イ反面ライダードライブ
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寝苦しくて、起きてスマホを確認する。今日は土曜らしい。
『…よかった』
金曜だと思ったから、これから急いで準備して会社行かなきゃ、なんて頭で少し考えてた。
「…ん、おはよう」
もそりと隣で揺れ声を掛ける人。え、誰?て言うか、ここ何処?
「もう少し寝てなよ」
再度布団に入るよう促されたのだが、全く状況が理解できない。
「落ち着きなよ」
これが落ち着いていられるか。よく見たらコイツはアイツだ。
同僚の早瀬明だ。
『早瀬…』
「うん」
なんで俺はこの男と寝ている?
『ここ、何処』
「ビジネスホテル」
『はあ?』
「いやなんかさ、昨日終電逃して。泊は霧子ちゃんがいるからってタクシー捕まえて帰ってさ」
いや、なんでそこで俺らもタクシー捕まえなかったんだよ。
「で俺らもタクシー捕まえようと思ったら、流星が『もう寝る』とか言い出して。新橋の路上で横になり始めたんだよ。帰そうにも家に行ったことはあるけど、ココからじゃ道分からないし住所覚えてないし。だからすぐ近くにあったビジホに来たんだ」
『元凶俺かよ…』
思わず頭を抱え悩んでしまった。まじかよ。
「あ、ちなみにダブルベッドなのは空きが無かったからね。フロントのお姉さんに変な目で見られたけど仕方ないし。しかし、男二人じゃあ狭いもんだね」
なんて呑気なもんなんだ。
『はあー』
「まあそんなに沈むなよ」
『ああ…つーかさ、俺、何もしてない?』
「ああー…」
そう言ってはらりと布団をめくる。シャツを捲った早瀬の、爽やかな顔に似合わず筋肉質な腹を見て絶句する。
「寝かせようと思ったらこの通り。お前が暴れて痣だらけ」
『うわあ…ゴメン』
「なんかストレスあるんじゃないか?ずっと唸ってたし、俺寝ながらどつかれたぞ。おかげで寝れたもんじゃない。という訳で、今から寝るから。よろしく」
そう言って早瀬は布団を被り眠り始めた。
『…』
「ああ、朝食券ならそこにある。食べるなら9時までに行っておいで」
『…』
違う。そうじゃないだろ。
『ゴメン』
「謝らなくていいって」
『…』
「チェックアウト10時までだから、ギリギリまで寝かせてくれ」
『…しい』
「え?」
『悔しい』
「悔しい?なにが」
『なんで進ノ介が結婚できて、俺はできねえんだ。腹立つ』
「おいおいどうしたやっぱり情緒不安定か」
『俺の方が進ノ介より諸々のステータス上回ってんだろ。なんで』
「俺はそういう流星の自信過剰なところ嫌いじゃないけどね。そうやって合コンで毎度自分を良く見せようと振舞って空回りしてさ。もうやめたら?」
『なんで早瀬にそんなこと言われなきゃならないんだよ』
「合コン毎回失敗してはしご酒してヤケ酒して。お前を見てるとそれに付き合わされる俺も辛くなる。良く見せなくったって良いだろ。いつまでもそんな事ばかりしてると、いつかどっかでボロが出るぞ」
『…』
眠る、だなんて言われてなぜかムカついて吐き捨てた言葉達を見事に拾ってここまで冷静に対処されると、なにも言い返せない。
「ま、お前を陰ながら見てるヤツだっているんだからさ。地道に付き合える人見つけなよ」
『そういうお前はどうなんだよ。俺が誘った合コン参加して女の子の視線全部攫ってく割には誰とも付き合わねえよな。何がしたいの?マジで』
「そりゃあ…」
そこまで言って口篭る。
心做しかどんどん布団に顔が隠れていっている。
おい、と布団を退けると早瀬は目を宙にさ迷わせていた。
「流星に変な虫がつかないようにしてた」
『俺に?』
「お前は鈍感だからね」
『え、いや…は?』
「そろそろ気付いてもらわないと困る。なあ、俺がどんだけお前の合コンに参加して虫を払ったと思ってる?お前の失敗した合コンのあとのヤケ酒に付き合ったと思ってる?」
さ迷わせていた瞳を俺の瞳に固定して、挙句の果てには俺の腕を掴み引き寄せて喋られる。顔や口調はいつもと変わらない。
爽やかな顔で鬼気迫る内容を口から漏らしているのだ。
『俺が変な女に引っかからないようにしてくれていたのか…?んで、ヤケ酒は毎度毎度付き合わせちまって、早瀬に嫌な思いさせてたんだな?…ゴメン』
「は?流星、お前ホント分かってないね」
『え?』
「女を払ったのも、ヤケ酒に付き合ったのも、俺がお前を手に入れるためだよ。なんでここまで言わないと気が付かない?やっぱり、鈍感だねえ」
ニッコリと、まだいつもと変わらない爽やかな口調に載せて微笑まれる。だが、俺の腕を掴む手には先程よりも強い力が込められていた。
『痛い』
「わざとだよ」
『えっ』
「俺がどれだけこの時を待ち望んだと思う?」
もう逃がさない、と布団から這い出た早瀬。
俺は若干の狂気を覚えるが、這い出たその姿を見ると俺の付けた痣が嫌でも目について、罪悪感で全てを否定できない。
「いい加減俺の物になればいいのに」
『ひっ…』
「そうしたら合コンも、結婚も、何も考えなくていい。俺が幸せにするのに」
『あ…』
組み敷かれ、首に手をかけられる。
呼吸がしづらい。
「どう、俺の物になる?ならない?」
なぜ、いつもと変わらぬ笑顔で、飄々と、そんなことを抜かせるのだ。聞きたいことは山ほどある。
どうして俺なの?なんで?いつから?
お前のこの力の強さは何を表している?
聞こうにも、首を絞められていては何もできない。しかも肯定の言葉を送らないと、永遠にこのままな気がする。
『な、る』
僅かに俺から漏れた、カサついた声。
早瀬は聞くなり悦びか、目を見開いた。
「ん、良い子だね。そうやって自分を良く見せないようにしてるのが流星にはお似合いだ」
『…よかった』
金曜だと思ったから、これから急いで準備して会社行かなきゃ、なんて頭で少し考えてた。
「…ん、おはよう」
もそりと隣で揺れ声を掛ける人。え、誰?て言うか、ここ何処?
「もう少し寝てなよ」
再度布団に入るよう促されたのだが、全く状況が理解できない。
「落ち着きなよ」
これが落ち着いていられるか。よく見たらコイツはアイツだ。
同僚の早瀬明だ。
『早瀬…』
「うん」
なんで俺はこの男と寝ている?
『ここ、何処』
「ビジネスホテル」
『はあ?』
「いやなんかさ、昨日終電逃して。泊は霧子ちゃんがいるからってタクシー捕まえて帰ってさ」
いや、なんでそこで俺らもタクシー捕まえなかったんだよ。
「で俺らもタクシー捕まえようと思ったら、流星が『もう寝る』とか言い出して。新橋の路上で横になり始めたんだよ。帰そうにも家に行ったことはあるけど、ココからじゃ道分からないし住所覚えてないし。だからすぐ近くにあったビジホに来たんだ」
『元凶俺かよ…』
思わず頭を抱え悩んでしまった。まじかよ。
「あ、ちなみにダブルベッドなのは空きが無かったからね。フロントのお姉さんに変な目で見られたけど仕方ないし。しかし、男二人じゃあ狭いもんだね」
なんて呑気なもんなんだ。
『はあー』
「まあそんなに沈むなよ」
『ああ…つーかさ、俺、何もしてない?』
「ああー…」
そう言ってはらりと布団をめくる。シャツを捲った早瀬の、爽やかな顔に似合わず筋肉質な腹を見て絶句する。
「寝かせようと思ったらこの通り。お前が暴れて痣だらけ」
『うわあ…ゴメン』
「なんかストレスあるんじゃないか?ずっと唸ってたし、俺寝ながらどつかれたぞ。おかげで寝れたもんじゃない。という訳で、今から寝るから。よろしく」
そう言って早瀬は布団を被り眠り始めた。
『…』
「ああ、朝食券ならそこにある。食べるなら9時までに行っておいで」
『…』
違う。そうじゃないだろ。
『ゴメン』
「謝らなくていいって」
『…』
「チェックアウト10時までだから、ギリギリまで寝かせてくれ」
『…しい』
「え?」
『悔しい』
「悔しい?なにが」
『なんで進ノ介が結婚できて、俺はできねえんだ。腹立つ』
「おいおいどうしたやっぱり情緒不安定か」
『俺の方が進ノ介より諸々のステータス上回ってんだろ。なんで』
「俺はそういう流星の自信過剰なところ嫌いじゃないけどね。そうやって合コンで毎度自分を良く見せようと振舞って空回りしてさ。もうやめたら?」
『なんで早瀬にそんなこと言われなきゃならないんだよ』
「合コン毎回失敗してはしご酒してヤケ酒して。お前を見てるとそれに付き合わされる俺も辛くなる。良く見せなくったって良いだろ。いつまでもそんな事ばかりしてると、いつかどっかでボロが出るぞ」
『…』
眠る、だなんて言われてなぜかムカついて吐き捨てた言葉達を見事に拾ってここまで冷静に対処されると、なにも言い返せない。
「ま、お前を陰ながら見てるヤツだっているんだからさ。地道に付き合える人見つけなよ」
『そういうお前はどうなんだよ。俺が誘った合コン参加して女の子の視線全部攫ってく割には誰とも付き合わねえよな。何がしたいの?マジで』
「そりゃあ…」
そこまで言って口篭る。
心做しかどんどん布団に顔が隠れていっている。
おい、と布団を退けると早瀬は目を宙にさ迷わせていた。
「流星に変な虫がつかないようにしてた」
『俺に?』
「お前は鈍感だからね」
『え、いや…は?』
「そろそろ気付いてもらわないと困る。なあ、俺がどんだけお前の合コンに参加して虫を払ったと思ってる?お前の失敗した合コンのあとのヤケ酒に付き合ったと思ってる?」
さ迷わせていた瞳を俺の瞳に固定して、挙句の果てには俺の腕を掴み引き寄せて喋られる。顔や口調はいつもと変わらない。
爽やかな顔で鬼気迫る内容を口から漏らしているのだ。
『俺が変な女に引っかからないようにしてくれていたのか…?んで、ヤケ酒は毎度毎度付き合わせちまって、早瀬に嫌な思いさせてたんだな?…ゴメン』
「は?流星、お前ホント分かってないね」
『え?』
「女を払ったのも、ヤケ酒に付き合ったのも、俺がお前を手に入れるためだよ。なんでここまで言わないと気が付かない?やっぱり、鈍感だねえ」
ニッコリと、まだいつもと変わらない爽やかな口調に載せて微笑まれる。だが、俺の腕を掴む手には先程よりも強い力が込められていた。
『痛い』
「わざとだよ」
『えっ』
「俺がどれだけこの時を待ち望んだと思う?」
もう逃がさない、と布団から這い出た早瀬。
俺は若干の狂気を覚えるが、這い出たその姿を見ると俺の付けた痣が嫌でも目について、罪悪感で全てを否定できない。
「いい加減俺の物になればいいのに」
『ひっ…』
「そうしたら合コンも、結婚も、何も考えなくていい。俺が幸せにするのに」
『あ…』
組み敷かれ、首に手をかけられる。
呼吸がしづらい。
「どう、俺の物になる?ならない?」
なぜ、いつもと変わらぬ笑顔で、飄々と、そんなことを抜かせるのだ。聞きたいことは山ほどある。
どうして俺なの?なんで?いつから?
お前のこの力の強さは何を表している?
聞こうにも、首を絞められていては何もできない。しかも肯定の言葉を送らないと、永遠にこのままな気がする。
『な、る』
僅かに俺から漏れた、カサついた声。
早瀬は聞くなり悦びか、目を見開いた。
「ん、良い子だね。そうやって自分を良く見せないようにしてるのが流星にはお似合いだ」