イ反面ライダードライブ
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館の息子主
その日の仕事を終えた剛は、予約していた田舎の小さな旅館にてチェックインを済ませた。夕飯は広間で提供されるらしい。館内着である浴衣に着替えて時間どおりに広間へ向かうと、平日なだけあって客は剛と老夫婦一組のみであった。
「あなたも流星のファンなの?」
隣でお料理楽しみねと話していた老夫婦の夫人の方から尋ねられた。そこへタイミングよく話を遮るように食前酒が運ばれてきた。自分たちだけでは味気ないからと老夫婦に乾杯を求められ一緒に乾杯した。それにしても流星とは誰なのだろうか。
「ホラあの歌手の、平手流星よ」
夫人からそこまで聞けば剛でも分かった。 確か姉ちゃんがファンなんだっけ。その旨を夫人に伝えると、なあんだあなたは違うのねという声と共に顔が少しほころんだ。そしてあの子はここの旅館の息子さんなんよ、と教えてくれた。
料理に舌鼓を打った後は、温泉に浸かった。この地域の泉質は剛の肌に合うらしく、出る頃には少しのぼせつつも非常に気分が良かった。
部屋に戻る前に冷たいものでも飲もうかと自販機でコーヒー牛乳を買い、テレビのある広間へ戻るとそこには一方的に見知った顔がいた。平手流星だ。流星は先程自分や老夫婦が食べていたものと同じ料理を食べていた。
相手が食事中であり、尚且つ有名人であることを鑑みるとあまりジロジロ見るのも失礼だろう。そう思いテレビに視線を戻すと、流星が剛に話しかけてきた。
『お兄さんこんな田舎に何しに来たんですか?』
まさか話しかけられると思っていなかった剛は驚きのあまりコーヒー牛乳をこぼした。流星はその様子を見てすみません、と苦笑した。
「あ、えと、仕事で…」
改めて流星を振り返ったが、歌番組で見るより顔が良い。バラエティ番組などで有名人を前に取材を受ける一般人が口を揃えて言うことって本当なんだなと実感した。
『へえ。お仕事何されてるんですか?』
「カメラマンです。企業のプロモーション用の写真を撮りに来たんです」
『そうだったんですね。温泉以外何にもない町なんで、寛いでいってください』
「ありがとうございます」
そこへ流星が食べ終わった皿を下げに来た女将さんが入ってきた。
「それにしても流星久しぶりに帰ってきたよね、いつぶり?」
「夏のライブ以来だから…四ヶ月ぶりとか?明後日には東京戻るけどね」
「あら、そちらのお客さんも明後日東京帰るらしいわよ。一緒に帰ったら?」
女将さんはそう言って剛の方を向いた。
剛はドキリとした。有名人と東京まで行くって何事だ、もしかして幾らかお金払わないといけない?
「その人がよければ」
流星は茶を啜り、爪楊枝を咥えた。
剛は断る訳にもいかず、無言で首を縦に振った。
翌日は撮影編集したデータを職場へ送信し、クライアントからも無事了承を得ることが出来たため、案件がほぼ終わりかけたことを祝して夕食時に少しだけ酒を煽った。
スウェット姿で広間に顔を出した流星は、剛が飲酒しているのを見て俺も、と向かいの席に座り、近所のスーパーの袋からチューハイを取り出した。
軽く乾杯した二人は改めて自己紹介から始め、いくらか話していくうちにお互いが同い年であると分かったため、更に会話を弾ませた。その後は仲良く浴場へ向かい、背中を洗いあった。
『はあーやっぱ実家最高だな』
温泉に浸かりながら、流星はぽつりと漏らした。
「羨ましいよ」
『剛って実家どんな感じなんだ?』
「うち色々あってもう両親いないんだよね。元々仲良くなかったから別にいいんだけどさ、清々してるくらいだし」
『そうなんだ…』
別に流星が落ち込んだ顔しなくてもいいのに、と剛は笑う。気にしなくていいと剛は流星に伝え、のぼせそうだからと足早に浴場を出た。その後は昨日と同じようにコーヒー牛乳を買い、広間で身体の火照りを冷ました。
「あの表情は反則だろ…」
思わず背もたれに思い切りもたれ掛かり、温泉での流星を思い出した。剛は出会ってまだ二日の平手流星を好きになってしまったのだ。顔も良けりゃちんこもでかい。一言で言えば流星は剛の好みのタイプであった。
告ったらいけんのかな。でも有名人だし、相手の一人や二人いるんだろうな。
一人しどろもどろとしている剛の肩を流星が叩いた。
『もう24時だからこっちの電気とか消すけどどうする?もう少しここに居る?』
「あ…じゃあもう部屋戻ろうかな」
驚きつつもなるべく平静を装い剛は答えた。
『せっかくだから剛の部屋行ってもいい?俺もう少し話したい』
「良いけど…」
とてもじゃないが貴方を襲わない自信はありませんよと剛は流星に伝える自信はなかった。
各所の電気を消灯しながら剛の部屋に二人で辿り着くと、剛は仕事のものを適当に転がしてあったことに気付き、手繰り寄せてスーツケースに放り込んだ。
話題は趣味や筋トレの話などであった。流星は新しい趣味としてカメラを始めたいらしく、剛は用途を聞き出しお勧めの機種を紹介した。流星がカメラを触ってみたいと言うので、剛がいつもプライベートで使っている方のカメラを取り出し触らせた。
「そうそう、撮る時はちゃんと脇を閉めて」
『こうか?』
もう触れてもいいのかな、流星に。
こうだよ、と流星背後に回りからカメラを構える仕草を整えてやる…ところまでは良かったのだが、ついに剛は我慢の限界を迎えた。そのまま何も言わずに流星を抱きしめた。
『お、おい、剛…』
何かを言いかけた流星の口を剛はそのまま自分の口で塞ぐ。
「…流星がいけないんだよ、好意を寄せてる男の部屋に上がるなんて」
『なんで…っ』
角度を変え何度もキスをしてやると、流星はくったりと剛にもたれかかった。
『剛なら…いいかもな』
ふふ、と流星は幼く笑いかけた。
そこで剛の理性は焼き切れた。
その日の仕事を終えた剛は、予約していた田舎の小さな旅館にてチェックインを済ませた。夕飯は広間で提供されるらしい。館内着である浴衣に着替えて時間どおりに広間へ向かうと、平日なだけあって客は剛と老夫婦一組のみであった。
「あなたも流星のファンなの?」
隣でお料理楽しみねと話していた老夫婦の夫人の方から尋ねられた。そこへタイミングよく話を遮るように食前酒が運ばれてきた。自分たちだけでは味気ないからと老夫婦に乾杯を求められ一緒に乾杯した。それにしても流星とは誰なのだろうか。
「ホラあの歌手の、平手流星よ」
夫人からそこまで聞けば剛でも分かった。 確か姉ちゃんがファンなんだっけ。その旨を夫人に伝えると、なあんだあなたは違うのねという声と共に顔が少しほころんだ。そしてあの子はここの旅館の息子さんなんよ、と教えてくれた。
料理に舌鼓を打った後は、温泉に浸かった。この地域の泉質は剛の肌に合うらしく、出る頃には少しのぼせつつも非常に気分が良かった。
部屋に戻る前に冷たいものでも飲もうかと自販機でコーヒー牛乳を買い、テレビのある広間へ戻るとそこには一方的に見知った顔がいた。平手流星だ。流星は先程自分や老夫婦が食べていたものと同じ料理を食べていた。
相手が食事中であり、尚且つ有名人であることを鑑みるとあまりジロジロ見るのも失礼だろう。そう思いテレビに視線を戻すと、流星が剛に話しかけてきた。
『お兄さんこんな田舎に何しに来たんですか?』
まさか話しかけられると思っていなかった剛は驚きのあまりコーヒー牛乳をこぼした。流星はその様子を見てすみません、と苦笑した。
「あ、えと、仕事で…」
改めて流星を振り返ったが、歌番組で見るより顔が良い。バラエティ番組などで有名人を前に取材を受ける一般人が口を揃えて言うことって本当なんだなと実感した。
『へえ。お仕事何されてるんですか?』
「カメラマンです。企業のプロモーション用の写真を撮りに来たんです」
『そうだったんですね。温泉以外何にもない町なんで、寛いでいってください』
「ありがとうございます」
そこへ流星が食べ終わった皿を下げに来た女将さんが入ってきた。
「それにしても流星久しぶりに帰ってきたよね、いつぶり?」
「夏のライブ以来だから…四ヶ月ぶりとか?明後日には東京戻るけどね」
「あら、そちらのお客さんも明後日東京帰るらしいわよ。一緒に帰ったら?」
女将さんはそう言って剛の方を向いた。
剛はドキリとした。有名人と東京まで行くって何事だ、もしかして幾らかお金払わないといけない?
「その人がよければ」
流星は茶を啜り、爪楊枝を咥えた。
剛は断る訳にもいかず、無言で首を縦に振った。
翌日は撮影編集したデータを職場へ送信し、クライアントからも無事了承を得ることが出来たため、案件がほぼ終わりかけたことを祝して夕食時に少しだけ酒を煽った。
スウェット姿で広間に顔を出した流星は、剛が飲酒しているのを見て俺も、と向かいの席に座り、近所のスーパーの袋からチューハイを取り出した。
軽く乾杯した二人は改めて自己紹介から始め、いくらか話していくうちにお互いが同い年であると分かったため、更に会話を弾ませた。その後は仲良く浴場へ向かい、背中を洗いあった。
『はあーやっぱ実家最高だな』
温泉に浸かりながら、流星はぽつりと漏らした。
「羨ましいよ」
『剛って実家どんな感じなんだ?』
「うち色々あってもう両親いないんだよね。元々仲良くなかったから別にいいんだけどさ、清々してるくらいだし」
『そうなんだ…』
別に流星が落ち込んだ顔しなくてもいいのに、と剛は笑う。気にしなくていいと剛は流星に伝え、のぼせそうだからと足早に浴場を出た。その後は昨日と同じようにコーヒー牛乳を買い、広間で身体の火照りを冷ました。
「あの表情は反則だろ…」
思わず背もたれに思い切りもたれ掛かり、温泉での流星を思い出した。剛は出会ってまだ二日の平手流星を好きになってしまったのだ。顔も良けりゃちんこもでかい。一言で言えば流星は剛の好みのタイプであった。
告ったらいけんのかな。でも有名人だし、相手の一人や二人いるんだろうな。
一人しどろもどろとしている剛の肩を流星が叩いた。
『もう24時だからこっちの電気とか消すけどどうする?もう少しここに居る?』
「あ…じゃあもう部屋戻ろうかな」
驚きつつもなるべく平静を装い剛は答えた。
『せっかくだから剛の部屋行ってもいい?俺もう少し話したい』
「良いけど…」
とてもじゃないが貴方を襲わない自信はありませんよと剛は流星に伝える自信はなかった。
各所の電気を消灯しながら剛の部屋に二人で辿り着くと、剛は仕事のものを適当に転がしてあったことに気付き、手繰り寄せてスーツケースに放り込んだ。
話題は趣味や筋トレの話などであった。流星は新しい趣味としてカメラを始めたいらしく、剛は用途を聞き出しお勧めの機種を紹介した。流星がカメラを触ってみたいと言うので、剛がいつもプライベートで使っている方のカメラを取り出し触らせた。
「そうそう、撮る時はちゃんと脇を閉めて」
『こうか?』
もう触れてもいいのかな、流星に。
こうだよ、と流星背後に回りからカメラを構える仕草を整えてやる…ところまでは良かったのだが、ついに剛は我慢の限界を迎えた。そのまま何も言わずに流星を抱きしめた。
『お、おい、剛…』
何かを言いかけた流星の口を剛はそのまま自分の口で塞ぐ。
「…流星がいけないんだよ、好意を寄せてる男の部屋に上がるなんて」
『なんで…っ』
角度を変え何度もキスをしてやると、流星はくったりと剛にもたれかかった。
『剛なら…いいかもな』
ふふ、と流星は幼く笑いかけた。
そこで剛の理性は焼き切れた。