前半殆ど名前出てきません。スミマセン
恋をするまで
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「……なんかゴメンね、家のクソ長男が迷惑かけて。」
おでん屋から松野家まで、酔って殴り倒され潰れたおそ松を、一松と真坂で担いで帰る。風に吹かれて酔いも覚めてきた。何か気の利いた話でもと考えた末、一松の口からやっと出てきたのは謝罪だった。
「いや、全然。……長男て誰?一松くん?」
「俺、4男。……え?俺のことクソ長男だと思った?迷惑かけた?……あ、存在する事が迷惑か。消えるから安心して。」
「いや、一松だから長男かと。ゴメン。」
「……良く言われる。一松なのに4男て、なんでだよ。明らかに失敗。」
「一松!って顔してたんじゃない?産まれた時に。」
「……6つ子で皆同じ顔だよ。適当なんだよ。地獄」
「……なんて?」
「地獄、でもまあ、ユカリちゃんと、会えたから、今そんなに悪くないけど。」
「そこじゃなくて。む?……あ。三つ子?」
「……いや6つ子。ろく。6人がこの顔なの。」
(あー!俺の好意表現が、6つ子にかき消されたー!名前まで呼んだのにー!俺の精一杯を返せー!)
「6?へぇー!……へえー!」
「なんで、二回感心したの?」
「色んな感想が渦巻いて。テレビに出れそうだね。」
「ただの恥だね。全員ニートだし。クズでサーセン。」
「全員かー。へぇー。……へぇー。」
「感想が渦巻いてるね。……こんなゴミと一緒に居たくないでしょ?明日止めよう。」
「え?止めないよ。」
ニートである事の罪悪感がそうさせるのか、一松の自虐とネガティブのスイッチが入った。こんな奴が人から好かれるわけがないと線を引く。
「……相当ネコ好きなんだね。」
「違う。ネコじゃなくて、友だちが好きなの。」
「え。なんで食い下がるの。……あんたは良い奴だから、友達のふりしてくれただけなんだろ?知ってるよ全部。じゃなきゃ、こんな奴と関わろうなんて思わないだろ。」
「……ふりじゃない。そんな風に思ってたんだ。」
「……。」
「こっち向いてよ。」
「っ!ど。どうせ、離れて行くなら、最初から近づくなよ。ほっとけよ。」
「……何で?不快にさせたならゴメン。」
「謝んないでくれる?余計惨めだから、何?トドメ刺してくれんの?そりゃどうも。」
「……。」
「あ、今こいつ面倒くさいって思いました?それ正解。……何だまってんの?図星?……あー、生きててスミマセンね。……じゃあね。見つけても話かけてこなくて良いから。」
一松が一方的に話して、足早に去っていった。片方で支えていたおそ松は、捨ておかれた。
「……あー、お兄ちゃん置いていかれちゃったよぅ。」
「……おそ松くん。起きてたの?」
「まぁねー。ここまで運んできてくれてサンキュー!じゃ、もうちょっと頑張って!」
「一松くんを怒らせたみたい。」
「いや、あれがアイツのデフォ。怖いよねー。……俺だったら、ずっと一緒にいてあげるよ。ユカリちゃん!へへっ。やーっと呼べた。どう彼氏みたい?」
「どこから起きてたの。はい、自分で立って。」
「チェー、ケチ!」
「家近い?帰れる?」
「いや無理!送ってってよ!ほらー、まだ顔赤いでしょ?酔ってる人置いてくのー?」
「自分で歩いてくれるなら、ついてくよ。」
「マジで?やりぃー。えー何俺のこと好きなの?」
「そうだね。」
「えぇっ!そうなの!?……え?結合する?」
「……明日どうするかな。」
「え゛ー!聞いて無いの?ドキドキしたのに!何その空返事っ!」
「Hey!今俺を呼ぶ声が聞こえたぜブラザー?フン、沈みゆく夕陽と共に駆けつける、俺。ハッ!」
サングラスをかけ黄昏れる自分に酔うカラ松を見ても、真坂はぼんやりとしたままだった。
「呼んでねーし!どっからわいてきたんだよ。『カラ』に反応すんな!俺は今、結合できるかどうかの瀬戸際なんだぞ!」
「ンー?ケツGO?……グレーコートのボーイズとか?」
(はっ!しまった。まだコイツユカリちゃんを男だと思ってるんだった!)
「い、いやぁ、ケツゴシ?……あ、あーもう何でもいいだろ?はい、帰った帰った。」
「ノンノンおそ松。それはできない。……ここで会ったのもディスティニー。さぁ、この俺に名前を聞かせてくれないか?そこのカラ松ボーイズ!」
「……え?わたー」
「ア゛ーーッと!真坂ち、くん!そう彼は、真坂くんだよ!」
「おそ松、俺はboyに聞いているんだ。ファーストネームは?」
「名前が!名前も!真坂くんなの!」
「いや、そんなわけないだろ。」
「はー!?カラ松なのに?自分の名前カラ松なのに?人の名前どうこう言えると思ってんの?」
「え、えぇ?……フッ、俺に付けられたらどんなネームでも輝くキラキラネームだぜ!」
「それ、使い方違うからね?とにかく!……時よ止まれ。」
「は?おそ松、どういう事ー」
「止まれっつってんだよ、ダラゴラァ止まれー!」
腑に落ちない表情でピタリと停止するカラ松。素直なのか優しいのか。おそ松は真坂の手を取り、カラ松から距離をとった。
「あのね。アイツ病気なの。女の子と接触すると泣きわめくんだ。もうパニック!ね。だから女の子ってことは内緒。絶対認めないで。アイツの為に。大丈夫。心配ないって俺に合わせて!」
そう言ってカラ松の所に戻る。
「……なんで止まってんの?」
「はぁー!?お前が言ったんだろ!」
「え、そだっけ?」
「ウソだろ。えー。……フン。まぁいい。真坂くん。いや真坂。君は俺の恩人だ。改めて礼をら言わせてもらおう。センキュー!」
おそ松をどけて、真坂を指さし上からのお礼だった。最初の出会いから今やっと言えたとカラ松はスッキリしていた。
「うん?……?」
やっと伝えたのに、真坂はいまいちピンとこないようだ。
「ン?ン?ンー?まさか、また忘れてる?このカラ松を!?ほらケガ!」
「……ケガ?」
「そう、ケガケガケガ!リメンバーミー!」
「あ。ああー!」
「そう!なぁ?ケガした俺をキミが助けた。この出会いはまさに運命!俺たちは繋がっているんだ。だろ?」
カラ松が詰め寄り真坂の肩に腕をまわす。
「俺は松野家次男、松野カラ松だ。ピンチの時は呼んでくれ、この前の借り返すぜ?約束だ。ブロミス!」
「プ、プロミス。」
「ンー?ン?……え?アレ?」
肩にまわした手に力をいれたり、真坂の手を取って何度も握る。最期に顔を間近でじっくりと観察されるが、恥ずかしさでつい視線を外してしまう。
「……プリティフェイス。細い肩美しい手!柔らかい声……本当に男なのか?君はガール。そうカラ松ガールズだろう!?」
真坂が、おそ松の方を見ると、真顔で首を横に降っている。
「お、男です。」
「ノン。ノンノンノーン。それはあってはならない事なんだ。そうだろう?君は俺の女いや、女神だ。そうだと言ってくれ!なぁ!」
おそ松を見る。首を振っている。
「……男なので。」
「男でも良いっ!もういい!何でもいい!俺とお前の恋の歯車は廻り始めているんだ!!先ずはお互いを知るために一緒にバスタイムといこうじゃないか!」
「……時よ止まれ。」
「ンー?」
「……おそ松くん、ちょっと。」
首を横に振り続ける男を呼びつけ、時の止まったカラ松と距離をとる。
「……。どう思う?私どうしたら良い?」
「わっかんない。俺も怖い。まさか本当にそっちに目覚めてたとは。」
「これ女だって、バラした方が良くない?」
「いやいやいや、ダメだって!あいつパニックになって病院送りだよー?可哀想だよ。最悪刺されるよ?ね!俺に任せて。」
「首振る仕事しかしてないじゃん。」
「あ、バレたかー!」
おそ松の無責任さに呆れていると、頭の上から影かできた。
「時は動き出したぞ。2人て何を話しているんだ?ンー?さぁ、一緒に銭湯に行くぞ。大丈夫、用意はこっちでしてやるからな。」
有無を言わさず真坂の手首を掴み歩きだすカラ松。抵抗するが全く止まる気配がない。
「ま。まって!本当にまって。ちょっと!痛、い。」
「おい、カラ松!勝手に時を流すなよ!どしたんだよ、何か怒ってんの?いつもと違くない?変態紳士はどこいったんだよ!」
「ノンノン。別に怒っちゃあいないさ。いいか?おそまぁつ。同じ釜の飯を食い、裸で語り合う。それが男の付き合いだ。わかるだろう?……俺たちの友情を深める為に必要なことだ。」
「うん。それはわかる。けどさいきなり風呂は、さ?ちょっと先を急ぎすぎじゃない?」
「ウン?ガールなら確かにこんなマネはしないさ。相手は美しいが、男。何を遠慮する事があるんだ?……男には何をしてもそれは《友情》なのさ。フッ。何をしても許されるんだ。」
「……そうか。何かそんな気がしてきた。……風呂行こうか?」
「いや、洗脳されんな!」
身に危険を感じ口調も荒くなる。何しても許されるわけないし、限りなく犯罪者の考えに近い。
「ほぅら、ここがマイホーム松野家だ。ウェルカム!おそ松、バスタイムの用意だ!」
「アイアイサーッ!」
パチンと指を鳴らすカラ松とその合図で家の中へ走っていくおそ松。違う、俺に任せろ!はここで発揮して欲しいんじゃなぃ。行かないで!
「……さて真坂。2人きりだな。会いたかったぜ、マイベストフレンド。」
「(いつの間にベストフレンドに?)……はぁ。昨日ぶりです。」
「き、今日は、そのおそ松と、デデ、デートだったのか?……楽しんだのか?」
サングラスで隠された目は表情を読むことができない。掴まれたままの手首に力が入ってくる。ケガをして吊っていた腕は本当に治ったのだろう。
「はぁ、まぁ、楽しかったでー」
「ヤったのか!?したのかっ!?」
「やった?何を?」
「まぐわったのか!?」
「まぐわ?……っ!ってない!まぐわってない!」
「焦ってるな本当か?セックスしたのか?」
「だからしてないって!……男同士だし。」
「……そうか。その言葉俺は信じてるからな。お前の隣に、俺。OK?」
急に上機嫌になった男に少し恐怖を感じる。手首の力も弱くなった。が、依然として離されることは無かった。
「ところで……。その、いつ名前を呼んでくれるんだ?」
ソワソワチラチラと真坂を見る。
「松野さん。」
「わざとかベイビー?カ・ラ・松・だ。教えたろう?コールマイネーム。カラ松!」
「カラ松さん。」
「おしい。カラ松くん。もしくはカラ松。これからはそう呼んでくれ。……おそ松にはそう呼んでたろう?」
キリっと手首に圧を感じる。正直少し鬱陶しい。力で制されるなんて苛立たしい。真坂は勢いをつけて掴まれた手を振りほどいた。
「痛いのは好きじゃない。」
「っ!……あ、ゴメン。」
カラ松は振りほどかれたことにビックリしていたが、即座に謝罪した。どうやら、自分でも無意識に力が入っていたようだ。
「……俺の方が先に真坂に会ったのに、なんでおそ松と先に仲良くなっているんだ。……と思ったら、その、嫉妬してしまって。……悪かった。」
「……大丈夫です。こっちこそいきなりスミマセンでした。あと忘れてたり……お風呂行けなかったり。」
「それはダメだ。これから長い付き合いになるんだ。俺はそのつもりだ。だからもっと深く知り合おう!ディープに!」
「お風呂じゃなくたって知り合えるから。」
「知りたいんだ。生まれたままのお前を見せてくれ。心配ない、俺も見せてやるから、俺のグレイトなカラ松を!」
「見せたくない。見たくない。心配しかない。」
「……たい。」
「え?なんて?」
「真坂のチンコが見たいんだ!そんなプリティフェイスで、どんなモノを持っているんだ!?知りたい!背中流したいし流されたい!触ったり触られたり、なんなら最後までいけるからっー!」
《ゴスン!》
カラ松が上から降ってきた何かにぶつかり倒れた。カランと転がるそれを見ると、バットだった。何故こんな物が上から?突然の衝撃映像にバクバクとなる心臓を押さえ、上を見る。2階の窓から一松が顔を出していた。
「……そいつは大丈夫だから、もう行きなよ。風呂行きたいなら止めないけど。」
先程怒って帰った一松に助けられた。
「ありがとう!……でも、カラ松くんが。」
「近づいて襲われても、手元に投げる物無いよ。」
そう言われると、怯んでしまう。でも、見捨てられない。意を決して近づこうとした時、玄関が開いた。
「おまたせー。って、あれ?カラ松伸びてんじゃん。ユカリちゃんがやったの?思い切りが良いね!」
「あ、おそ松くん。」
「そうそう!ユカリちゃんのおそ松くんだよー。さ、行こうか?2人になっちゃったけど良いよね。むしろその方が!」
笑顔でお風呂セットを差し出してくる。何故本気で行こうとしているのか。女である事を隠す気があるのだろうか?
「カラ松くんをよろしくお願いします。」
真坂はおそ松に頭を下げ、2階の一松に手を振ると、走ってその場を去った。
「えー!帰っちゃうの?おい、カラ松お前何やらかしたの?ユカリちゃん逃げちゃったじゃん!」
おそ松がカラ松を覗きこむ。途端に目が見開かれる。
「……逃げたのか?」
「うん。まぁ、ちょっと強引すぎたね。」
「……ちょっと捕まえてくる。」
「え!?待て待て待て!さすがに!それはもう拉致に近いから!犯罪だからー!」
おそ松がカラ松を羽交い締めにして止める。
「ちょっと!家の前でうるさいよ!てかさっき、チンコとか叫んでなかった?外出歩けなくなるから止めてくんない?」
「チョロ松!良かった!こいつを止めてくれ!犯罪を未然に防ぐんだよ!」
「カラ松が?どうしたの?」
「フッ。止めるなチョロ松。俺はただ、アイツのチンコが見たいだけだ。」
「ハイィ!!」
《ドスッ!》
チョロ松のボディブローがキレイに決まった。カラ松がまたもダウンした。
「ふー。助かったぜー。とりあえず家の中に入れておこう。」
「怖いよ!何?カラ松どうしちゃったの?他人のチンコ見たがる兄弟がいるとか汚点でしかない、罰ゲームがすぎるよ!?」
「チョロ松。アレは仕方ないんだ。本能が押さえられなかっただけの悲しいモンスターなんだよ。」
「チンコ見たい本能て何!?」
「チョロ松兄さん。追求したら戻ってこれなくなるよ。」
チョロ松の後ろにいたトド松から忠告を受ける。その声は真剣そのものだった。
「それに、おそ松兄さんだって、もう。戻ってこないかも知れない。」
「トド松……。いやだから怖いわーーっ!」
松野家にチョロ松の声がこだました。