つんでれさんの事情
【オライオンさんの場合】
一般論としての見解を述べたまでだよ、俺は。
要するにそっくりそのまま俺の意見でもあるんだけども。
「可愛い恋び…」
「あん?」
「………妹に看病してもらったら?」
「いらねえ。いったとしても、自分より明らかに忙しくしてるヤツにンな事頼めるかよ。しかもうっかりうつしてみろ、後で滅茶苦茶どやされるぞ絶対」
「バカだなー、色々と絶好の機会なのに。敢えてうつしてその責任取る、これ様式美っしょ?」
「バカはお前だこのバカ。なんだそのオトメのモーソー的展開」
「うわー、甲斐性無いのねー。もったいなー」
意中の相手に看病してもらうのってある種の理想じゃね?
…と思うのは俺だけではない筈、だ。
生憎俺にはそんな相手が居ないので理想は理想でしかない訳だが、あんたはそれやろうと思えば出来るでしょ。
…と思っても、これまた生憎このひとはそんな事出来るタイプじゃなかったりする訳で。
天邪鬼ってめんどくさい。
「いっぺん死ねクソガキ」
「いっぺんも何も死んだら生き返れないじゃん、嫌に決まってる」
「うわムカつくわそのヘリクツ」
「ヘリクツも何も事実でしょ」
バカはまだいいとして、死ねってヒドくないか?
まあ、弱ってる所為か、いつもみたいに手だの足だの飛んでこないのが、救いっちゃ救いなのかも知れない。
そうじゃなかったら俺ごとき、力じゃ敵う訳ないからね。
片手であしらって、氷嚢と適当な薬を投げつけてやる。
…風邪引いたんなら俺のとこじゃなくて医者に行きなさい、なんつっても聞かないよねこのひと。多分。
傷が塞がる術があるなら風邪が治る術があったっていいだろ、とか、前言われたもん。
そんなん無いっつーの。
あと俺は便利屋じゃありません。
医者に行くのがめんどくさいならせめて簡単な薬くらい常備しときなさい。
…まあ、健康優良不良男児のこのひとがそんな事、してる訳無いしこれから先するとも思えないけど。
「それやるからとっとと帰って寝なさい甲斐性無し。俺うつされたくないもん」
「さんきゅ。………って、まだ言うかサジてめェ」
「おう、何度でも言うぞー。この甲斐性無し」
「死ね、マジ死ねお前」
「断る!」
………と、なんだかんだとやりあったのが先日のこと。
「ちわー速達でーす」
元気になったと思ったら、いきなり扉蹴飛ばして現れやがりましたよこのひとは。
「所長サンがぶっ倒れたのでお休みのお知らせとー、なんか知らんけど必要らしい書類山程お届けに上がりやしたー。受け取りやがれクソ野郎ー」
どさどさっとぞんざいに置かれた紙の山。
順番とかあったりするんだからもうちょっと丁寧に扱ってくださいよ。
…ちょっと待て。
その前なんつった?
「なに、アンジーぶっ倒れたの?」
「熱出してフラフラの癖に出掛けようとするからベッドに押し付けてきた」
はっはーん。
するってーと、アレですな。
「んふふふふ」
「…ンだよ、気色悪い」
「こないだはあんな事言っといて、なに、結局やる事やったってわけ?」
「はぁ?」
「あんたがうつしたんでしょ。元々具合悪い風でもなかったし」
「……………。」
「なァんだ甲斐性あったじゃん。おめでとぅおあっ!?」
茶化したら、脳天から手刀。
避けたけど。
いやいや、茶化したっつってもブチギレられる程の事は言ってないと思ったりするぞ。
「殴るなっつの!つうかそうやってキレるって事は当たりだな、当たってんだな!」
「うるせェわマジで死ねこのクソガキ。その気色悪い笑顔かち割ってやっから大人しくしとけ」
「室内で得物ブン回すの禁止!」
「ブン回さねえから安心しろ、ちょっとぶっ貫くのに使うだけだ」
「なにその屁理屈!あとその笑顔超怖いからやめて!」
ごろんごろんと転げ回りつつ、物騒なモノを避ける。
余波であれこれ破壊しなくなっただけ、このひとなりの配慮とかそういうのが行き届くようになってるんだろうか。
一昔前は同じような状況で壁だの棚だの柱だの、よく傷だらけになってたもんな。
俺が避けるのが悪いんじゃない、このひとが暴力的なのが悪いんです。多分。
…さて、俺じゃ避ける事しか出来ないんだがどうしてくれようか。
こういう時に限ってうちの師匠居ないし。
(別にやる事やった訳じゃないと思う。サジは妄想が過ぎる愉快犯。)
一般論としての見解を述べたまでだよ、俺は。
要するにそっくりそのまま俺の意見でもあるんだけども。
「可愛い恋び…」
「あん?」
「………妹に看病してもらったら?」
「いらねえ。いったとしても、自分より明らかに忙しくしてるヤツにンな事頼めるかよ。しかもうっかりうつしてみろ、後で滅茶苦茶どやされるぞ絶対」
「バカだなー、色々と絶好の機会なのに。敢えてうつしてその責任取る、これ様式美っしょ?」
「バカはお前だこのバカ。なんだそのオトメのモーソー的展開」
「うわー、甲斐性無いのねー。もったいなー」
意中の相手に看病してもらうのってある種の理想じゃね?
…と思うのは俺だけではない筈、だ。
生憎俺にはそんな相手が居ないので理想は理想でしかない訳だが、あんたはそれやろうと思えば出来るでしょ。
…と思っても、これまた生憎このひとはそんな事出来るタイプじゃなかったりする訳で。
天邪鬼ってめんどくさい。
「いっぺん死ねクソガキ」
「いっぺんも何も死んだら生き返れないじゃん、嫌に決まってる」
「うわムカつくわそのヘリクツ」
「ヘリクツも何も事実でしょ」
バカはまだいいとして、死ねってヒドくないか?
まあ、弱ってる所為か、いつもみたいに手だの足だの飛んでこないのが、救いっちゃ救いなのかも知れない。
そうじゃなかったら俺ごとき、力じゃ敵う訳ないからね。
片手であしらって、氷嚢と適当な薬を投げつけてやる。
…風邪引いたんなら俺のとこじゃなくて医者に行きなさい、なんつっても聞かないよねこのひと。多分。
傷が塞がる術があるなら風邪が治る術があったっていいだろ、とか、前言われたもん。
そんなん無いっつーの。
あと俺は便利屋じゃありません。
医者に行くのがめんどくさいならせめて簡単な薬くらい常備しときなさい。
…まあ、健康優良不良男児のこのひとがそんな事、してる訳無いしこれから先するとも思えないけど。
「それやるからとっとと帰って寝なさい甲斐性無し。俺うつされたくないもん」
「さんきゅ。………って、まだ言うかサジてめェ」
「おう、何度でも言うぞー。この甲斐性無し」
「死ね、マジ死ねお前」
「断る!」
………と、なんだかんだとやりあったのが先日のこと。
「ちわー速達でーす」
元気になったと思ったら、いきなり扉蹴飛ばして現れやがりましたよこのひとは。
「所長サンがぶっ倒れたのでお休みのお知らせとー、なんか知らんけど必要らしい書類山程お届けに上がりやしたー。受け取りやがれクソ野郎ー」
どさどさっとぞんざいに置かれた紙の山。
順番とかあったりするんだからもうちょっと丁寧に扱ってくださいよ。
…ちょっと待て。
その前なんつった?
「なに、アンジーぶっ倒れたの?」
「熱出してフラフラの癖に出掛けようとするからベッドに押し付けてきた」
はっはーん。
するってーと、アレですな。
「んふふふふ」
「…ンだよ、気色悪い」
「こないだはあんな事言っといて、なに、結局やる事やったってわけ?」
「はぁ?」
「あんたがうつしたんでしょ。元々具合悪い風でもなかったし」
「……………。」
「なァんだ甲斐性あったじゃん。おめでとぅおあっ!?」
茶化したら、脳天から手刀。
避けたけど。
いやいや、茶化したっつってもブチギレられる程の事は言ってないと思ったりするぞ。
「殴るなっつの!つうかそうやってキレるって事は当たりだな、当たってんだな!」
「うるせェわマジで死ねこのクソガキ。その気色悪い笑顔かち割ってやっから大人しくしとけ」
「室内で得物ブン回すの禁止!」
「ブン回さねえから安心しろ、ちょっとぶっ貫くのに使うだけだ」
「なにその屁理屈!あとその笑顔超怖いからやめて!」
ごろんごろんと転げ回りつつ、物騒なモノを避ける。
余波であれこれ破壊しなくなっただけ、このひとなりの配慮とかそういうのが行き届くようになってるんだろうか。
一昔前は同じような状況で壁だの棚だの柱だの、よく傷だらけになってたもんな。
俺が避けるのが悪いんじゃない、このひとが暴力的なのが悪いんです。多分。
…さて、俺じゃ避ける事しか出来ないんだがどうしてくれようか。
こういう時に限ってうちの師匠居ないし。
(別にやる事やった訳じゃないと思う。サジは妄想が過ぎる愉快犯。)