マグダレーナさんの妄想書架
【総括:要するに】
あれがこれが、とか何とか、兎に角嬉々としながらご自慢のコレクションを広げるマグをどうにか制す。
「もういいわよ…これ以上私の生命力吸い取らないで」
「えーっ、だってクラウが『こんなベタ甘な女の子、見るに堪えない』とか言うから、じゃあこういうのなら読めるのかな?と用意してあげたんですよぉ?」
「それはハーレクインの話でしょ?なんでそこから、ホ………男性同士になるのよ」
「ホモだけど、所謂ホモじゃないんです。ボーイズラブです。ファンタジーです」
「ボーイと呼べるような年齢設定が幾つあったのよ…」
確かに私はそう言ったわよ。
言ったけど、注目する場所間違えてるでしょ。
私はあくまで、恋愛絡みの甘ったるい話、特に『恋に恋』しているような女の子を見るのが苦手なのであって―――つまり、そんな趣味無いのよ!
「でもぉ、この間は『同性愛も個人の自由』って言ってたじゃないですか」
「リアルと妄想を一緒にしないで!」
「ぶーぶー」
「ぎ、擬音を口に出さないでよ…」
まったくもって、何が面白いのか理解出来ない。
私に言わせれば、ただの恋愛話だって大して面白くはないのに、そこへ来て何故に態々男性同士?
…ああもう、溜息しか出ない。
「あのさー、いっこ質問していい?」
それまで(何が面白かったのかは知らないし知りたくもないが)ケラケラ笑うだけだったネルが、片手を上げてマグに向き直る。
増長させるような質問だけはしないでよ、頼むから。
「コレ、みんな歴史モノだけど幾つか飛んでるよね。スキマ無いの?」
リクエストしてんじゃないわよ!!
なに、あなたまで目覚めたって訳?
どんな悪夢よそれ。
「ああ、アメジスト様の頃は聖域扱いで、敢えてやらないのが暗黙の了解ですね~。他はちょっと探せばざくざく出てきますよ」
「うわあ」
…反応を見るに、目覚めた訳じゃないらしい。
良かった。本当に良かった。
「いやね、こういうのの基準って何なんだろ、って思ったんだよね。だってさ、一応みんなその…ホモじゃない訳じゃん?」
「いくつか疑惑がありましたよ?」
「…それについては最近覚えた言葉があるからこう言ってあげよう」
「はい?」
「『やめたげてよぉ』」
「それをやるのが腐女子ってモノなんですー」
「わあ」
マグ曰く、私には刺激が強すぎると思ったモノについては一応配慮してくれていたらしい。
そういう配慮が出来るなら最初から見せないでおいてくれるのが一番有り難かった。
「…って、ちょっと待って」
「はい?」
見覚えのある登場人物名ばかりの、如何とも形容しがたい本がずらっと並ぶ中、見つけてはいけないモノを見つけてしまった。
「キグナス殿下って…あなたの、おじいさまよね?」
「ええそうですけど?」
「………。」
「何ですかクラウ、渋い顔して」
渋い顔。
それはそうだろう。
私は今、これまでの人生で一番、眉間に皺が寄っている自信がある。
「あなた、自分の身内でも妄想のタネに出来るわけ…?」
「出来ますが、何か?」
「……………。」
満面の笑みで言う事じゃないでしょソレは!!
「あれ、わたし何か変な事言いました?」
そんな可愛い顔して首傾げても、最早悪魔にしか見えないから是非やめてちょうだい。
「寧ろ身内っていいですよぉ、生の逸話が聞けるんですから。『あー仲良かったんだー、ぐへへ』とか出来るの幸せですよ?」
………最早、ツッコむ余力が残っちゃいない。
草葉の陰で何人泣かせてんのよあなたって人は。
…約一名、どえらく乗り気な輩が居るのは気にしない事にしておくとして。
「あ、でもやっぱり、一番の萌えどころはもっと近くにありますね~…ところで今日はあのふたり居ないんですかぁ?」
「…ああ、『やめたげてよぉ』ってこういう時に使うのね、理解した」
寧ろその、喜色満面状態のあなたを目撃して尚彼等が寄ってくるとしたら、本気で潰しにかかってるとしか思えないんだけど。
いやいっそ潰しにかかってくれて構わないわ。
今、そんな気持ちになった。うん。
「…ときにさあ、クラウ?」
「なによ、ネル」
「あんたもあたしも、用語っていうの?そういうの知らず知らずのうちに理解しちゃってる気がするんだけど、これって染められてるとか言わないのかな」
「わああああああ」
終わってあげて下さい。
あれがこれが、とか何とか、兎に角嬉々としながらご自慢のコレクションを広げるマグをどうにか制す。
「もういいわよ…これ以上私の生命力吸い取らないで」
「えーっ、だってクラウが『こんなベタ甘な女の子、見るに堪えない』とか言うから、じゃあこういうのなら読めるのかな?と用意してあげたんですよぉ?」
「それはハーレクインの話でしょ?なんでそこから、ホ………男性同士になるのよ」
「ホモだけど、所謂ホモじゃないんです。ボーイズラブです。ファンタジーです」
「ボーイと呼べるような年齢設定が幾つあったのよ…」
確かに私はそう言ったわよ。
言ったけど、注目する場所間違えてるでしょ。
私はあくまで、恋愛絡みの甘ったるい話、特に『恋に恋』しているような女の子を見るのが苦手なのであって―――つまり、そんな趣味無いのよ!
「でもぉ、この間は『同性愛も個人の自由』って言ってたじゃないですか」
「リアルと妄想を一緒にしないで!」
「ぶーぶー」
「ぎ、擬音を口に出さないでよ…」
まったくもって、何が面白いのか理解出来ない。
私に言わせれば、ただの恋愛話だって大して面白くはないのに、そこへ来て何故に態々男性同士?
…ああもう、溜息しか出ない。
「あのさー、いっこ質問していい?」
それまで(何が面白かったのかは知らないし知りたくもないが)ケラケラ笑うだけだったネルが、片手を上げてマグに向き直る。
増長させるような質問だけはしないでよ、頼むから。
「コレ、みんな歴史モノだけど幾つか飛んでるよね。スキマ無いの?」
リクエストしてんじゃないわよ!!
なに、あなたまで目覚めたって訳?
どんな悪夢よそれ。
「ああ、アメジスト様の頃は聖域扱いで、敢えてやらないのが暗黙の了解ですね~。他はちょっと探せばざくざく出てきますよ」
「うわあ」
…反応を見るに、目覚めた訳じゃないらしい。
良かった。本当に良かった。
「いやね、こういうのの基準って何なんだろ、って思ったんだよね。だってさ、一応みんなその…ホモじゃない訳じゃん?」
「いくつか疑惑がありましたよ?」
「…それについては最近覚えた言葉があるからこう言ってあげよう」
「はい?」
「『やめたげてよぉ』」
「それをやるのが腐女子ってモノなんですー」
「わあ」
マグ曰く、私には刺激が強すぎると思ったモノについては一応配慮してくれていたらしい。
そういう配慮が出来るなら最初から見せないでおいてくれるのが一番有り難かった。
「…って、ちょっと待って」
「はい?」
見覚えのある登場人物名ばかりの、如何とも形容しがたい本がずらっと並ぶ中、見つけてはいけないモノを見つけてしまった。
「キグナス殿下って…あなたの、おじいさまよね?」
「ええそうですけど?」
「………。」
「何ですかクラウ、渋い顔して」
渋い顔。
それはそうだろう。
私は今、これまでの人生で一番、眉間に皺が寄っている自信がある。
「あなた、自分の身内でも妄想のタネに出来るわけ…?」
「出来ますが、何か?」
「……………。」
満面の笑みで言う事じゃないでしょソレは!!
「あれ、わたし何か変な事言いました?」
そんな可愛い顔して首傾げても、最早悪魔にしか見えないから是非やめてちょうだい。
「寧ろ身内っていいですよぉ、生の逸話が聞けるんですから。『あー仲良かったんだー、ぐへへ』とか出来るの幸せですよ?」
………最早、ツッコむ余力が残っちゃいない。
草葉の陰で何人泣かせてんのよあなたって人は。
…約一名、どえらく乗り気な輩が居るのは気にしない事にしておくとして。
「あ、でもやっぱり、一番の萌えどころはもっと近くにありますね~…ところで今日はあのふたり居ないんですかぁ?」
「…ああ、『やめたげてよぉ』ってこういう時に使うのね、理解した」
寧ろその、喜色満面状態のあなたを目撃して尚彼等が寄ってくるとしたら、本気で潰しにかかってるとしか思えないんだけど。
いやいっそ潰しにかかってくれて構わないわ。
今、そんな気持ちになった。うん。
「…ときにさあ、クラウ?」
「なによ、ネル」
「あんたもあたしも、用語っていうの?そういうの知らず知らずのうちに理解しちゃってる気がするんだけど、これって染められてるとか言わないのかな」
「わああああああ」
終わってあげて下さい。