マグダレーナさんの妄想書架

【パターン1. ヘンリー×ジェラール】






………。

寝相が良い、と言うのかコレは。

きちんと椅子に座って、手は読みかけの本と一緒に膝の上。
背中は自然と背もたれに掛かったまま。
首だけ若干傾いでる。

…や、普通こんな体勢で眠れんだろ。
どんだけ眠かったんだお前。

「ジェラール、おーい」

声掛けてみた。
返事は無し。

一応、軽く揺すってもみた。
反応無し。
ばっちり寝てやがる。
なんだってこんな妙ちくりんな姿勢で熟睡出来るんですか。

…イタズラしてもいいかなコレ。
バレるか。バレねえよな。
しっかり寝てるもんな。
揺すって起きなかったんだから、でこちゅーくらいならどうって事…

「ちょっとヘンリー、まだぁ?」
「Σふおぉっ!?」

…口から心臓飛び出そうなのでいきなり背後からバタンはやめてくださいテレーズさん。
ビックリして裏拳かましそうな勢いで振り返っちゃったじゃないですか。

―――せっかく、あとちょっとだったのに!!

「呼び出すくらいでどんだけ掛かって…って、やだ、やっぱり居眠りしてたのね」
「ああいや俺はその」
「いつもの無遠慮さはどうしたのよ。躊躇ってないで叩き起こせばいいのに。えいっ」
「………はい?」

俺の狼狽ガンスルーで寝た子を文字通り叩き起こすテレーズ。
…えっと、気付かれてないって事でおーけい?

「あ痛ッ…あれ、なんでみんな居いひゃいいひゃい」
「おはよう。あんたが時間になっても出てこないから迎えに来てやったんじゃない」
「まさか僕寝て…だからいひゃいってほっぺたちゅねらにゃいでえ」
「そのまさかだけど、目ぇ覚めた?」

………。

『あとちょっと』を邪魔されたのは非常にムカつくが、俺ガン無視のテレーズぐっじょぶ。

寝起きな上にほっぺたこねくり回されて舌っ足らず。

うん、オイシいです。ゴチソウサマ。

「…ヘンリー?なにニヤニヤしてんの気持ち悪い。ついに頭湧いた?鼻血吹きそうな顔して」
「や、俺の事はお気になさらず。続けてどうぞ」
「はあ?なにバカな事言ってんの、ホントに頭湧いた?いいから行くわよ」



※※※



マ「…っていう漫画を見たのが『萌え』の何たるかを知った瞬間でしたねえ」

ク「いや、それ、私に伝えてくれなくていいから」

マ「なんでですかキュンキュンするでしょ?」

ク「キュンキュンしたかったら普通にハーレクインでも読んでればいいのに。だいいち、萌えって何よ」

マ「あ、興味持ってくれました?その説明もしたかったんですよぉ。布教もしたいですけど」

ク「待って、興味持ってないから。あと布教って何」

マ「ここのオススメの薄い本が」

ク「だから興味持ってないって…!」
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