前途洋洋
暗闇の中吸い込まれるように夢の世界へと入っていった。
「銀時、立派になったな」
「銀時、駄目だぞ人に迷惑をかけては」
「銀って言うのはな、金よりも劣っているが偶に鋭く美しく輝くんだ」
「いつか知れるようにな...」
もう聞くことは出来ない母上の声が聞こえてくる。それは褒められたり、怒られたり、時には儚い声も。
でも、これは自分のせいだと追い込む。
この思いを何度も何度繰り返し感じた。
己の弱さに絶望した。
あの本は俺が誕生日の時に頼んだもの。
その時村では他国いや、宇宙に無数に広がる星について流行っていた。だから、俺はあの星の本を持っているぞ、と自慢してやりたかった。しかし、俺達の住んでいるこの星はその星々と戦争を繰り広げていた。そんな事もいざ知らず、浮かんできたのは父上の役業貿易商だった。父上に本を買って欲しいと頼んたが、驚きの声で断れた。そんな事をいくつか繰り返した後にいい加減にしろと怒られた。だけど俺は、この言葉に理解を得ず己の願望に流されて自分で行動をとった。父上の部下に何でもいいからあの星の本を父上にバレないように取り入れろと言った。しかし、案の定断られたが何度も何度も説得をすると渋々受け入れてくれた。密輸ていう形で。
「ぎ...、ぎ...きくん.....銀時君起きて」
「うわっ!!」
目を開けるともう部屋は明るくなっていた。やはり、寝ると時間があっという間に過ぎてしまう。けれど、それに驚いたのでは無く...
「ちょっと!近い!!」
男の役人の顔が五寸を過ぎていないかいるかの近さで起きろと言っていた。
「っ!す、すみません...余りにも起きないので必死になってしまって...」
「必死になったら顔をちかづけんのかよ...っていうか今何時だ?」
「朝の十時を過ぎたところです。このまま寝かせてあげても良かったのですが、体を回復させるには...ご飯、必要でしょう?」
「そうか、ありがとよ。なぁ、お前いつ俺を拾ったんだ?」
「四日前です。銀時君は胸に二箇所の切り傷を負って...」
「そう...なぁ、お前昨日聞きたい事とか言ってたよな、あれなんだ?」
「銀時君にとってとても辛い質問です。」
「あ、そう」
「...答えたくなければ無理しないで下さい...銀時君を斬ったのは...あなたのご両親を、殺害したのは...誰ですか?分からなければ容姿だけでも...」
「なんだよ...その事かよ…ハハッ...俺と国司だ」
「...えっ銀時君と国司...殿が?」
「あぁ、俺が原因、あいつが直接手を下した…」
「...そんなっ...なんでそんな事に...」
茫然と俺の顔を見る目は驚きと恐怖で染まっていた。そう反応するのは当たり前だが、やはりそう見られると心が疼く。
「俺は...俺は、この星の事じゃねぇ本を買った。父上の貿易商を利用して...けど、俺...知らなかったんだ...この星が...その星々と戦争してた事。だから、俺の欲望のせいでその本を取得れた輸入先した相手から多額の費用を求められた。なんせ、戦争の敵に関しての事をたかが庶民に教えるなんて有り得ねぇだろ。けれどその輸入先は違ったんだ...敵そのものだったんだ。それが国司にバレて...それで...でもその後は父上は教えてくれなかった。幼い子供には分からねぇって...でも、俺がした事だと、父上は知らなかったんだ。父上の部下がした事となっていたんだ。だから、父上はその濡れ衣を俺が着せた部下を首にした。けれど、首にしたって父上の会社がしでかした、そういうことになって...父上は殺された...この星の裏切りものだと。それで...それで、母上は国司を止めようと立ち向かったけど、腹を刺されて...それで俺が自分の弱さに絶望して、国司をこの手で殺そうと...思ったんだ。けど、あっけなくやられた…それでこのザマよ。」
言い終わった。全てを語った…頬には一筋流れていた涙がどんどんかさを増していき何本もの筋を作り雫を布団の上で零した。
「銀時...君は、そんな歳なのにそんな事を...そうか、そうだな…お前は悪くない。知らなかったんだもんな…いいんだよ。興味くらい...持って。そうか...偉いなお前...そんな事を経験しても、両親に続いてついて行こうとせずに生きようとしたんだからよ。」
ふと役人を見た。視界は涙のせいでボヤいていたが、役人が壊れそうな俺の心を優しく包むようににこやかに微笑みながら泣いていた。
この微笑みで俺は救われた。あの自分ばかり責める時から。
「銀時、立派になったな」
「銀時、駄目だぞ人に迷惑をかけては」
「銀って言うのはな、金よりも劣っているが偶に鋭く美しく輝くんだ」
「いつか知れるようにな...」
もう聞くことは出来ない母上の声が聞こえてくる。それは褒められたり、怒られたり、時には儚い声も。
でも、これは自分のせいだと追い込む。
この思いを何度も何度繰り返し感じた。
己の弱さに絶望した。
あの本は俺が誕生日の時に頼んだもの。
その時村では他国いや、宇宙に無数に広がる星について流行っていた。だから、俺はあの星の本を持っているぞ、と自慢してやりたかった。しかし、俺達の住んでいるこの星はその星々と戦争を繰り広げていた。そんな事もいざ知らず、浮かんできたのは父上の役業貿易商だった。父上に本を買って欲しいと頼んたが、驚きの声で断れた。そんな事をいくつか繰り返した後にいい加減にしろと怒られた。だけど俺は、この言葉に理解を得ず己の願望に流されて自分で行動をとった。父上の部下に何でもいいからあの星の本を父上にバレないように取り入れろと言った。しかし、案の定断られたが何度も何度も説得をすると渋々受け入れてくれた。密輸ていう形で。
「ぎ...、ぎ...きくん.....銀時君起きて」
「うわっ!!」
目を開けるともう部屋は明るくなっていた。やはり、寝ると時間があっという間に過ぎてしまう。けれど、それに驚いたのでは無く...
「ちょっと!近い!!」
男の役人の顔が五寸を過ぎていないかいるかの近さで起きろと言っていた。
「っ!す、すみません...余りにも起きないので必死になってしまって...」
「必死になったら顔をちかづけんのかよ...っていうか今何時だ?」
「朝の十時を過ぎたところです。このまま寝かせてあげても良かったのですが、体を回復させるには...ご飯、必要でしょう?」
「そうか、ありがとよ。なぁ、お前いつ俺を拾ったんだ?」
「四日前です。銀時君は胸に二箇所の切り傷を負って...」
「そう...なぁ、お前昨日聞きたい事とか言ってたよな、あれなんだ?」
「銀時君にとってとても辛い質問です。」
「あ、そう」
「...答えたくなければ無理しないで下さい...銀時君を斬ったのは...あなたのご両親を、殺害したのは...誰ですか?分からなければ容姿だけでも...」
「なんだよ...その事かよ…ハハッ...俺と国司だ」
「...えっ銀時君と国司...殿が?」
「あぁ、俺が原因、あいつが直接手を下した…」
「...そんなっ...なんでそんな事に...」
茫然と俺の顔を見る目は驚きと恐怖で染まっていた。そう反応するのは当たり前だが、やはりそう見られると心が疼く。
「俺は...俺は、この星の事じゃねぇ本を買った。父上の貿易商を利用して...けど、俺...知らなかったんだ...この星が...その星々と戦争してた事。だから、俺の欲望のせいでその本を取得れた輸入先した相手から多額の費用を求められた。なんせ、戦争の敵に関しての事をたかが庶民に教えるなんて有り得ねぇだろ。けれどその輸入先は違ったんだ...敵そのものだったんだ。それが国司にバレて...それで...でもその後は父上は教えてくれなかった。幼い子供には分からねぇって...でも、俺がした事だと、父上は知らなかったんだ。父上の部下がした事となっていたんだ。だから、父上はその濡れ衣を俺が着せた部下を首にした。けれど、首にしたって父上の会社がしでかした、そういうことになって...父上は殺された...この星の裏切りものだと。それで...それで、母上は国司を止めようと立ち向かったけど、腹を刺されて...それで俺が自分の弱さに絶望して、国司をこの手で殺そうと...思ったんだ。けど、あっけなくやられた…それでこのザマよ。」
言い終わった。全てを語った…頬には一筋流れていた涙がどんどんかさを増していき何本もの筋を作り雫を布団の上で零した。
「銀時...君は、そんな歳なのにそんな事を...そうか、そうだな…お前は悪くない。知らなかったんだもんな…いいんだよ。興味くらい...持って。そうか...偉いなお前...そんな事を経験しても、両親に続いてついて行こうとせずに生きようとしたんだからよ。」
ふと役人を見た。視界は涙のせいでボヤいていたが、役人が壊れそうな俺の心を優しく包むようににこやかに微笑みながら泣いていた。
この微笑みで俺は救われた。あの自分ばかり責める時から。
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