つんでれさんの事情
【キグナスさんの場合】
時々こう、窓の外に向かってじぃ~っと。
「何してんだアイツは」
「黄昏れてんじゃない?」
「まあそうとしか言えないわな」
「なんか妙に似合うよねああいうの」
「見た目の所為だろうな間違い無く」
「あれで女の子だったら完全に乙女の世界だねえ」
…うんたらかんたら。
外野の俺達の事なんかちっとも気付いちゃいないらしい。
クロウ曰く「女の子だったら」、まあそりゃその通りとは言え、既に充分乙女ちっくな状況のような。
「………はぁ」
「おい、今度は溜息吐いたぜ」
「ありゃま。重症だねえ」
「いつになったらこっちの世界に帰ってくるんだか」
「ほっといたらいつまでもああしてんじゃない?」
何なんだろうなこのテンプレート。
いい歳こいた野郎が何やってんだ。
声掛けてみるか、となって突っ込んでったクロウに本気で飛び上がってる辺り、本気で重症だ。恋煩いとやらが。
…ついでに、クロウが「お兄さんが相談乗ってあげようか」とか言ってる点にはツッコんだ方がいいんだろうか。
お前の方が年下だろ。
「相談するようなことないので結構です!」
「まあまあそう言わずにー」
「そうやって僕をいじめる気でしょ」
「まあそうとも言うね」
「ほらやっぱり!」
「冗談、冗談」
「う、嘘くさい…」
やんわり切り込んでそのまま、俺も輪に加わった。
…いやまあ、クロウを止めるという建前のもと、俺も茶化したいだけだっつたらその通りなんだが。
そして、キグナスが乙女ちっくな理由を語って曰く。
「…誘う理由が尽きた?」
「一緒に食事しませんかとか、観劇行きませんかとか、もう一通りのことはやり尽くした感というか」
要するに、デートはしたいけどデートのプランがもう無いから困ってるんだと。
「理由が無きゃデートしちゃいけねえのかよ」
「そうとは言いませんけど、お誘いするからにはそれ相応の理由がないと失礼じゃないですかと思ったり」
「………奥手」
「奥手で結構!」
「あ、そう…」
なんだかんだで育ちの良いお坊ちゃんなコイツには、『たらし込む』というアタマなんざハナっから無いようで。
そうでなくても、そういう意味で女馴れしてない所為か、いちいち考え方がカタい。
「ああだこうだ言ってねえでとっとと何処なり連れ込んじまえばいいのに」
「あ、それ賛成~」
「そんなこと出来るわけないでしょうが!!」
「俺に言わせればカノジョに健全すぎる男もどうかと思うよ」
「………そ、それなんですけどね」
「うん?」
「……………。」
若干赤くなって俯くキグナスを覗き込むクロウ。
いやもう、お前等ホントにどっちが年上だよ。
マジでクロウがお兄さんしちゃってるだろうが。
つうかキグナスが年齢不相応な思春期してるだけか。
…とまあ、此処まではただ茶化すだけで済んだ訳だが。
続く言葉には俺もぶっ飛んだ。
───「まだお付き合いしてる訳じゃない」って?
「ちょ、待て待て待て。お前、随分前からアタックかけてたろうよ」
「そりゃデートのお誘いくらいはしてますよ、してますけど!っつーかしてきたからこそ今ネタ切れで困ってる訳で!」
「や、それはもういいのよ。それよかなんでまだ告ってないのさアンタ。出るでしょ、もうOK出るでしょ普通」
さしものクロウも呆れてる。
…ぶっちゃけた話、クロウが本気で呆れてるトコなんざ、初めて見た気がするぞ?
「あなたたちはそういうの馴れてそうだからわからないかもしれないですけどね?告白ってこう、結構勇気いるモノなんですよ!」
「力説されんでもそのくらいわかってら」
「大体ね、恥ずかしいじゃないですか面と向かって好きだとか愛してるとか言うの!片思いとか両思いとかそういうの以前にうっかりしたこと言って相手の気分を害しちゃったらもうどうしようとかね!考え出したらキリないんですよそういうの!!」
「当たって砕けるくらいの心算で行きなよそのくらい」
「でも砕けたくはないでしょ!?」
「そりゃそうだけどもね」
「そう、その通りなんですよ!僕は砕けたくない訳で!しかもめちゃくちゃ恥ずかしい!ああもうなにこのジレンマ!!」
「…あの、勝手に盛り上がって置いてかないで?」
…結論。
奥ゆかしいのは結構だが、過ぎたるは及ばざるが如しって言葉知ってるか、おい。
そんでもって、ンな事してる隙にそろそろ相手が遠ざかりそうなニオイがしてくる気がするし、見てるこっちがじれったいを通り越してくるからそろそろなんかしてくれ、キグナスさんよ。
(デレギレってこういう事か、と若干悟った気がする。そして何故かセットで登場するガマとクロウ。)
時々こう、窓の外に向かってじぃ~っと。
「何してんだアイツは」
「黄昏れてんじゃない?」
「まあそうとしか言えないわな」
「なんか妙に似合うよねああいうの」
「見た目の所為だろうな間違い無く」
「あれで女の子だったら完全に乙女の世界だねえ」
…うんたらかんたら。
外野の俺達の事なんかちっとも気付いちゃいないらしい。
クロウ曰く「女の子だったら」、まあそりゃその通りとは言え、既に充分乙女ちっくな状況のような。
「………はぁ」
「おい、今度は溜息吐いたぜ」
「ありゃま。重症だねえ」
「いつになったらこっちの世界に帰ってくるんだか」
「ほっといたらいつまでもああしてんじゃない?」
何なんだろうなこのテンプレート。
いい歳こいた野郎が何やってんだ。
声掛けてみるか、となって突っ込んでったクロウに本気で飛び上がってる辺り、本気で重症だ。恋煩いとやらが。
…ついでに、クロウが「お兄さんが相談乗ってあげようか」とか言ってる点にはツッコんだ方がいいんだろうか。
お前の方が年下だろ。
「相談するようなことないので結構です!」
「まあまあそう言わずにー」
「そうやって僕をいじめる気でしょ」
「まあそうとも言うね」
「ほらやっぱり!」
「冗談、冗談」
「う、嘘くさい…」
やんわり切り込んでそのまま、俺も輪に加わった。
…いやまあ、クロウを止めるという建前のもと、俺も茶化したいだけだっつたらその通りなんだが。
そして、キグナスが乙女ちっくな理由を語って曰く。
「…誘う理由が尽きた?」
「一緒に食事しませんかとか、観劇行きませんかとか、もう一通りのことはやり尽くした感というか」
要するに、デートはしたいけどデートのプランがもう無いから困ってるんだと。
「理由が無きゃデートしちゃいけねえのかよ」
「そうとは言いませんけど、お誘いするからにはそれ相応の理由がないと失礼じゃないですかと思ったり」
「………奥手」
「奥手で結構!」
「あ、そう…」
なんだかんだで育ちの良いお坊ちゃんなコイツには、『たらし込む』というアタマなんざハナっから無いようで。
そうでなくても、そういう意味で女馴れしてない所為か、いちいち考え方がカタい。
「ああだこうだ言ってねえでとっとと何処なり連れ込んじまえばいいのに」
「あ、それ賛成~」
「そんなこと出来るわけないでしょうが!!」
「俺に言わせればカノジョに健全すぎる男もどうかと思うよ」
「………そ、それなんですけどね」
「うん?」
「……………。」
若干赤くなって俯くキグナスを覗き込むクロウ。
いやもう、お前等ホントにどっちが年上だよ。
マジでクロウがお兄さんしちゃってるだろうが。
つうかキグナスが年齢不相応な思春期してるだけか。
…とまあ、此処まではただ茶化すだけで済んだ訳だが。
続く言葉には俺もぶっ飛んだ。
───「まだお付き合いしてる訳じゃない」って?
「ちょ、待て待て待て。お前、随分前からアタックかけてたろうよ」
「そりゃデートのお誘いくらいはしてますよ、してますけど!っつーかしてきたからこそ今ネタ切れで困ってる訳で!」
「や、それはもういいのよ。それよかなんでまだ告ってないのさアンタ。出るでしょ、もうOK出るでしょ普通」
さしものクロウも呆れてる。
…ぶっちゃけた話、クロウが本気で呆れてるトコなんざ、初めて見た気がするぞ?
「あなたたちはそういうの馴れてそうだからわからないかもしれないですけどね?告白ってこう、結構勇気いるモノなんですよ!」
「力説されんでもそのくらいわかってら」
「大体ね、恥ずかしいじゃないですか面と向かって好きだとか愛してるとか言うの!片思いとか両思いとかそういうの以前にうっかりしたこと言って相手の気分を害しちゃったらもうどうしようとかね!考え出したらキリないんですよそういうの!!」
「当たって砕けるくらいの心算で行きなよそのくらい」
「でも砕けたくはないでしょ!?」
「そりゃそうだけどもね」
「そう、その通りなんですよ!僕は砕けたくない訳で!しかもめちゃくちゃ恥ずかしい!ああもうなにこのジレンマ!!」
「…あの、勝手に盛り上がって置いてかないで?」
…結論。
奥ゆかしいのは結構だが、過ぎたるは及ばざるが如しって言葉知ってるか、おい。
そんでもって、ンな事してる隙にそろそろ相手が遠ざかりそうなニオイがしてくる気がするし、見てるこっちがじれったいを通り越してくるからそろそろなんかしてくれ、キグナスさんよ。
(デレギレってこういう事か、と若干悟った気がする。そして何故かセットで登場するガマとクロウ。)