1〜25日目!
「おまえ、どこのこ?」
もじゃもじゃした銀色の塊が、路地裏の隅で蠢いているのが見えた。下校途中の近藤は、足を止めてそちらに顔を覗かせる。
塊は何も発さず、もぞもぞと動いてるだけ。近藤はキョロキョロと辺りを見回してから、塊に手を伸ばした。
「うちのこになる?」
ピタッと動きを止めた塊。
近藤は首を傾げるも、手はそのままで塊が動くのを待った。塊はそれからゆっくりとだが、恐る恐る細長いものをこちらへ伸ばして、その手に絡んだ。そして、そのまま近藤の服の中に入ってきたのだ。
「ひゃっ!」
唐突にひんやりとした塊が身体に触れて、ビクッと近藤は反応してしまった。気づいたときには、服の中で塊が蠢いてるのが分かった。
自分の服の中がどうなっているのだろう。
ドキドキとしながら、襟口から近藤は中を覗いてみる。そこからは、塊の目の部分が見えた。こちらをじっと不安げに見ているように思えた。それに近藤はにっこりと笑い、「家にかえろ」と言って服の上から、ゆっくりと抱きしめる。
塊は動かない。それは近藤を許容してるかのようだった。その後、ふたりは家路を急ぐように、路地裏から出ていった。
近藤は知らない。これから起こる試練に翻弄されることを。