めがろまにあ(アメジスト代)

※※(オマケ)※※






翌日、案の定二日酔いを訴えたアメジストに薬を与え(常備している筈もないので適当に買ってきた)、そのまま寝てろと言い聞かせ、俺は件の『心当たり』に殴り込みを掛けた。

顔を見せた瞬間、

「あ、いらっしゃーい。待ってたよー」

とかいうニヤついた歓迎が小憎らしい。

「待ってたよー、じゃねえよ莫迦!」
「あ痛っ!?何で殴るのさ、しかも利き手で!」
「ぶった切らなかっただけ有り難いと思え」
「それ死ぬから、普通に死ぬから!!」



案の定、あの酒は『俺のところに持って行け』と言ってコイツが渡したものだそうだ。

「『サジ兄がくれた』とか言ったの?」
「いんや、想像だ想像」

土産を持たせれば、アイツが一応俺を待つ事くらいは容易に想像出来る筈。
…要するに。

「………で?」
「…で?」
「どーだった?ちゅーぐらいした?」
「……………。」
「………どうどうどう。睨むな睨むな、マジで怖い」

有り体に言えば、暗に『嗾けた』と。
そういう訳だ。

「ぶっ殺す…!」
「ちょっ、眉間に正拳突きはやめてマジやめて!つうか感謝されこそすれぶん殴られる謂われはないんだけど!?」

問答無用。
コイツがあれこれ妄想した通りに運ばなかったとはいえ(運んでやる気もないし運ぶ気もしないが)、色々とムカつくので、割と本気の一発をお見舞いしようとした………ら。

「発案したのは俺なんだがなあ?」

背後から、壮年と思しき男の声。

「……………。」

厭な予感がして、ぎぎぎ、と効果音が付きそうな感じにぎこちなく、振り返る。
其処に居たのは、これまた案の定…

「あ、先生」

───俺の天敵だった。

うっかり固まった隙に、サジタリウスの胸元をとっつかまえていた手が解けた。
そうだな、先生だな。

…参った。

「……アンタの仕業だったんスか…」
「ん、なんだそんな呪詛みたいな声出して。嬉しくなかったか?」

悪童もかくや、と言いたいくらいにニヤついている、『アンタレス先生』の顔。
…流石に、こっちには手を出す勇気が無い。

だって怖いから!

「お前らがいい歳こいて全然くっつく気配無いから、ちっとお膳立てしてやろうかと思ったんだがなあ。この様子じゃまた失敗か」

そういうの、『余計なお節介』っつーんですよ。
───この人相手に言えたらどんなに楽な事か。










終わっとけ。
2/2ページ
スキ