前半殆ど名前出てきません。スミマセン
恋をするまで
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「君ん家どこ⁉︎」
あっちこっち、と答えてくれる彼女に従って、路地や物陰に隠れながら後ろの兄弟を巻いていく。隠れる度に二人でコッソリ喋りクスクス笑い、シーっと口に手を当てて息を潜め合ってまた笑ったりした。
(えー、もうこんなの恋人じゃん。何この心臓の音。走ったから?)
彼女のアパートは階段を挟んで四部屋あり、その二階の右手側に誘導された。「向かいは空き部屋だから座っていても迷惑にならないよ。」と、笑って言った彼女も走った為なのか、赤い顔で息を乱していた。普通にエロい。思い出しキュンが何度も発動する。何が?どこが?色んなところが、だよ。
先程、出会った時のグレーのコートに着替えるように頼んだ。
変装をして少しでも弟たちの魔の手が伸びないように。あと少し独り占めできるように。
彼女はとても複雑な顔をしていたが承諾してくれた。
部屋を見せられないと後ろを向かせられた後、ドアの閉まる気配がした。振り返れば、ガシャン。カシン。とカギとチェーンまでかけられた。……俺、信用ないのかな?
ふぅ。と一息つくと、彼女の部屋の前に座り込んだ。
(そうだよなぁ。ちゅーしちゃったしなぁ。信用なんかされないよね。でもさぁー)
公園で咄嗟に出た行動に自分でも赤面する。弟たちに彼女の顔を見られたくなくて、持ってたマスク(俺がスーハーしたやつ)で隠した。そしたら手が離れなくて、後は自然と……。
(……でもさ泣いてる女の子はちゅーすれば機嫌治るんでしょ?カラ松が読んでた雑誌に書いてあったし!)
「なんだよ!俺全然悪くないじゃん!」
「なにが?」
責任転嫁した直後玄関ドアが開き、彼女が顔を出した。咄嗟に土下座していた。
「勝手にちゅーしてスミマセンでした!」
「あっえっ。……ウソだったんでしょ?……えっ?」
純粋にも、してないというウソを信じていた。俺が目を逸らし惚けていると。
「あー。……ウソで良いよ。もし仮にアレでも、マスクあったからセーフって事で」
「……何、完全に無くしようとしてんのさ。」
元を正せば自分が悪いのだが、気にしないとでも言いたげな彼女に、少し苛立つ。気にしてくれ頼むから。
追い詰めようとすると、バッ!と黒い布地で静止をかけられた。
見ると黒いパーカーだった。
「よ、良かったらこれに着替える?……汗かいたでしょ?」
「……えー!着るぅー!」
断る理由もない所か、むしろ着たい。彼女に包まれたい!苛立ちなんて吹っ飛んだ。思えばすでにタメ口になってるし、もう夫婦なのではー⁉︎
「じゃあさ、部屋入って一緒に着替えー」
ーーガシャン。カシン。
……まぁ、いいもんね。その場で赤いパーカーをモゾモゾと脱ぎ、黒いパーカーに頭を入れ袖を通した。
「……これはヤバイ」
(ア゛ー!何でこんなに良い匂いなの!柔軟剤のCMか!こんなに包まれてお兄ちゃん興奮するー!)
自分の身を両手で抱きしめながら、幸せでのたうち回る。
「これもう、……好きじゃん。……どうしよ。……好きーー!」
熱い顔に手を当て悶える。この幸せ手放したくない!
ーコンコン。
玄関の内から松野さんにノックす。
「おまたせ……どういう状況?」
服を着替え、扉を開けた外には、松野さんが仰向けで倒れていた。顔を手で覆って指の間からこっちを見ている。
「もう、好き!」
「……ありがとう?」
突然吐かれる告白に少し恐怖する。この人は突飛な行動が多すぎて良くわからない。服はボーイッシュ系が好みということなのだろうか。
「おでん。行こ」
「……よし、酒も一緒に飲もうぜっ!」
手を差し出せば、少し残念そうな顔をして掴まってくれた。脱ぎ捨ててあった赤いパーカーを袋に入れて渡す。
「洗ってくれても良いよ!」
「……見知らずの男の人の洗濯はちょっと」
「見知らずじゃなくない⁉︎」
二人で賑やかに歩きながら、おでん屋へと向かった。