江戸の街歌舞伎町。
大変賑やかででもなにか温かみのある街。
そこで出会った神楽ちゃん、土方さん。そして私を助けてくれた沖田さん。
この三人に会ったからか心做しか張り詰めていた心はだんだんと安心していくようになっていた。


「着いたぞ、此処が真選組屯所。俺らの拠点だ」



「へぇ...大っきいのですね！」



今まで歩いてきた道にはここまで大きい建物は無かった。真選組と言うのは大きな組織なのだろう。




「此処では何人もの隊士が仕事だけじゃなくて、寝入りする所だからな。総悟、七海を案内してやれ。俺は近藤さんと松平のとっつぁんを呼んでくる。」




「分かりやした。七海、行きやしょう」



「は、はい！」


少し表門から歩くと本拠地であろう大きな家がドスンと構えて建っていた。



「此処が真選組の仕事場でさぁ、此処で俺らは仕事するんでぃ。俺は滅多に行きやせんが。」



「え、仕事しないの？」


確かに、神楽ちゃんは暇人って言ってたな...



「へい、面倒臭いんでィ」





「そ、そうなんだ...でも、沖田君って隊長なんでしょ？」




「そうでさぁ、一番隊って言って切り込み隊をやってるんでさぁ。仕事は部下に任せてやすけど。」




「そうなんだ...だから今日街でふらふらしてたの？」




「あ、あれは見廻りでさぁ。俺はサボるチャンスだと思ってやすがね」




「本当に仕事しないのね...でも、...いや何でもない」


サボっているかもしれないけど、私のことを守ってくれたのは仕事のうちに入るのではと思ったが、照れ臭くて言えなかった。
いつか勇気をだしてまたお礼を言おう。


「なんでィ？まぁ、いいや。そこに見える食堂は真選組の隊士の食事処だ。この自販機は見ないようにしてくだせぇ」



「え？」



沖田君が言った自販機はなんとアダルトブックのようなナニかがあった。



「...見なかったことにします。」




「なんでィ見ちゃったんですかぃ？まぁ減るもんじゃねぇからいいや。でここからが隊士の部屋。ここは、本当は女性禁制でさぁ。けど今後隊士になる人はいいでさぁ。多分」



「た、多分なのね...でも、本当に男性ばっかりなの？女の人は誰もいないの？」



「隊士にはいやせん。食堂のおばさんと家事全般をやっている人は女ですがね。」



「そっか...なら私はお手伝いさんをするのかな？」



「七海がですかい？それはねぇでさぁ...」



「何で？」



「そりゃあ、多分...」



「お、二人とも近藤さんと松平のとっつぁん読んだぞ。ついて来い。」



「さ、行きやしょう。」