1〜25日目!
「お前の優しさはいつか人を殺す」
松平のとっつあんと飲みに行った時に言われた言葉。あの時、とっつあんは飲みに飲んでたから、酔っ払いの戯言だと思ってた。
だから、気にしてなかったんだ。さっきまでは。
「あんたの優しさは俺を殺しそうだよ」
トシが俺を押し倒して、そんなこと言うまでは。
何でこうなったかは俺にもよく分からない。
いつものように仕事の話をして、
いつものように休憩がてらに茶を飲んで、
いつものようにキスをせがまれた。
そう、いつものように、だ。
それなのに、今日に限ってはトシの何かに触れたんだろう。
キスをしてる時に、腕を引っ張られて体勢が崩れた。トシの方に腕が手繰り寄せられて、起き上がることができずに、俺はずるずるとそのまま背中を床につけた。その最中にもキスは続いていて、押し倒されたときには、トシの舌が俺の口の深いところまで繋がろうとしていた。
息苦しくなって、取られてない手でトシの肩を少し強く押した。それだけであっさりと唇は離された。さっきまでの強引さは何だったのか。しかし、俺の上からは退かないつもりらしい。
「どうしたんだよ、トシ。今日、なんかあった?」
何事もないように冷静に聞いてみた。意外とどうでもいいことかもしれないし、深刻なことじゃないかもしれない。そんな軽い気持ちで聞いたら、俺に殺されるなんて物騒なことを言われた。
「え、なんでそうなるんだよ」
「なァ、本当に俺が煙草を減らしたいがために、あんたとキスしたいと言ってると思ったか?」
思ってた。トシがそう言ったんじゃねェか。
日頃お世話になってるし、トシのために出来ることを何かしてェって思ったから協力したのに、なんで俺追い詰められてんの?
俺が頷くと、トシは端正な顔を歪めて、悲しそうな顔をした。綺麗な顔は、歪んでも綺麗なんだな、と現実逃避のような感想が浮かんだ。なにがそんなに不満なんだろうか。
「あんたのそれは、優しさなのか?それとも逃げなのか?」
逃げって言われたらそうなのかな。
ひとつだけ訂正というより追加すると、思ってたけど、トシの下心も知ってた。初めてキスした時の、トシの目が少し怖かったのを覚えてる。
だからって、なんで俺がトシを殺すことになるんだ。
殺す訳ない。ちゃんとトシの気持ちを俺は分かろうとしてるのに。
だから、キスをずっと拒まなかったのに。
馬鹿なトシ。
自分だって、俺に何も言ってないのに。
好きだも愛してるも何も。
それこそそれは、トシの優しさ?逃げ?
なんて俺からは聞かないけれど。
馬鹿だなァ、トシは。
「ははは。でもいつか、あんたに殺されるなら本望かもしれないな」
ああもう!馬鹿言わないでくれ!
松平のとっつあんと飲みに行った時に言われた言葉。あの時、とっつあんは飲みに飲んでたから、酔っ払いの戯言だと思ってた。
だから、気にしてなかったんだ。さっきまでは。
「あんたの優しさは俺を殺しそうだよ」
トシが俺を押し倒して、そんなこと言うまでは。
何でこうなったかは俺にもよく分からない。
いつものように仕事の話をして、
いつものように休憩がてらに茶を飲んで、
いつものようにキスをせがまれた。
そう、いつものように、だ。
それなのに、今日に限ってはトシの何かに触れたんだろう。
キスをしてる時に、腕を引っ張られて体勢が崩れた。トシの方に腕が手繰り寄せられて、起き上がることができずに、俺はずるずるとそのまま背中を床につけた。その最中にもキスは続いていて、押し倒されたときには、トシの舌が俺の口の深いところまで繋がろうとしていた。
息苦しくなって、取られてない手でトシの肩を少し強く押した。それだけであっさりと唇は離された。さっきまでの強引さは何だったのか。しかし、俺の上からは退かないつもりらしい。
「どうしたんだよ、トシ。今日、なんかあった?」
何事もないように冷静に聞いてみた。意外とどうでもいいことかもしれないし、深刻なことじゃないかもしれない。そんな軽い気持ちで聞いたら、俺に殺されるなんて物騒なことを言われた。
「え、なんでそうなるんだよ」
「なァ、本当に俺が煙草を減らしたいがために、あんたとキスしたいと言ってると思ったか?」
思ってた。トシがそう言ったんじゃねェか。
日頃お世話になってるし、トシのために出来ることを何かしてェって思ったから協力したのに、なんで俺追い詰められてんの?
俺が頷くと、トシは端正な顔を歪めて、悲しそうな顔をした。綺麗な顔は、歪んでも綺麗なんだな、と現実逃避のような感想が浮かんだ。なにがそんなに不満なんだろうか。
「あんたのそれは、優しさなのか?それとも逃げなのか?」
逃げって言われたらそうなのかな。
ひとつだけ訂正というより追加すると、思ってたけど、トシの下心も知ってた。初めてキスした時の、トシの目が少し怖かったのを覚えてる。
だからって、なんで俺がトシを殺すことになるんだ。
殺す訳ない。ちゃんとトシの気持ちを俺は分かろうとしてるのに。
だから、キスをずっと拒まなかったのに。
馬鹿なトシ。
自分だって、俺に何も言ってないのに。
好きだも愛してるも何も。
それこそそれは、トシの優しさ?逃げ?
なんて俺からは聞かないけれど。
馬鹿だなァ、トシは。
「ははは。でもいつか、あんたに殺されるなら本望かもしれないな」
ああもう!馬鹿言わないでくれ!