1〜25日目!
「銀時は俺といるのが辛いか?」
「は?」
近藤の言葉に、俺は間抜けな声が出た。
辛い?お前といると?
そんなわけないと言いたかったが、今度は声が出なかった。図星だったからだ。
辛い。怖い。苦しい。
少なからず心にあった感情。
俺は視線を外して、「んなわけないだろ」とようやく言葉に出したが、説得力が皆無なのはわかっていた。
「そっかァ。でも、俺には苦しそうに見える。なァ、銀時」
そう言う近藤の顔も辛そうだった。なんで、こんなことになってしまったんだろう。
ただ一緒に居られるだけで良かったのに。
恋人になって、同じ気持ちで嬉しかったはずなのに。
なんでこんなに苦しいと思うんだろうか。
手放したくないと思えば思うほどに、
なんでこんなに怖いと思うんだろうか。
後ろを振り向いて下を向くと、骸骨が俺の足を掴んでいる夢を見出したのはいつからだ。
その骸骨から「失うぞ」と言われたのはいつからだ。
いつから俺は、近藤の顔を見ることができなかった?
「銀時が苦しいならさ、一旦元に戻ろうぜ」
「もとに?」
「おう。万事屋と真選組の、そうだな、腐れ縁みたいな関係に」
恋人になる前の関係に。
声が出なかった。沈黙は肯定と同じだ。
近藤が席を立つ。まだ間に合う。引き止めろよ、と俺は拳を握るが、足は動かない。またあの骸骨が掴んでいるのだろうか。
近藤が笑って言う。
『さよなら、銀時 』
「ぎ……ちゃ……ぎん………さん!!」
「銀ちゃん!」「銀さん!」
「うおっ!!イテェ!!え、何?お前ら」
唐突に両耳近くから大きな声をかけられて、俺は椅子ごとひっくり返った。しっかりと後頭部を打って、痛みに呻きながらも、元凶どもに話を聞く。
「何じゃないアル。仕事に行くアルヨ」
「は?仕事?」
「銀さん覚えてないんですか?今日、猫探しの依頼あったじゃないですか」
あーそうだった気もする。俺は気のない返事をし、神楽と新八はやれやれと言う感じで顔を見合わせていた。
「銀ちゃん、先行ってるアルからな」
「銀さん、早く来てくださいよ」
ふたりは、そのまま万事屋を出ていった。俺はというと、まだ倒れ込んだままだった。行かなきゃならねェと思うが、体が動かない。
さっきの夢を思い出してしまう。いや、夢じゃない。現実に起きたこと。この前のことだ。
俺と近藤は付き合っていた。
酔った勢いで俺から告白して、酔った勢いで付き合うことになって、酔った勢いで身体を繋げて、ほとんど酔った勢いで恋人になったようなもんだ。
それでも、それまでは楽しく恋人らしいことできたと思う。ほんの少しだけかもしれないが。
好き、好きだった。
いや、今でも好きなんだと思う。
でも、怖いと思った。
俺の手の届かない範囲にいるあいつが怖かった。
俺の手からすり抜けるように消えそうなあいつが怖かった。
自分の右手を見る。
あの時、付き合う前、あいつがいなくなるかもしれなかった時。
あの時はしっかりと手を握れた。
でも、次は?次の次は?次の次の次は?
考え出すとキリがない。
「仕事、行くか……」
俺は起き上がって、外を見る。俺の気分とは真逆に晴れ上がった空が眩しかった。
「は?」
近藤の言葉に、俺は間抜けな声が出た。
辛い?お前といると?
そんなわけないと言いたかったが、今度は声が出なかった。図星だったからだ。
辛い。怖い。苦しい。
少なからず心にあった感情。
俺は視線を外して、「んなわけないだろ」とようやく言葉に出したが、説得力が皆無なのはわかっていた。
「そっかァ。でも、俺には苦しそうに見える。なァ、銀時」
そう言う近藤の顔も辛そうだった。なんで、こんなことになってしまったんだろう。
ただ一緒に居られるだけで良かったのに。
恋人になって、同じ気持ちで嬉しかったはずなのに。
なんでこんなに苦しいと思うんだろうか。
手放したくないと思えば思うほどに、
なんでこんなに怖いと思うんだろうか。
後ろを振り向いて下を向くと、骸骨が俺の足を掴んでいる夢を見出したのはいつからだ。
その骸骨から「失うぞ」と言われたのはいつからだ。
いつから俺は、近藤の顔を見ることができなかった?
「銀時が苦しいならさ、一旦元に戻ろうぜ」
「もとに?」
「おう。万事屋と真選組の、そうだな、腐れ縁みたいな関係に」
恋人になる前の関係に。
声が出なかった。沈黙は肯定と同じだ。
近藤が席を立つ。まだ間に合う。引き止めろよ、と俺は拳を握るが、足は動かない。またあの骸骨が掴んでいるのだろうか。
近藤が笑って言う。
『さよなら、
「ぎ……ちゃ……ぎん………さん!!」
「銀ちゃん!」「銀さん!」
「うおっ!!イテェ!!え、何?お前ら」
唐突に両耳近くから大きな声をかけられて、俺は椅子ごとひっくり返った。しっかりと後頭部を打って、痛みに呻きながらも、元凶どもに話を聞く。
「何じゃないアル。仕事に行くアルヨ」
「は?仕事?」
「銀さん覚えてないんですか?今日、猫探しの依頼あったじゃないですか」
あーそうだった気もする。俺は気のない返事をし、神楽と新八はやれやれと言う感じで顔を見合わせていた。
「銀ちゃん、先行ってるアルからな」
「銀さん、早く来てくださいよ」
ふたりは、そのまま万事屋を出ていった。俺はというと、まだ倒れ込んだままだった。行かなきゃならねェと思うが、体が動かない。
さっきの夢を思い出してしまう。いや、夢じゃない。現実に起きたこと。この前のことだ。
俺と近藤は付き合っていた。
酔った勢いで俺から告白して、酔った勢いで付き合うことになって、酔った勢いで身体を繋げて、ほとんど酔った勢いで恋人になったようなもんだ。
それでも、それまでは楽しく恋人らしいことできたと思う。ほんの少しだけかもしれないが。
好き、好きだった。
いや、今でも好きなんだと思う。
でも、怖いと思った。
俺の手の届かない範囲にいるあいつが怖かった。
俺の手からすり抜けるように消えそうなあいつが怖かった。
自分の右手を見る。
あの時、付き合う前、あいつがいなくなるかもしれなかった時。
あの時はしっかりと手を握れた。
でも、次は?次の次は?次の次の次は?
考え出すとキリがない。
「仕事、行くか……」
俺は起き上がって、外を見る。俺の気分とは真逆に晴れ上がった空が眩しかった。