きっと夢中にさせるから
「ねぇ、彰人はキス以上の事もしたいと思ってる?」
「…まぁ…そりゃ…な」
「ふふ、そっか…」
「…ミクは嫌じゃねぇのか?」
「彰人なら私は構わないよ」
「なっ……!」
ミクは妖艶な笑みを浮かべ、オレの首筋を指先でなぞる。
「でも、彰人には無理かな?」
「あ?なんでだよ」
「だって彰人、したいって思ってるのに手出して来ないじゃん。度胸ないよね」
「なっ、別にビビってるわけじゃねぇよ…」
「だったら、キス以上の事もも出来るんでしょ?」
「ぐっ…」
ミクの言葉にオレは言い返せなくなってしまう
確かにミクの言う通り、オレはミクとしたいと思いながらもミクに手を出せずにいる
「彰人はヘタレだね」
「うるせぇ」
男として情けないとは思うが、ミクに言われると少し傷つく…けど、やっぱりミクの方が一枚上手でこいつに口で勝てるわけねぇよ…
オレは諦めてミクの肩に顔を埋める
「ふふ、可愛い」
「うるせぇ」
「彰人、好きだよ」
「っ…」
「照れてるの?」
「別に…照れてねぇよ」
「耳まで真っ赤だけど」
「ほっとけ」
ミクに言われて、ますます自分の顔が熱くなっていくのが分かる
男として可愛いって言われるのなんてめちゃくちゃ恥ずかしいと思えてくる…
「彰人、可愛い」
「可愛くねぇよ」
「ふふ、照れてる〜」
「だから、照れてねぇっての」
「じゃあ、男らしいとこ見せてよ」
「っ…わぁったよ」
ミクの挑発するような言葉にオレは覚悟を決めた
「もう…彰人、顔怖いよ」
「うるせぇ…」
オレはミクに顔を寄せると、その唇を奪った
「んっ…」
ミクは一瞬だけ驚いたような声を出したが、すぐに受け入れてくれた
柔らかい感触と甘い香りに頭がクラクラしてくる
「ふふ、彰人。必死すぎ」
「うっせぇ…」
「恥ずかしがってるのも可愛いね」
ミクは余裕そうに笑うと、オレの首に腕を回してきた
「もっとして?」
「っ…」
これ以上は、オレの理性が保たねぇ…
「彰人、どうしたの?」
「ミク…もう勘弁してくれ…」
「もうっ、彰人のヘタレ」
「うるせぇ…よ…」
ミクは楽しそうに笑うと、オレの頬に口付けをした
「じゃあ、今日はここまでにしてあげる」
「…おう」
オレはホッと胸を撫で下ろすと、ミクがいたずらに微笑んだ
「でも、次は責任取ってもらうからね?」
「なっ…!」
こいつの言葉には振り回されてばかりだ…
まぁ、それも悪くねぇと思ってる自分もいるけど…
これからもこいつには敵わねぇ気がする
「ミク。いつか、絶対オレの方からしてやるから待ってろ」
「楽しみにしとくね」
ミクが少しだけ照れ臭そうに笑う
その笑顔を見て、胸を締め付けられる
服をぎゅっと握り、言葉が漏れた
「ミク…」
「何?」
「情けない男でごめん…」
「ふふ、別に良いよ」
ミクはオレの手を取ると、自分の胸に押し当てた
「ちょっ…おまっ…」
「彰人がヘタレなのも、優しいのも知ってるから」
ミクは優しく微笑むと、オレの手をぎゅっと握った
「だから、これからもよろしくね」
「っ…あぁ」
オレはミクの手を握り返すと、そのまま引き寄せて抱きしめた
「彰人、苦しいよ…」
「我慢しろ」
「彰人のそういうところ好きだよ」
「うるせぇ…」
ミクはオレの胸に顔を埋めると、小さく呟いた
「彰人、ありがとう」
「あぁ…」
いつか、ちゃんとミクに応えられる男になるから…
それまで待ってくれよな
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