1〜25日目!

こんなにも手の届く距離にいるのに、手が出せないとか。何やってんだよ、俺は。

日誌を付けている近藤さんが、内容を考えているからか、唇を尖らせている。考えているときの近藤さんの癖だ。
その唇をシャーペンの頭でより突き出しているように押しているから……
俺は何故かすごくキスしたくなった。
いや、俺は馬鹿か!!
今、この教室は俺と近藤さん以外誰もいないからって……!!
顔が熱い。俺の顔はきっと赤いだろう。
日が傾き、教室全体が夕日の色に染め上がる。
俺と近藤さんも、例外ではなく。そう、そのせいだ。俺は夕日のせいで顔が赤い。そうしよう。
まだ近藤さんはうーんと日誌と睨めっこしていた。真正面にいる俺の顔をまだ見えていない。
俺はこの顔を近藤さんに見られたくなくて、帰路を急ぐかのように立ちあがった。
「近藤さん、遅くなるからもう帰ろう」
ぜ……と言う前に、くいっと裾を掴まれて、それ以上進まなかった。
こんなことできるなんて、ひとりしかいない。振り向いて、その人の名前を言った。
「近藤さん?」
「なァ、トシはいつになったら手を出すの?」

夕日に照らされたからか、近藤さんの顔も赤かった。
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