「……お前な」
ちょっと照れたように目を逸らしたランスくんを見られるとはなかなかにレアだ。その顔を心の中で激写して、わたしは思わず笑ってしまうのだった。
「ランスくん、わたし美容室行こうと思ってるんだけど」
「そうか。じゃあ、次会うのが楽しみだ」
最近のランスくんはこんな感じ。ツン要素がなくなって、デレ要素だけを存分に出してくれている気がする。しかも、さらっと甘い事を言ってくれるのに、本人は全く顔色を変えずに飄々と言うから困る。
「あのね、明るい髪色に染めようかと思うけどどう思う? 今の色は自毛なんだけど、ブリーチして抜いて、今っぽいカラーいれたいなって」
驚かせようかと思い、それを意気揚々に問えば、何だか心配そうな表情をしていて。
「オレは髪を染めたことはないが、髪の色を抜くというのは傷まないのか?」
「もちろん、多少は傷むだろうけど、ケアさえちゃんとしていれば大丈夫だと思う。もちろんいずれ、プリンにはなっちゃうけどね」
「じゃあダメだ」
「え、そんなにプリン気になっちゃう?」
「いや、髪が傷むのが」
「んー、それなら毛先を整えるだけにしようかな」
ランスくんが髪の手入れに厳しいとは知らなかった。今後より一層気をつけなきゃなんて思いながら、自分の長く伸びた髪の先をつい指でくるくるとする。これに関してはロングの女性特有の癖なのではないだろうか。
「ほら、それだよ」
そう言って髪をいじっていたわたしの手をそっと掴んだ彼は、代わりに自分の指であたしの髪をすっと梳いた。
「名前の髪は綺麗だから何もしなくていい。切ったら髪を結う楽しみもなくなるしな」
「そ、そんな急に言われると照れる! ヘアアレンジしてくれるのは嬉しいけど……」
「本当のことだから照れる必要もないだろ。……ほら、後ろ向いて」
わたしにそうお願いした彼は、お気に入りのポーチをゆっくりと開けた。わたしでなくとも、誰が見たって一目でお気に入りだとわかる理由は、妹のアンナちゃんが大きくプリントされているから。
聞いたことはないけれど、きっとポーチも特注なんだろう。で、肝心のそのポーチには、まるで女の子が持つようなきらきらなヘアアレンジアイテムがたくさん収納されているのである。
どうやら、最近はそれらを携帯するのが密かな楽しみになっているようで。妹のアンナちゃんにもヘアアレンジしてあげていたみたいだし、やっぱりシスコン過ぎるけど、そこに目をつぶれば面倒見が良いお兄ちゃんなんだよな。
「妹が髪は女の子の命だと言っていた」
「へー……アンナちゃん、さすがだね。その年から分かってらっしゃる」
「当然だ」
あぁ、嬉しそう。こうしてアンナちゃんを褒めると、彼はいつも自分が褒められているかのように優しく微笑み、「オレの妹だからな」と自慢げに言うのだ。そしてわたしはそんな姿を見て、つい呟いてしまう。「お兄ちゃん」と。
「断じてお前の兄ではない」
「いや、もうお兄ちゃんだもんランスくん。減るもんじゃないし、ちょっとくらいわたしにもお兄ちゃん要素分けてよ」
「分けられるか! そもそもお前が妹なんて、こちらから願い下げだ。お前は妹より手がかかるからな」
「お世話になります。お兄ちゃん」
「だからお兄ちゃんと呼ぶな」
ランスくんは慣れた手つきでコームを使って優しく髪を梳き、わたしの髪を丁寧に結っていく。今日は編み込んでハーフアップのテイストにしてくれるらしい。
そのうち、充電式のヘアアイロンも検討して髪すらも巻いてくれそうだ。わたしの髪をサクサクと編み込んでいくランスくんに、今日の髪型を聞けばハーフアップにして編み込んだ髪にヘアアクセサリーを付けたら完成ということらしい。
「……だが、髪の色はすぐには変えられないだろう」
「そうだねぇ。維持も難しいし、一旦色素を抜くとその色に染まっちゃうからね。次、染める色にも影響出ちゃうみたい」
その言葉にしばらく返答はなかったが、「出来た」と声が聞こえたのでどうやら集中していたらしい。小さな手鏡でしか見えないのが辛いが、今日もふんわり素敵に出来ている。なんなら、美容師顔負けだ。
「んー! さすがランスくん、めっちゃ可愛い」
「部屋に戻ればアイロンもバックミラーもあるんだが、悪いな」
「待って、いつの間に購入したの」
「アイロンの充電式も検討中だ」
「仕事が早い!」
やはり既に検討中だったか。ランスくんはわたしの正面に回って、髪型を確認し軽く頷いた。満足そうである。
でも結局さ、今までの話をまとめると、美容室に行っても髪をちょこっと整えてもらって、トリートメントくらいしかしてもらえる事がないよ。というか、それぐらいならいずれ、ランスくんにやってもらえるのではないか。
「ランスくん、わたしの専属の美容師さんだね」
「フン、これぐらい誰でも出来るだろう」
「出来ないよ!?」
「……お前が望むなら、オレは何にでもなってやる」
ランスくんが言うのであれば、きっとわたしの為に何にでもなってくれるのだろう。彼の言葉は絶対だ。
「じゃあ、あの、未来の旦那さんとか」
「は?」
「ダメ?」
「……お前な」
ちょっと照れたように目を逸らしたランスくんを見られるとはなかなかにレアだ。その顔を心の中で激写して、わたしは思わず笑ってしまうのだった。