イ反面ライダードライブ
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「よっす」
『おはよ』
「今日も眠そうだね」
『低血圧なんだよ』
ズズ、とパック牛乳を啜る。
揃って電車に乗り、学校へ向かう。
俺と剛は中学の頃から知り合いだ。
脳みその作りもだいたい同じ。
だから高校も必然的に同じだった。
「なあ」
『ん』
「今日は部活来る?」
『うん』
「月イチのミーティングだよ」
『マジか。体動かせねえじゃん』
サッカー部だって同じ。一緒に中高と続けている。
1年の頃は別クラス。
今年。最後のクラス替えはまさかの同クラスだった。
授業を終え、昼飯を食う。
もちろん二人で。
「ねー、平手、付き合ってんの?」
『ん?誰が?』
剛が便所へ立ったタイミングで寄ってきた女子。
「平手と詩島」
『なんで?』
「いっつも一緒にいるじゃん」
『んー…そう見える?』
「見える見える。付き合ってるってのがウチら女子の見解なの」
『そうなんだ』
「で、付き合ってんの?」
『付き合ってないよ』
「なんだ」
なんだってなんだ。
「なんの話?」
「あ、詩島。なんでもない」
女子は戻ってきた剛に焦り、そそくさと戻っていった。
「ねー何の話してたの」
『なんでもない』
「ふーん」
俺はベコベコとパックのコーヒー牛乳を吸い上げた。
授業も六限まで終了し、部活へ向かう。
と言っても今日は月イチのミーティングだったか。
「今ちょっと行きたくねえって思ってたでしょ」
『バレた?』
「バレバレだから。でも今日はスタメン発表だから来た方が良いよ」
『どうせ俺選ばれてるんだろ』
「自意識過剰」
…ほら案の定選ばれてた。
今は既にサクッとミーティングを終えて帰宅ルートだ。
「羨ましい」
『?』
「流星が羨ましい」
『スタメン?剛だって選ばれたじゃん』
「俺ちょっと自身なかったんだよね」
『何言ってんだよ。他のヤツらとは明らかに練習量違うくせに』
「練習は量より質だよ」
『剛は質だって高い』
「その口ぶり、まるで俺の練習見てたみたいだね」
『見てたさ。あそこから』
校舎の屋上を指さす。
「え…」
『俺、伊達にサッカー部の練習サボってないから』
「知らなかった…」
『割と真面目に次期部長狙ってるんだよね。泊先輩の後継げるのって俺しかいなさそうだし?そろそろちゃんと部活に顔出さないとマズいよな』
「天才かよ」
『俺はそんなんじゃない…なあ、コンビニ寄ってかね?』
二人して棒付きアイスを齧る。かけきき
「なあ」
『ん?』
「流星は将来なんの仕事すんの?」
『オレは…漫画家かな』
「サッカー関係ないの!?」
『え…いずれはサッカー漫画描きたいとは思ってる、かな』
「そうなんだ」
『剛は?』
「オレは写真家」
『剛だってサッカー関係ねえじゃんかよ』
「サッカーの試合撮りに行くかもしれないよ」
『そっか』
そこから流れる数年の月日。
俺は高校を卒業してすぐ出版社に漫画を投げ込んでみたものの、賞に引っ掛かりすらしなかった。
今ではすっかり都内で働くサラリーマンだ。漫画家志望だったなんて職場の奴には口が裂けても言えない。そんな時に来た一通の手紙。
『中学校同窓会のお知らせ…か』
中学を卒業してもう10数年。アラサーだ。同級生の奴らとは連絡取り合ってないけど、今どうしてるんだろう。
結局当日。
なんだかんだ言って同窓会が行われる、会場となるホテルに来てしまった。受付を済ませたクラスの席には、朧気ながらも当時の面影を残す奴は多く、割とすんなりお互いを言い当てることができた。やれ嫁がいるだの、やれ子どもが産まれただの。昔の話よりも現在の近況報告ばかり。
「流星は?そう言えばサッカー上手かったけどなんかそれ関連やってる?」
『いや、今は普通のリーマンだよ』
「そっかー」
突然自分に話題振られるのって心臓に悪いよな。はあ。
「あ、剛来た」
剛。学校通ってた時はいつも一緒だったのに高校を卒業してからはぱったりと連絡も取り合わなくなり、会わなくなった。顔を見るのは本当に卒業式振りだ。
「おひさー」
『久しぶり』
「…なんか、痩せた?ってか、やつれた?」
『そう見えるか』
「うん」
剛は至って健康そうだ。歳よりも若々しく見える。
聞けば今は本当に写真家をやっているみたいだ。
ついこの前までは海外にいたらしい。
「流星は?漫画まだ描いてる?」
『もう描いてない。普通に会社員やってる』
「出版社とか?」
『いや、その辺のサラリーマン』
「そっかあ。ま、色々あったんだろうね。俺も数年前撮影で海外行った時に武装集団に捕まってもうカメラ辞めようかと思ったけどまだやってる。面白いよね」
『全然面白くねえよ。え、何その話。詳しく教えて?』
「あ、平手と詩島じゃん!」
『久しぶりー』
「よう」
クラスの女子は色々顔が変わっていて分からない。
話しているテンポで当時の感覚を掴み、誰だか思い出してきた感じだ。
いまはもうママやってる子が多いんだな。
「結局さー、当時のあの噂ってホントだったの?」
「噂?」
「詩島は知らないかー。平手と詩島が付き合ってるって噂」
『あー。あったねえ』
「え!何それ!俺初耳!」
「当時クラスの女子の間でその噂持ち切りだったからね」
「マジで!?」
『俺のところにも付き合ってるのかって聞きに来たことあったもんな』
「あったわね」
「あー、えー、縁もたけなわでは御座いますがそろそろお時間となりまし…」
有意義な時間というものは過ぎるのが早い。
一本締めで締め括り。
この後二次会に繰り出す奴もいたが、剛との久しぶりの再会のため、二人で飲むことにした。
二次会へ流れるメンバーからは「やっぱり付き合ってるだろ」と冷やかされた
『剛、どこで飲みたい?』
「俺の家?は…今ねえんだよなー」
『ねえの!?』
「俺今姉ちゃんとその旦那の家に荷物置いてるだけなんだよ。基本的に海外で暮らしてるから」
『へえー。つかお姉さん結婚したんだ。じゃあ俺の家で飲むか?』
「親大丈夫?」
『おん。俺今一人暮らしだから』
「マジで!?」
『何』
「あー…高校の時みたいにまた騒げるかなと思って」
『あはは、懐かしいね』
コンビニで適当に酒とつまみを買い込み、いざ自宅アパートへ向かわん。
「おじゃましまーす…」
『へいへい』
「意外と狭いね」
『そりゃ海外で暮らしてるお前の部屋よりかは狭いだろうな…あ、酒そこの机の上に置いておいて』
「うい」
『俺シャワー浴びるから先飲んでていいぞ』
「待ってるからいい」
『そうか、じゃあテレビ見てろよ』
「うん」
『出た』
「はやっ」
『浴びるだけだからな。さー飲もう』
酒の肴を開き、乾杯する。
「そう言えばさ、さっきの続き聞きたいんだけど」
『さっき?』
「ほらあの、俺と流星が付き合ってるー、とかいう噂」
『ああ。高校の時に昼飯食ってたらさっきの女性陣が付き合ってんのかって聞いてきた。で、付き合ってないって答えて終わり。あの後女子らは俺の答えに満足しなくて付き合ってるっていう噂流してたらしいけどな』
「へー」
『なんであんな噂流れたんだろうな』
「俺知らなかった。けどさ、俺ずっと流星のこと好きだったんだよね」
『え?』
「恋愛対象として」
『マジ?』
「マジ」
『…何で今まで言わなかったんだよ』
「いくら流星でも「気持ち悪い」とか言われそうで言えなかった」
『…言わない』
「…」
『けど、俺は剛を恋愛対象として今まで見てきていないから』
「知ってるよ」
『俺はどうしたらいい?』
「流星には流星のままでいて欲しい。変わらなくていいから」
『いや、うーん、そうなんだけど…そうじゃない…』
「?」
『付き合うとか、付き合わないとか、そういう事が聞きたい』
「俺は流星と付き合えたら嬉しい。引かれるかもしれないけどさ、俺今日卒業式ぶりに流星に会えてすっげー嬉しいんだよ。辛いこといっぱいあったし行くのやめようとも思ったけど、同窓会来れて良かったなと思った」
『そうか。俺は付き合いたくない、とは思わない。けど、今まで友達として接してきたから距離感が分からねえ』
「あーうん、分かるよ」
『だから、なんつーかその…結婚つーか、付き合う前提というか』
「うん」
『とにかく剛と付き合う努力がしたいからさ…恋愛対象として見る?努力?をしたいからさ』
「うん」
『…俺をドキドキさせて欲しい』
「うん。俺と付き合ってくれる努力をするとか、流星らしいね」
『なんか小っ恥ずかしいわ』
「付き合う前に付き合う練習するってことでしょ?練習して付き合って結婚、っていうスリーステップで俺考えてても良い?」
『努力はする』
「じゃあお互い頑張ろう。俺はドキドキさせる、流星は努力する」
『俺アラサーなのにさ、久々に恋愛してる気がする』
「俺だってアラサーだよ。ってか流星彼女は?」
『いたよ。つーか何気に奥さんいたよ』
「えっ」
『何だろう、元嫁とは好き同士だったんだけど、お互いやりたい事があったから別れたんだよね』
「そうだったんだ」
『まあお前が恋人になったときは元嫁に連絡くらい入れてやるかな』
「仲良いんだね」
『仲が悪くなって離婚した訳じゃねーからなあ』
「そういうのいいね」
『そうか?』
「うん、とてもいいと思う」
『あ、のさ』
「?」
『俺もう1回頑張ろうかな』
「なにを…」
『漫画だよ。佳作すら取れず諦めてたけど、剛に会ってから意味分かんないくらい頑張ろうって思えてきた』
「いいじゃん」
『おはよ』
「今日も眠そうだね」
『低血圧なんだよ』
ズズ、とパック牛乳を啜る。
揃って電車に乗り、学校へ向かう。
俺と剛は中学の頃から知り合いだ。
脳みその作りもだいたい同じ。
だから高校も必然的に同じだった。
「なあ」
『ん』
「今日は部活来る?」
『うん』
「月イチのミーティングだよ」
『マジか。体動かせねえじゃん』
サッカー部だって同じ。一緒に中高と続けている。
1年の頃は別クラス。
今年。最後のクラス替えはまさかの同クラスだった。
授業を終え、昼飯を食う。
もちろん二人で。
「ねー、平手、付き合ってんの?」
『ん?誰が?』
剛が便所へ立ったタイミングで寄ってきた女子。
「平手と詩島」
『なんで?』
「いっつも一緒にいるじゃん」
『んー…そう見える?』
「見える見える。付き合ってるってのがウチら女子の見解なの」
『そうなんだ』
「で、付き合ってんの?」
『付き合ってないよ』
「なんだ」
なんだってなんだ。
「なんの話?」
「あ、詩島。なんでもない」
女子は戻ってきた剛に焦り、そそくさと戻っていった。
「ねー何の話してたの」
『なんでもない』
「ふーん」
俺はベコベコとパックのコーヒー牛乳を吸い上げた。
授業も六限まで終了し、部活へ向かう。
と言っても今日は月イチのミーティングだったか。
「今ちょっと行きたくねえって思ってたでしょ」
『バレた?』
「バレバレだから。でも今日はスタメン発表だから来た方が良いよ」
『どうせ俺選ばれてるんだろ』
「自意識過剰」
…ほら案の定選ばれてた。
今は既にサクッとミーティングを終えて帰宅ルートだ。
「羨ましい」
『?』
「流星が羨ましい」
『スタメン?剛だって選ばれたじゃん』
「俺ちょっと自身なかったんだよね」
『何言ってんだよ。他のヤツらとは明らかに練習量違うくせに』
「練習は量より質だよ」
『剛は質だって高い』
「その口ぶり、まるで俺の練習見てたみたいだね」
『見てたさ。あそこから』
校舎の屋上を指さす。
「え…」
『俺、伊達にサッカー部の練習サボってないから』
「知らなかった…」
『割と真面目に次期部長狙ってるんだよね。泊先輩の後継げるのって俺しかいなさそうだし?そろそろちゃんと部活に顔出さないとマズいよな』
「天才かよ」
『俺はそんなんじゃない…なあ、コンビニ寄ってかね?』
二人して棒付きアイスを齧る。かけきき
「なあ」
『ん?』
「流星は将来なんの仕事すんの?」
『オレは…漫画家かな』
「サッカー関係ないの!?」
『え…いずれはサッカー漫画描きたいとは思ってる、かな』
「そうなんだ」
『剛は?』
「オレは写真家」
『剛だってサッカー関係ねえじゃんかよ』
「サッカーの試合撮りに行くかもしれないよ」
『そっか』
そこから流れる数年の月日。
俺は高校を卒業してすぐ出版社に漫画を投げ込んでみたものの、賞に引っ掛かりすらしなかった。
今ではすっかり都内で働くサラリーマンだ。漫画家志望だったなんて職場の奴には口が裂けても言えない。そんな時に来た一通の手紙。
『中学校同窓会のお知らせ…か』
中学を卒業してもう10数年。アラサーだ。同級生の奴らとは連絡取り合ってないけど、今どうしてるんだろう。
結局当日。
なんだかんだ言って同窓会が行われる、会場となるホテルに来てしまった。受付を済ませたクラスの席には、朧気ながらも当時の面影を残す奴は多く、割とすんなりお互いを言い当てることができた。やれ嫁がいるだの、やれ子どもが産まれただの。昔の話よりも現在の近況報告ばかり。
「流星は?そう言えばサッカー上手かったけどなんかそれ関連やってる?」
『いや、今は普通のリーマンだよ』
「そっかー」
突然自分に話題振られるのって心臓に悪いよな。はあ。
「あ、剛来た」
剛。学校通ってた時はいつも一緒だったのに高校を卒業してからはぱったりと連絡も取り合わなくなり、会わなくなった。顔を見るのは本当に卒業式振りだ。
「おひさー」
『久しぶり』
「…なんか、痩せた?ってか、やつれた?」
『そう見えるか』
「うん」
剛は至って健康そうだ。歳よりも若々しく見える。
聞けば今は本当に写真家をやっているみたいだ。
ついこの前までは海外にいたらしい。
「流星は?漫画まだ描いてる?」
『もう描いてない。普通に会社員やってる』
「出版社とか?」
『いや、その辺のサラリーマン』
「そっかあ。ま、色々あったんだろうね。俺も数年前撮影で海外行った時に武装集団に捕まってもうカメラ辞めようかと思ったけどまだやってる。面白いよね」
『全然面白くねえよ。え、何その話。詳しく教えて?』
「あ、平手と詩島じゃん!」
『久しぶりー』
「よう」
クラスの女子は色々顔が変わっていて分からない。
話しているテンポで当時の感覚を掴み、誰だか思い出してきた感じだ。
いまはもうママやってる子が多いんだな。
「結局さー、当時のあの噂ってホントだったの?」
「噂?」
「詩島は知らないかー。平手と詩島が付き合ってるって噂」
『あー。あったねえ』
「え!何それ!俺初耳!」
「当時クラスの女子の間でその噂持ち切りだったからね」
「マジで!?」
『俺のところにも付き合ってるのかって聞きに来たことあったもんな』
「あったわね」
「あー、えー、縁もたけなわでは御座いますがそろそろお時間となりまし…」
有意義な時間というものは過ぎるのが早い。
一本締めで締め括り。
この後二次会に繰り出す奴もいたが、剛との久しぶりの再会のため、二人で飲むことにした。
二次会へ流れるメンバーからは「やっぱり付き合ってるだろ」と冷やかされた
『剛、どこで飲みたい?』
「俺の家?は…今ねえんだよなー」
『ねえの!?』
「俺今姉ちゃんとその旦那の家に荷物置いてるだけなんだよ。基本的に海外で暮らしてるから」
『へえー。つかお姉さん結婚したんだ。じゃあ俺の家で飲むか?』
「親大丈夫?」
『おん。俺今一人暮らしだから』
「マジで!?」
『何』
「あー…高校の時みたいにまた騒げるかなと思って」
『あはは、懐かしいね』
コンビニで適当に酒とつまみを買い込み、いざ自宅アパートへ向かわん。
「おじゃましまーす…」
『へいへい』
「意外と狭いね」
『そりゃ海外で暮らしてるお前の部屋よりかは狭いだろうな…あ、酒そこの机の上に置いておいて』
「うい」
『俺シャワー浴びるから先飲んでていいぞ』
「待ってるからいい」
『そうか、じゃあテレビ見てろよ』
「うん」
『出た』
「はやっ」
『浴びるだけだからな。さー飲もう』
酒の肴を開き、乾杯する。
「そう言えばさ、さっきの続き聞きたいんだけど」
『さっき?』
「ほらあの、俺と流星が付き合ってるー、とかいう噂」
『ああ。高校の時に昼飯食ってたらさっきの女性陣が付き合ってんのかって聞いてきた。で、付き合ってないって答えて終わり。あの後女子らは俺の答えに満足しなくて付き合ってるっていう噂流してたらしいけどな』
「へー」
『なんであんな噂流れたんだろうな』
「俺知らなかった。けどさ、俺ずっと流星のこと好きだったんだよね」
『え?』
「恋愛対象として」
『マジ?』
「マジ」
『…何で今まで言わなかったんだよ』
「いくら流星でも「気持ち悪い」とか言われそうで言えなかった」
『…言わない』
「…」
『けど、俺は剛を恋愛対象として今まで見てきていないから』
「知ってるよ」
『俺はどうしたらいい?』
「流星には流星のままでいて欲しい。変わらなくていいから」
『いや、うーん、そうなんだけど…そうじゃない…』
「?」
『付き合うとか、付き合わないとか、そういう事が聞きたい』
「俺は流星と付き合えたら嬉しい。引かれるかもしれないけどさ、俺今日卒業式ぶりに流星に会えてすっげー嬉しいんだよ。辛いこといっぱいあったし行くのやめようとも思ったけど、同窓会来れて良かったなと思った」
『そうか。俺は付き合いたくない、とは思わない。けど、今まで友達として接してきたから距離感が分からねえ』
「あーうん、分かるよ」
『だから、なんつーかその…結婚つーか、付き合う前提というか』
「うん」
『とにかく剛と付き合う努力がしたいからさ…恋愛対象として見る?努力?をしたいからさ』
「うん」
『…俺をドキドキさせて欲しい』
「うん。俺と付き合ってくれる努力をするとか、流星らしいね」
『なんか小っ恥ずかしいわ』
「付き合う前に付き合う練習するってことでしょ?練習して付き合って結婚、っていうスリーステップで俺考えてても良い?」
『努力はする』
「じゃあお互い頑張ろう。俺はドキドキさせる、流星は努力する」
『俺アラサーなのにさ、久々に恋愛してる気がする』
「俺だってアラサーだよ。ってか流星彼女は?」
『いたよ。つーか何気に奥さんいたよ』
「えっ」
『何だろう、元嫁とは好き同士だったんだけど、お互いやりたい事があったから別れたんだよね』
「そうだったんだ」
『まあお前が恋人になったときは元嫁に連絡くらい入れてやるかな』
「仲良いんだね」
『仲が悪くなって離婚した訳じゃねーからなあ』
「そういうのいいね」
『そうか?』
「うん、とてもいいと思う」
『あ、のさ』
「?」
『俺もう1回頑張ろうかな』
「なにを…」
『漫画だよ。佳作すら取れず諦めてたけど、剛に会ってから意味分かんないくらい頑張ろうって思えてきた』
「いいじゃん」