イ反面ライダーEX-AID
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それは扉を出た瞬間のことだった。
『あれっ!永夢じゃん!永夢ー!!』
「げっ」
月イチの勉強会を終え、会議室から出る医師らが一斉にそちらを向いた。
僕は思わず他人のフリをした。
廊下で人の名前を大声で叫ばないで欲しい。
まったく、嫌な人に目を付けられたもんだ。
ズケズケとこちらに向かってきた流星。
これじゃあ僕が永夢だってバレちゃうじゃないか。
まあ別に、バレたってやましい事はないけれど。
平手流星は放射線科医だ。些細な用事ついでに小児科病棟に立ち寄っては子ども達のごっこ遊びに付き合ったりしているので、傍から見ればただの能天気お気楽医師。
『んでさぁ!貴利矢が言うにはハズレらしくてさぁ』
「へー」
『永夢話聞いてる?』
「聞いてますよ」
『あー絶対嘘ー』
うざい。
僕が休憩時間に食堂で昼飯を食べていると、後からやってきた流星は必ずと言っていい程僕の向かいの席に座る。
うざいなんて断る理由にしてはあまりにも可哀想なワードなので面と向かって言えないし、他に相応な理由も見つからないのでどうしたものかと思案していると助け舟がやってきた。
「なに、自分今話題に上がってた?」
貴利矢だ。
『よー、貴利矢』
「貴利矢さん」
「流星ホント永夢のこと好きだな」
『おう。永夢ってさ、構いたくなる顔してんだよ。おれん家の猫に似てる』
「もずくちゃんだっけ?」
『そう、もずく』
いやどんな名前だよ。
『永夢今度おれん家遊びに来いよ』
「機会があれば」
『いつでもいいぜ。今日でも』
「急すぎませんか」
「自分も行っちゃおうかな」
『貴利矢も来いよ』
あれよあれよと話が進み、昼飯を食べ終わる頃には今晩流星の家に行き宅飲みする話でまとまってしまった。
仕事終わり、職員通用口集合で流星の自宅へ向かう。
貴利矢は何度か訪れたことがあるらしく、流星の家に入るなり一目散にもずくという猫を撫で回した。
もずくはもずくで、ある程度人馴れしている様だ。
『あいつおれん家来る度あんな感じ』
「そうなんですか」
数杯酒を煽り皆がほろよいになったところで、流星が口を開いた。
確かに、掴みどころのない貴利矢が床に這いつくばって猫を撫でているのは、珍しい光景なのかもしれない。
ついにもずくは貴利矢に飽きたらしく、永夢の足元にやってきてコロコロ鳴いている。
『撫でてやって。もずく寂しがり屋なんだ』
「へえ、飼い主に似てますね」
『は、おれに?』
「…」
つい余計なことを口走ってしまったと、永夢は思った。
『なあ永夢どゆこと?』
「なんでもないです」
『教えて、お願い』
「意地っ張りですね」
『教えてくれよ。なあ、どうしておれが寂しがり屋なんだ?』
言ってしまおうか。
どうせ貴利矢は酒に弱いくせに飲んで床に這いつくばったまま眠ってしまっていることだし。
「…いっつも独りで僕に話しかけてくるじゃないですか」
『そりゃ永夢かわいいからな』
「なっ…」
そんなにあっけらかんと言われても。
『おれ永夢のこと好きなんだよね』
知ってますよ。だって事ある毎に僕に話しかけてくる。
『なあ、だからおれと付き合ってくんない?』
「は?」
いつの間にかもずくは流星の腕の中に収まってゴロゴロと喉を鳴らしている。
『永夢かわいいからさ、おれのいないところで誰かと話してほしくないから見かける度に話しかけちまう』
「…」
だからそういう所が寂しがり屋なんだって。
流星に猫耳が着いていたらたぶん垂れ下がって見えるのだろう。そう考えたら可笑しくなってきて、つい笑ってしまった。
『笑うなよ』
「だって可愛いから」
『お、おれは可愛くない』
「無駄に意地張るのやめてください…言っときますが僕ドSなんで」
『え?つまりどう言う…』
「覚悟してくださいねってことです」
永夢は丁寧に流星の腕からもずくを優しく退かして、ついには流星を押し倒した。
「貴利矢さんぐっすり寝てて良かったですね」
『あいつ酒弱いからなあ』
「貴利矢さん良くここにくるんですか?」
『月イチくらいかなあ』
「もう呼ばないでくださいね」
『え?』
「今度から僕だけ呼んでください」
『はい…?ってことは付き合っ…』
「もう流星さんは僕のものですからね」
そう言って口付けを落とした。
『あれっ!永夢じゃん!永夢ー!!』
「げっ」
月イチの勉強会を終え、会議室から出る医師らが一斉にそちらを向いた。
僕は思わず他人のフリをした。
廊下で人の名前を大声で叫ばないで欲しい。
まったく、嫌な人に目を付けられたもんだ。
ズケズケとこちらに向かってきた流星。
これじゃあ僕が永夢だってバレちゃうじゃないか。
まあ別に、バレたってやましい事はないけれど。
平手流星は放射線科医だ。些細な用事ついでに小児科病棟に立ち寄っては子ども達のごっこ遊びに付き合ったりしているので、傍から見ればただの能天気お気楽医師。
『んでさぁ!貴利矢が言うにはハズレらしくてさぁ』
「へー」
『永夢話聞いてる?』
「聞いてますよ」
『あー絶対嘘ー』
うざい。
僕が休憩時間に食堂で昼飯を食べていると、後からやってきた流星は必ずと言っていい程僕の向かいの席に座る。
うざいなんて断る理由にしてはあまりにも可哀想なワードなので面と向かって言えないし、他に相応な理由も見つからないのでどうしたものかと思案していると助け舟がやってきた。
「なに、自分今話題に上がってた?」
貴利矢だ。
『よー、貴利矢』
「貴利矢さん」
「流星ホント永夢のこと好きだな」
『おう。永夢ってさ、構いたくなる顔してんだよ。おれん家の猫に似てる』
「もずくちゃんだっけ?」
『そう、もずく』
いやどんな名前だよ。
『永夢今度おれん家遊びに来いよ』
「機会があれば」
『いつでもいいぜ。今日でも』
「急すぎませんか」
「自分も行っちゃおうかな」
『貴利矢も来いよ』
あれよあれよと話が進み、昼飯を食べ終わる頃には今晩流星の家に行き宅飲みする話でまとまってしまった。
仕事終わり、職員通用口集合で流星の自宅へ向かう。
貴利矢は何度か訪れたことがあるらしく、流星の家に入るなり一目散にもずくという猫を撫で回した。
もずくはもずくで、ある程度人馴れしている様だ。
『あいつおれん家来る度あんな感じ』
「そうなんですか」
数杯酒を煽り皆がほろよいになったところで、流星が口を開いた。
確かに、掴みどころのない貴利矢が床に這いつくばって猫を撫でているのは、珍しい光景なのかもしれない。
ついにもずくは貴利矢に飽きたらしく、永夢の足元にやってきてコロコロ鳴いている。
『撫でてやって。もずく寂しがり屋なんだ』
「へえ、飼い主に似てますね」
『は、おれに?』
「…」
つい余計なことを口走ってしまったと、永夢は思った。
『なあ永夢どゆこと?』
「なんでもないです」
『教えて、お願い』
「意地っ張りですね」
『教えてくれよ。なあ、どうしておれが寂しがり屋なんだ?』
言ってしまおうか。
どうせ貴利矢は酒に弱いくせに飲んで床に這いつくばったまま眠ってしまっていることだし。
「…いっつも独りで僕に話しかけてくるじゃないですか」
『そりゃ永夢かわいいからな』
「なっ…」
そんなにあっけらかんと言われても。
『おれ永夢のこと好きなんだよね』
知ってますよ。だって事ある毎に僕に話しかけてくる。
『なあ、だからおれと付き合ってくんない?』
「は?」
いつの間にかもずくは流星の腕の中に収まってゴロゴロと喉を鳴らしている。
『永夢かわいいからさ、おれのいないところで誰かと話してほしくないから見かける度に話しかけちまう』
「…」
だからそういう所が寂しがり屋なんだって。
流星に猫耳が着いていたらたぶん垂れ下がって見えるのだろう。そう考えたら可笑しくなってきて、つい笑ってしまった。
『笑うなよ』
「だって可愛いから」
『お、おれは可愛くない』
「無駄に意地張るのやめてください…言っときますが僕ドSなんで」
『え?つまりどう言う…』
「覚悟してくださいねってことです」
永夢は丁寧に流星の腕からもずくを優しく退かして、ついには流星を押し倒した。
「貴利矢さんぐっすり寝てて良かったですね」
『あいつ酒弱いからなあ』
「貴利矢さん良くここにくるんですか?」
『月イチくらいかなあ』
「もう呼ばないでくださいね」
『え?』
「今度から僕だけ呼んでください」
『はい…?ってことは付き合っ…』
「もう流星さんは僕のものですからね」
そう言って口付けを落とした。
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