Shape(ジェラール代)
※※※
「えっと………それって、一種の、惚気?」
伝え聞いた話に対するリチャードの最初の感想がこれだった。
…うん、それには同意。
ヘンリーが突然、うち…傭兵隊に、襲撃…もとい、乱入?してきて、うちの隊長を捕まえて、説教?をしていた。
『お説教』そのものは、あの時からこっち、何度もしているのは知っている。
ヘンリー側の立場もあるし、隊長が『お説教』されるに値する態度を取ってしまったのは事実だし(本来なら文字通りの『首切り』でもおかしくはない訳で)、それ自体は、言ってしまえば『いつもの事』。
ただ、今回は、その内容というか方向性というかが、ちょっと違っていた。
※※※
これこれこういう話だったんだよ。
あーもうまったく謙虚通り越しすぎてんだよあいつは。
普通自慢話になるだろこれ。
自慢せんでも十二分に感動話だわ。
それを自慢せんところがあいつの美徳でもあるんだけども。
あー、もうじれったい。
でもやっぱあいつすげえわ。
お前もいーかげん見習いやがれこのやろう。
※※※
要約するとこんな感じ、と私が『愚痴った』。
隊長には悪いと思いつつ、ヘンリーのあのテンション?があんまりすぎて、耐え切れずにあの場からこっそり逃げ出してきたのだ。
ヘンリーの『恨み』(とはまたちょっと違うのかもしれないが他の表現が見つからないのでそういう事にしておく)は隊長個人にしか向いていないから、周囲の私達には無関係、と言ってしまえばその通り。
…ただ、そうして無関係であるが故か、私達が居ようがなんだろうが意にも介さずあの状態になるものだから、いたたまれない…というとちょっと違う気もするけれども、居心地が悪いというか、面倒くさいというか。
「彼、どれだけあの人の事好きなのよ…って、もう何度呆れた事か。今回はちょっとひどすぎだけど」
友人を尊敬するのは素晴らしい事だと思うし、従者として慕っているのもよくわかるエピソードではあるとも思う。
………が、あの態度を見てしまうと、そろそろ後ろから射抜かれやしないかと心配になってきた。
誰からとは言わないけど。
苦笑いと溜息で頷き合う私とリチャードを他所に、バカ…もといジョンは、
「やぁぁべえ何そのかっこいい話!これマジで後世に残るやつ!オレら今すげえひとたちに仕えてるんだって実感した!!」
…と、本来は話の中核であった筈の内容に感激していた。
こっちはこっちで素直というか、なんというか。
失礼が過ぎる物言いなのを承知でいえば、あの人…ジェラール様は、ちょっとくらいこのバカの底抜けを引き受けてもいいんじゃ、と思ったりもする。
ヘンリーの態度があんまりすぎるからそっちに引き摺られちゃったけど、感動的な逸話なのは確かだし、本人に思っている以上の胆力がある事は、仕える側の私達の方がよっぽどわかっているような気さえする。
兎も角、これだけの求心力があるんだから、もっと自信持っていいんですよ。
………実際言えるかは別として、機会があったらそう伝えられたらいいかな、と思った。
…言ったら言ったで誰かさんに絡まれそうだけど。
「ちょっとオレ今から鎧の手入れしてくる」
「は?」
「急にどうしたの」
「しっかり足跡残して、将来、ステキなお兄ちゃん☆のお下がりとしてライーザに譲る為に」
「『お下がり』って…」
「だいいち彼女も同じ支給品使ってるでしょうが…」
終わっとけ。
「えっと………それって、一種の、惚気?」
伝え聞いた話に対するリチャードの最初の感想がこれだった。
…うん、それには同意。
ヘンリーが突然、うち…傭兵隊に、襲撃…もとい、乱入?してきて、うちの隊長を捕まえて、説教?をしていた。
『お説教』そのものは、あの時からこっち、何度もしているのは知っている。
ヘンリー側の立場もあるし、隊長が『お説教』されるに値する態度を取ってしまったのは事実だし(本来なら文字通りの『首切り』でもおかしくはない訳で)、それ自体は、言ってしまえば『いつもの事』。
ただ、今回は、その内容というか方向性というかが、ちょっと違っていた。
※※※
これこれこういう話だったんだよ。
あーもうまったく謙虚通り越しすぎてんだよあいつは。
普通自慢話になるだろこれ。
自慢せんでも十二分に感動話だわ。
それを自慢せんところがあいつの美徳でもあるんだけども。
あー、もうじれったい。
でもやっぱあいつすげえわ。
お前もいーかげん見習いやがれこのやろう。
※※※
要約するとこんな感じ、と私が『愚痴った』。
隊長には悪いと思いつつ、ヘンリーのあのテンション?があんまりすぎて、耐え切れずにあの場からこっそり逃げ出してきたのだ。
ヘンリーの『恨み』(とはまたちょっと違うのかもしれないが他の表現が見つからないのでそういう事にしておく)は隊長個人にしか向いていないから、周囲の私達には無関係、と言ってしまえばその通り。
…ただ、そうして無関係であるが故か、私達が居ようがなんだろうが意にも介さずあの状態になるものだから、いたたまれない…というとちょっと違う気もするけれども、居心地が悪いというか、面倒くさいというか。
「彼、どれだけあの人の事好きなのよ…って、もう何度呆れた事か。今回はちょっとひどすぎだけど」
友人を尊敬するのは素晴らしい事だと思うし、従者として慕っているのもよくわかるエピソードではあるとも思う。
………が、あの態度を見てしまうと、そろそろ後ろから射抜かれやしないかと心配になってきた。
誰からとは言わないけど。
苦笑いと溜息で頷き合う私とリチャードを他所に、バカ…もといジョンは、
「やぁぁべえ何そのかっこいい話!これマジで後世に残るやつ!オレら今すげえひとたちに仕えてるんだって実感した!!」
…と、本来は話の中核であった筈の内容に感激していた。
こっちはこっちで素直というか、なんというか。
失礼が過ぎる物言いなのを承知でいえば、あの人…ジェラール様は、ちょっとくらいこのバカの底抜けを引き受けてもいいんじゃ、と思ったりもする。
ヘンリーの態度があんまりすぎるからそっちに引き摺られちゃったけど、感動的な逸話なのは確かだし、本人に思っている以上の胆力がある事は、仕える側の私達の方がよっぽどわかっているような気さえする。
兎も角、これだけの求心力があるんだから、もっと自信持っていいんですよ。
………実際言えるかは別として、機会があったらそう伝えられたらいいかな、と思った。
…言ったら言ったで誰かさんに絡まれそうだけど。
「ちょっとオレ今から鎧の手入れしてくる」
「は?」
「急にどうしたの」
「しっかり足跡残して、将来、ステキなお兄ちゃん☆のお下がりとしてライーザに譲る為に」
「『お下がり』って…」
「だいいち彼女も同じ支給品使ってるでしょうが…」
終わっとけ。