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今日は1月23日、フィン・エイムズの誕生日である。今まで友達と呼べる存在がいなかったフィンにとっては、友達ができてから初めて迎える誕生日。なので内心はちょっぴりドキドキしていた。
そんな最中教室に入ろうと近づいたタイミングで、その大きな声は聞こえてきた。
「今日が本番だね!」
「うっし、フィンが忘れられない誕生日にしてやろうぜ!」
「うん、フィンくんにはいつもお世話になってるし……自分史上、最高のシュークリームを作るつもりでいるよ。これで記録更新だ」
なんだ? 話してるのは…… 名前ちゃんとドットくんとマッシュくんか。いや、マッシュくんの気持ちは嬉しいけど、僕を祝いたいことより記録更新が目的になってるよね。これは聞いてはいけないやつなのではと思いつつも、フィンは笑いたい気持ちを堪え、三人から見えない場所に隠れた。
「おう! 期待してるぜマッシュ。んじゃ、シュークリーム係はマッシュに任せるとして……」
その場でドットは腕組みをして、うーんと唸った。
「でもよー、アイツらからこの三人で誘導係も頼まれてるじゃんか。どうやって誘導すっか」
「確かに……それが問題だよね。実際サプライズなんて、マッシュくんだけじゃ絶対言っちゃうよーって皆の意見が一致したし」
「まぁもう実績があるからな」
マッシュくんが魔法を使えない案件のことだ……!とフィンはすぐに察しがついた。
「そうそう。どうせ一人だったら挙動不審できっとすぐバレちゃうよ」
「失礼な。僕はそんなヘマはしないよ」
「ウソだ〜、素直なんだから絶対隠せないって!」
名前はケラケラと楽しそうに声を立てて笑ったが、フィンは内心気が気ではない。なぜなら、三人とも初手から誘導大失敗だからだ。そもそもこういう話は本人が来そうなところで大きな声で話しちゃダメだろ! マッシュくんがとか、もうそういうレベルじゃないし五十歩百歩だよとフィンの口からはため息が漏れる。
「ま、今のうちになんとなくシミュレーションしとくか」
そう言って急にドットが近づいてきたその瞬間と、フィンが三人に見つかる瞬間が重なるのはそう遠い未来ではなかった。相手の動きが見えない状態のフィンに責められる筋合いはなかったが、脳みそはフル回転の状態である。こうなったら全力で知らない、聞いてないフリの遂行だ。
「うぁ、お前……!」
「いや、僕も今来たところで……」
焦るドットにそう取り繕えば、同じく慌てた素振りの名前が場を取りなすようにブンブンと首を振って頷いた。
「なら、聞こえるわけはないもんね。うん、解散解散」
その場の誰もが思っていた。この事をなかったことにしようと。だが、フィンたちの謎の一致団結に一人入れていない男がいた。マッシュ・バーンデッドという男である。
「ぼ、僕たち……フィンくんの誕生日を祝いたくてサプライズしようなんて計画してないからね」
「あ」
誰から発せられた「あ」だったのかはもう定かではない。定かではないが、マッシュ以外の誰かの「あ」である事はハッキリしていた。
「あぁ、ランスくんに怒られちゃうよ〜!」
「なんで? まだバレてないよ?」
そう思っているのはこの場でマッシュ・バーンデッド……君ただ一人だけなんだよ。皆の優しい生あたたかい目がそれを物語っていた。
しかし、その悲しい事実を誰も指摘することはしない。マッシュの落ち込む姿を見たくないのももちろんのこと、その役回りはあまりに損だからだ。むしろ、その役目を無言で押し付けあっていたとも形容できるだろう。色々な感情を抱いたまま彼を除いた三人で……今の状態を確認し合うように、その日一番の乾いた笑顔をつくった。
そんな最中教室に入ろうと近づいたタイミングで、その大きな声は聞こえてきた。
「今日が本番だね!」
「うっし、フィンが忘れられない誕生日にしてやろうぜ!」
「うん、フィンくんにはいつもお世話になってるし……自分史上、最高のシュークリームを作るつもりでいるよ。これで記録更新だ」
なんだ? 話してるのは…… 名前ちゃんとドットくんとマッシュくんか。いや、マッシュくんの気持ちは嬉しいけど、僕を祝いたいことより記録更新が目的になってるよね。これは聞いてはいけないやつなのではと思いつつも、フィンは笑いたい気持ちを堪え、三人から見えない場所に隠れた。
「おう! 期待してるぜマッシュ。んじゃ、シュークリーム係はマッシュに任せるとして……」
その場でドットは腕組みをして、うーんと唸った。
「でもよー、アイツらからこの三人で誘導係も頼まれてるじゃんか。どうやって誘導すっか」
「確かに……それが問題だよね。実際サプライズなんて、マッシュくんだけじゃ絶対言っちゃうよーって皆の意見が一致したし」
「まぁもう実績があるからな」
マッシュくんが魔法を使えない案件のことだ……!とフィンはすぐに察しがついた。
「そうそう。どうせ一人だったら挙動不審できっとすぐバレちゃうよ」
「失礼な。僕はそんなヘマはしないよ」
「ウソだ〜、素直なんだから絶対隠せないって!」
名前はケラケラと楽しそうに声を立てて笑ったが、フィンは内心気が気ではない。なぜなら、三人とも初手から誘導大失敗だからだ。そもそもこういう話は本人が来そうなところで大きな声で話しちゃダメだろ! マッシュくんがとか、もうそういうレベルじゃないし五十歩百歩だよとフィンの口からはため息が漏れる。
「ま、今のうちになんとなくシミュレーションしとくか」
そう言って急にドットが近づいてきたその瞬間と、フィンが三人に見つかる瞬間が重なるのはそう遠い未来ではなかった。相手の動きが見えない状態のフィンに責められる筋合いはなかったが、脳みそはフル回転の状態である。こうなったら全力で知らない、聞いてないフリの遂行だ。
「うぁ、お前……!」
「いや、僕も今来たところで……」
焦るドットにそう取り繕えば、同じく慌てた素振りの名前が場を取りなすようにブンブンと首を振って頷いた。
「なら、聞こえるわけはないもんね。うん、解散解散」
その場の誰もが思っていた。この事をなかったことにしようと。だが、フィンたちの謎の一致団結に一人入れていない男がいた。マッシュ・バーンデッドという男である。
「ぼ、僕たち……フィンくんの誕生日を祝いたくてサプライズしようなんて計画してないからね」
「あ」
誰から発せられた「あ」だったのかはもう定かではない。定かではないが、マッシュ以外の誰かの「あ」である事はハッキリしていた。
「あぁ、ランスくんに怒られちゃうよ〜!」
「なんで? まだバレてないよ?」
そう思っているのはこの場でマッシュ・バーンデッド……君ただ一人だけなんだよ。皆の優しい生あたたかい目がそれを物語っていた。
しかし、その悲しい事実を誰も指摘することはしない。マッシュの落ち込む姿を見たくないのももちろんのこと、その役回りはあまりに損だからだ。むしろ、その役目を無言で押し付けあっていたとも形容できるだろう。色々な感情を抱いたまま彼を除いた三人で……今の状態を確認し合うように、その日一番の乾いた笑顔をつくった。