イ反面ライダーEX-AID
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流星今週末良いとこ連れてってやる、と何やら得意げな貴利矢の提案はつい先日のこと。夜勤明けの出来事だった。待ち合わせは朝四時。
今日はその当日なのだが、運悪く残業と重なって俺のコンディションはあまり宜しくない。
『クソ眠い…』
飲んでいたエナドリも飲み干してしまい、煙草を咥えかけたが、最近貴利矢が煙草の臭いが嫌いだとしきりに言うものだから、それを思い出して箱に戻した。これからその貴利矢の車に乗せてもらうというのに煙草を吸うというのはさすがに申し訳ないと思った。
まだ日の出前の街は静けさに溢れていて、朝焼けともまた違う雰囲気を醸し出している。
しかし、もうとうに四時を過ぎているが、貴利矢はいつになったら来るのだろうか。立ちっぱなしにも飽きて、流星が道路に埋め込まれた白いブロックの数を数えようとしたその時。
黒のロードスターでやってきた貴利矢は俺を見つけると助手席側の窓を開け、声をかけた。
「ごめん、待たせた」
『…かなりな。危うく煙草吸うとこだった』
「ってことは吸ってないんだ。とにかく、乗って乗って」
車に乗り込んだ瞬間、流星に睡魔が襲いかかってきたのを貴利矢は見逃さなかった。
「着くまで寝てて」
『ありがとう、そうする』
貴利矢の言葉に甘え、シートに深く身体を収めると、この車特有の振動を感じる。流星にはそれが心地よく感じられ、すぐに眠り落ちてしまった。
長らく車が停車しているのをシート越しに感じ取った流星は、目をうっすらと開いた。
「起きた?今高速のSA。着くまでもうちょいかかるけどトイレ大丈夫?」
『行っておく』
流星は目を擦りながら外へ出ると、未だ重い瞼と重い足でトイレを目指す。
「かわいいなあ…」
流星の後ろ姿を運転席から見守る貴利矢がぽつりと呟いた。
大丈夫、この思いはまだ流星に知られていない。
貴利矢は絶賛流星に片思い中だ。
先月、永夢とポッピーと流星とで行ったキャンプで焼きマシュマロを頬張る流星がまるで小動物のように見えて、自分がこの生き物を守らねばならないと錯覚してしまってからはもうずっとこの調子である。
正直かなりの重症だ。
キャンプに行ったその日のうちにポッピーからは「恋する乙女の目だね」と笑われ、永夢に「貴利矢さんのくせに苦労かけさせないで下さいよ。まあでも良かったです」と半ば貶しているのかよく分からない言葉と共に鼻で笑われた。どうやらこのキャンプは二人に仕組まれたものだったらしい。
そうこうしていると流星が戻ってきた。
『あとどれくらいかかんの』
自販機で買ったのか、二人分のコーヒーを手のひらで転がしながら流星は貴利矢に尋ねた。
「一時間はかからないと思う」
『へぇ。地図見た感じだと、この辺まで行くのかな』
とんとんと綺麗な指先でスマホをなぞり流星が指し示したのは正に自分たちが今から向かう先、つまり目的地である。
「ははー、どーかな」
流星の指先を見た瞬間に自分の中の邪な気持ちに触れ、慌てて目を逸らしたせいで声が上擦った。
『着くまでのお楽しみか。まあいいや』
流星はニヤリと笑ってスマホを弄り、暫くして再び眠りについた。
目的地に着くやいなや、正解だったじゃんと自慢げに呟いた流星の横顔はやけに幼く見えた。シートベルトを外し、車外へ出ようとする流星の手を握り引き留めた。
『なに』
「自分さ、流星のこと好きなんだ。付き合ってほしい」
こういう時は、分かりやすく、端的に。
『いいけど』
「いいのォ!?」
『嫌なら断ってる』
「いやでもよ…」
『おれのこと好きか嫌いか。どっちなんだよ』
「好きです」
『じゃあいいじゃん』
告白の返事ってこんなだっけ?
自分の人生を振り返ってみても告白の経験自体多くはないが、こんなにもあっさりとOKを出す人間は世の中になかなか居ないのではないだろうか。
『貴利矢って分かりやすいよな』
ニヤリと流星は笑った。貴利矢の好きな顔だ。
「や、そんなことねえよ…たぶん」
今まで皆ノせられてると思ってたのは自分だけ?
いやそんな訳。
『いつ告白してくれんのかなって、ずっと思ってた。…はやく行こうぜ、おれに朝焼け見せたいんだろ?』
呆気に取られていたら、心の内を流星に読まれていた。
「反則でしょ、流星…」
今更顔を両手で覆ったって何も隠せやしない。
現に両手を退けられ、キスされている。…キス!?
「…ちょっ!とぉ!!!流星クン!?何してんの!?」
『キスだけど』
流星のこういう天然だかよく分からない部分も貴利矢は好きなのだ。笑いたければ笑え、と貴利矢は心の中で叫んだ。と言うか、誰かに嘲笑って貰わないとこの恥ずかしさは消えない気がする。
『ほら、行くよ』
いつの間にか流星は車の外へ出て、運転席へ回り込んで貴利矢へ手を差し伸べていた。
今日はその当日なのだが、運悪く残業と重なって俺のコンディションはあまり宜しくない。
『クソ眠い…』
飲んでいたエナドリも飲み干してしまい、煙草を咥えかけたが、最近貴利矢が煙草の臭いが嫌いだとしきりに言うものだから、それを思い出して箱に戻した。これからその貴利矢の車に乗せてもらうというのに煙草を吸うというのはさすがに申し訳ないと思った。
まだ日の出前の街は静けさに溢れていて、朝焼けともまた違う雰囲気を醸し出している。
しかし、もうとうに四時を過ぎているが、貴利矢はいつになったら来るのだろうか。立ちっぱなしにも飽きて、流星が道路に埋め込まれた白いブロックの数を数えようとしたその時。
黒のロードスターでやってきた貴利矢は俺を見つけると助手席側の窓を開け、声をかけた。
「ごめん、待たせた」
『…かなりな。危うく煙草吸うとこだった』
「ってことは吸ってないんだ。とにかく、乗って乗って」
車に乗り込んだ瞬間、流星に睡魔が襲いかかってきたのを貴利矢は見逃さなかった。
「着くまで寝てて」
『ありがとう、そうする』
貴利矢の言葉に甘え、シートに深く身体を収めると、この車特有の振動を感じる。流星にはそれが心地よく感じられ、すぐに眠り落ちてしまった。
長らく車が停車しているのをシート越しに感じ取った流星は、目をうっすらと開いた。
「起きた?今高速のSA。着くまでもうちょいかかるけどトイレ大丈夫?」
『行っておく』
流星は目を擦りながら外へ出ると、未だ重い瞼と重い足でトイレを目指す。
「かわいいなあ…」
流星の後ろ姿を運転席から見守る貴利矢がぽつりと呟いた。
大丈夫、この思いはまだ流星に知られていない。
貴利矢は絶賛流星に片思い中だ。
先月、永夢とポッピーと流星とで行ったキャンプで焼きマシュマロを頬張る流星がまるで小動物のように見えて、自分がこの生き物を守らねばならないと錯覚してしまってからはもうずっとこの調子である。
正直かなりの重症だ。
キャンプに行ったその日のうちにポッピーからは「恋する乙女の目だね」と笑われ、永夢に「貴利矢さんのくせに苦労かけさせないで下さいよ。まあでも良かったです」と半ば貶しているのかよく分からない言葉と共に鼻で笑われた。どうやらこのキャンプは二人に仕組まれたものだったらしい。
そうこうしていると流星が戻ってきた。
『あとどれくらいかかんの』
自販機で買ったのか、二人分のコーヒーを手のひらで転がしながら流星は貴利矢に尋ねた。
「一時間はかからないと思う」
『へぇ。地図見た感じだと、この辺まで行くのかな』
とんとんと綺麗な指先でスマホをなぞり流星が指し示したのは正に自分たちが今から向かう先、つまり目的地である。
「ははー、どーかな」
流星の指先を見た瞬間に自分の中の邪な気持ちに触れ、慌てて目を逸らしたせいで声が上擦った。
『着くまでのお楽しみか。まあいいや』
流星はニヤリと笑ってスマホを弄り、暫くして再び眠りについた。
目的地に着くやいなや、正解だったじゃんと自慢げに呟いた流星の横顔はやけに幼く見えた。シートベルトを外し、車外へ出ようとする流星の手を握り引き留めた。
『なに』
「自分さ、流星のこと好きなんだ。付き合ってほしい」
こういう時は、分かりやすく、端的に。
『いいけど』
「いいのォ!?」
『嫌なら断ってる』
「いやでもよ…」
『おれのこと好きか嫌いか。どっちなんだよ』
「好きです」
『じゃあいいじゃん』
告白の返事ってこんなだっけ?
自分の人生を振り返ってみても告白の経験自体多くはないが、こんなにもあっさりとOKを出す人間は世の中になかなか居ないのではないだろうか。
『貴利矢って分かりやすいよな』
ニヤリと流星は笑った。貴利矢の好きな顔だ。
「や、そんなことねえよ…たぶん」
今まで皆ノせられてると思ってたのは自分だけ?
いやそんな訳。
『いつ告白してくれんのかなって、ずっと思ってた。…はやく行こうぜ、おれに朝焼け見せたいんだろ?』
呆気に取られていたら、心の内を流星に読まれていた。
「反則でしょ、流星…」
今更顔を両手で覆ったって何も隠せやしない。
現に両手を退けられ、キスされている。…キス!?
「…ちょっ!とぉ!!!流星クン!?何してんの!?」
『キスだけど』
流星のこういう天然だかよく分からない部分も貴利矢は好きなのだ。笑いたければ笑え、と貴利矢は心の中で叫んだ。と言うか、誰かに嘲笑って貰わないとこの恥ずかしさは消えない気がする。
『ほら、行くよ』
いつの間にか流星は車の外へ出て、運転席へ回り込んで貴利矢へ手を差し伸べていた。