前半殆ど名前出てきません。スミマセン
恋をするまで
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「帰れ。」
屋台のおでん屋につくと、店主チビ太がおそ松の顔を見るなり言い放つ。
「食べるんなら、ツケ払ってからにしろってんだい!バーロー」
「まぁまぁ、チビ太今日は新規のお客さん連れてきたんだぜ」
「え!新規の客?それを早く言いやがれ!おい。真ん中空けろ。新規のお客さんどうぞー」
「こんにちはー。」
「お、……兄ちゃんかい?姉ちゃんかい?まぁ、ココ座んな。何にする?」
「全種類をひとつずつ。コースで下さい」
「お客さん、豪快じゃねぇか!いいねぇ。任せときな」
真坂が厚めのコートを脱いで、おそ松と一松の間へと座る。
「……ねぇ。オレのオッパイどこいったの?」
おそ松が真坂の胸を凝視する。公園ではフンワリヤワラカァという擬音が付いてきそうな胸だったのに、今はストンペッタリィという擬音が浮かんでいる。
「……着替えの時一緒に脱ぎました。」
「えぇ!どゆこと?着脱可?……触って確かめてもいい?」
『えっ!?』
ここまでストレートなセクハラは聞いたことない。真坂はもちろん、チビ太に兄弟である一松まで明らかに引いている。
「いいじゃん!減るもんじゃ無いし!ね!一瞬!一瞬だからっ!」
お願いします。と拝まれると触らせない方が悪い気がするから不思議だ。
「止めろおそ松!姉ちゃん困ってんじゃねーか!すまねぇな姉ちゃん。コイツ酔ってんだよ!」
「はぁ!?まだ一口も酒飲んでねーし!」
「フォロー入れてやってんだろが!バーロー!万年酔っ払い発情期がっ!」
「お酒なら一杯奢りますよ。松野さんもどうですか?」
「え?……俺もいいの?あざーす。」
「チッなんだよ、皆いい子ブリやがって、チビ太!高い酒ちょうだい!」
「焼酎かビールしか無ぇよ。本当にクズだな。……姉ちゃん。悪い事言わねぇから、早くコイツらとは縁を切りな。見る所アンタお人好しそうだし、餌食になっちまうぜ?」
真坂が左を見ればおそ松が右を見れば一松が、ニヤッと笑いかけてきた。
「……んー。そうですねー。」
「えー?考える所じゃなくない?これからも仲良くしよーよ!今度デートいつする?」
「デ、デート?え?もうそんなんする仲なの?えぇー。マジかよ。」
一松が頭を抱える。
「ふふーん。ま、友だちのお前じゃ、デートは無理だもんなぁー?」
おそ松が、追い打ちをかけるように言った。
「デートはしません。顔見知り程度では。」
「だから、顔見知りじゃなくない!?せめて俺も友だちじゃないかな?ほら服だって借りたし!」
「はっ!本当だ。……チッいつの間に。」
「今更かよ。いちまっちゃんは俺にもっと興味持てよ!」
無視して、お酒を一松が煽る。
「……それよりさ、明日ネコの溜まり場ハシゴするんだけど。……ついてきてもいいよ。」
「はぁー!何それ!ネコとか真坂ちゃんが行くわけなー」
「行きます。」
「え?ほ、ほんとに来るの?……うん。じゃぁ、いつもの所で、朝10時に。」
真坂が笑って頷くと一松も小さく笑って頷き返した。
「おい!俺を差し置いて、ほんわかしてんじゃねーぞ!お兄ちゃん許さないかんね!」
ビールジョッキ片手におそ松が屋台のベンチへ足をかけて唾を飛ばす。
「だいたい、なんで俺のおっぱいがダメで一松のネコが良いんだよ!不公平だろ!」
「落ち着けおそ松!比べる次元じゃない事に気づけ!」
チビ太が何とか落ち着かせると、「なんだよ、ケッ!」とベンチにドカッと座り、ビールを一気に飲み干しお代わりを要求した。
「それにしても、いやー、一松に友だちとは、それも女の子!ボヤっと見えてなかなかやるじゃねぇか!何処で知り合ったんだ?」
「……別に。ほっといて。」
チビ太からの軽快なトークにもプイと黙ってしまった。
「……本当にさぁ。何でこんなのと友だちになれんの?」
チビ太も一松との会話を諦め、真坂を不思議そうに見た。
「危ない所を助けて貰ったんです。」
「へぇー。ネコ以外も助けんだね。お前がねぇー。意外ー。」
おそ松は真坂の皿から一種類ずつしか頼んでないおでんをつまみに、グイグイと飲む。
「もう、いいってその話は……別に大した事じゃないし。」
「うわっ出たよ。一松はすぐそーやっれ隠そうとする。そんらんだから童貞あんだよ!」
「いや、今童貞関係なくない?。……まぁ、俺たち2人だけの秘密の出会いって事でー?」
ニヤリと笑っておそ松を挑発する。
「はぁー!?らに生意気に秘密とか持っちゃっれんの?ッヒ!一松のくせにぃ!」
「おそ松さん。呂律回ってないよ?」
「俺はまだまだ飲めんの!真坂ちゃんらってねぇ!……ほんな、ほんな可愛い顔して名前呼んでくるとかっ!どうゆうこと!さん付けとか、距離あってヤダ!」
「……おそ松、くん?」
「はいきた!良いよー!おそ松くん。ね!はい、可愛いー!はい、逮捕ー!」
ハイペースで飲み続け、大分酔っているようだ。真坂の肩に伸びたおそ松の手の温度が高かった。
「真坂は俺のものだー!……あー、何か違うー。真坂じゃなくてぇー。えーと……あ!そうだよ名前!名前はなんていうの?教えらいとぉー……ちゅ〜っ」
《ゴスッ》
一松は咄嗟に真坂の口元を片手で覆い頭を自分の胸へと引き寄せていた。
同時に真坂の顎を捕え顔を近づけていたおそ松を殴り倒した。
「……ねぇ。なんでキスされそうなのにボーッとしてるわけ?あ、もしかしてお邪魔でした?消えましょうか?……ん?えっ!?」
《カミカミカミカミ……》
真坂が自分の口元にある一松の指に噛み付いていた。あまりの予想外の展開に一松が大きく動揺する。
「ええ゛ー!!なんっ、え?噛んで?あああぁぁ、は、はなし、て……まて一松、お、落ち着け一松、いいか一松。女子に、気になってる娘に指を噛まれる。こんなエロいチャンスはもう来ない。絶対無い。ならやる事はなんだ。ぇえ?コラ一松ー!?」
「おい。一松、全部セリフ出ちゃってるけどいいのか?それ一応心の葛藤なんだろ?聞かせたら、引くやつだって。いや、姉ちゃんの行動もわけわかんねーけど。」
チビ太が心配するが、何にも響いていないようだ。
「もっとだ。……もっと強くだ!強く噛んで消えない痕を下さいってんだ!ゴラッ!」
「えぇー、噛ませるの強要すんのに強気?えー?何その歪み。」
《い゛ーーっ!》
「っ!いいぞ、もっと……」
「ーっぃ。もう無理。」
「いや、もっと。」
「……ゴメンね。痛かった?」
「だから、痛いのが欲しいんだってば!」
「可哀想でできないの!メッ!」
真坂は後ろから固定された手を振り払い一松の方へ振り向くと、ペチと両頬を包むように両手で挟んだ。その顔は真っ赤になり目が潤んでいた。
「あ、それ酔ってんの?水かと思ったら酒飲んでたの?」
「焼酎って初めて呑んだ。あっちぃねコレ。」
(こんな顔、初めて見た。俺だけ見た。……俺だけのにしておきたい。)
意外と独占欲なんてものが自分にもあったんだなと認識する。
……のは良いが、いい加減ほっぺたをムニムニと堪能されるのは恥ずかしさの限界だ!
「もう、わかった。噛まなくていいから。手、離して。……何で噛んだの?」
「だって、一松くんの手が邪魔でおでんを食べれないし。……それに出会いだって、大した事ないって言ったし……あ、一松くん、でもいーい?」
「まって。しばらくまって!情報が多い!」
(えー!名前呼ばれたー!何、可愛い!何。え、天国?死ぬの?死んだの俺?やめてー!今拗ねたの?酔って拗ねたら、噛むの?えー。普段もっとしっかりして落ち着いてる人なのにー。これがギャップ?お酒こえー!!)
「……はい。もう大丈夫、いつでも襲えます。くんでも呼び捨てでも何でもいいよ。……そっちの名前は?」
「まて、今物騒なワード入ってたから!イチャつくなら他所でやってくれよー。」
「……ユカリだよ。……距離が近くなったみたい。」
フフフ。と軽く笑いかける顔が、顔が。
「ア゛ァァァーー!もうダメだ!もうダメだ!起きてーおそ松兄さん!この幸せ抱えきれない!絶対俺に隕石落ちるから!」
自分で殴り倒したおそ松を揺さぶり起こすも、酒の力もあり目に生気が宿ることは無かった。
「ふう。……ごちそうさまでした!美味しかったです。また来ます。」
「だろう?オイラのおでんは世界一だからな!……はいよ、お釣り!」
「あ、二人の分も一緒に。」
「いいのかい?まぁ、それでも多いよ。」
「あー、ツケにでも充てて。じゃ。」
「……ケケッ、やっぱりお人好しだねぇ。また来いよ!サービスしてやるよ!」
ペコッと頭を下げると、おそ松を引きずって歩く一松の元へ走る真坂。
「……縁を切れなんて言ったけど、あの子の影響を受けたら、ちったぁまともな人間になるだろ。」
その背中を見送りながら、チビ太は呟いた。