イ反面ライダードライブ
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『ごめん、定時上がり無理そう』
「うお、まじか」
『上がったらまた連絡入れる』
「ん、りょーかい」
最悪だ。クリスマスだぜ?今日。しかもホテルのディナー予約済。こんなのってありえねえだろ。剛には申し訳ないと常々思う。それでも剛は文句一つ言わず待っていてくれるのだ。いつも頭が上がらない。
結局仕事を終わらせることが出来たのは2時間後だった。クソ上司め、終業間際に仕事を振るんじゃねえ。苛立ちを抑えきれず、そそくさと煙草部屋に向かう。剛に連絡入れないと。
『もしもし、剛?今仕事終わった。浜橋駅の西口待ち合わせで良いか?そう、今期間限定でツリーが出てるところ。じゃあまた後で』
吸い殻を捨て煙草部屋を出ると、フロアの灯りは俺のまわりしか点いていなかった。俺最後かよ。施錠はセキュリティー管理されてるからやらなくてもいいけど、電気は消さないとな。
20分後、待ち合わせ場所に着くと程なくして剛がやってきた。
『ごめん、仕事遅くなって』
「ううん、いつもの事じゃん。お疲れ様」
『ごめん』
「もう謝らなくていいって。行こ?」
『うん』
剛の手を握り、歩き出す。
『ここからすぐのトコだから』
ホントにすぐ。もう見えているあのホテルだ。ちなみに、ホテルへ予約時間に行けないことを連絡したら、「いつでもお待ちしております」というような神対応。さすがだね、一流ホテルは。
『ちゃんと暖かくして来いって言ったじゃん』
「えー暖かいよ?」
『手が冷てぇよ』
「いま握ってもらってるからいいじゃん」
『違ぇ、ここに来るまでに冷えるだろ…もう着く』
「はっや」
扉が開くと煌びやかなクリスマスツリーがお出迎え。
黄金色のような世界。暖まるような色味。
「平手様、お待ちしておりました」
『遅くなってすみません』
「いえいえ。連絡を下さり、ありがとうございました。こちらへどうぞ」
ホテルマンに誘導され席へ着く。ピアノステージがよく見える。どうやら特等席に案内されたようだ。
「流星はあのホテルマンと知り合い?」
『うん。仕事の付き合いでたまにこのホテル使うんだ』
「へぇ」
『それにしても…剛そんなジャケット持ってた?』
ドレスコードなんて気にしなくても良いとは伝えたが、今日の剛はコートの下に見たことのないジャケットを着ていた。ていうかそもそもジャケット持ってたのか。
「買った。だってホテルディナーだよ?良いの着なくちゃ」
『それなら俺が買ってあげたのに』
「俺そんなヒモみたいになりたくないし」
『そうか、えらいえらい』
頭を撫でようとしたが、これまたジェルでセットされているらしく、辞めた。
ワインで乾杯を済ませると、ピアノ演奏が始まった。店員を見やると、目が合う。こういう心配りがありがたい。
「タイミング良いね」
剛は気づかなかったようだが、それで良かった。程よいタイミングで運ばれてくる料理に舌鼓を打ちながら演奏も楽しむ。
『俺も演奏したいな』
「して来れば?」
『いやいや』
言うなり剛が手を挙げ、ウェイターを呼ぶ。
「流星がピアノ弾きたいって」
「構いませんよ」
演奏家を下げさせ、ステージに昇る。なんだか小さい頃のピアノ発表会みたいだ。鍵盤に触れると心地よい音が響く。繰り返すとメロディになってホールに響き渡る。一通り楽しんだところで拍手が起こった。みんなお酒が入っていて聴いてないと思っていたからびっくりだよ。
「ねえ、なんの曲だったの?」
席に戻ると剛からの質問攻め。俺がピアノ弾けることは知らなかったか。
『即興』
「すっげえ」
ふと窓の外を見ると、雪が降っている。
「流星は誕生日いつだっけ」
『ん?えーと…明日か』
「自分の誕生日も忘れたのかよ」
そう言いながら差し出されたのは小さな包みだった。
『これは?』
「一日早いけど、誕プレ」
『ありがと…あ、ピアスだ』
「俺とお揃いだよ」
『剛穴開いてないだろ』
「流星に開けてもらう」
『なるほど』
はやく開けてと急かす剛が子どもっぽくて、やけに焦らしたくなる。
ホテルディナーを十分楽しんだところで、店を出た。
「あんな美味しいの、初めて食べた」
『大袈裟だな』
「ホントだって…ねえ、はやくピアス」
『急ぐなって。ニードル家にあるから』
「じゃあはやく帰ろう」
『わかったわかった』
なんとか終電前の電車に乗りこみ無事帰宅。
「はやく!」
家に着くなりまた騒ぎ出す剛。
『ちゃんと先に手洗いうがいしなさい』
「はーい」
しっかり者と思いきや、いきなり子どもっぽくなる所があるんだよな。と、洗面所へ駆ける姿を見て思う。俺はネクタイを外しながら先程のピアスを眺める。赤い石が嵌め込んであり、シルバーの装飾も繊細。かなり高かったんじゃないのか、これ。
「洗った!」
『はいえらいえらい。じゃあ…どこに開けるんだ?』
「んー、この辺」
『OK。剛の耳開けやすそうだよな』
「こそばゆいからそんな風に触らないでくれる?」
『わりいわりい』
何事もなく開けてやると、嬉しそうに何度も鏡を眺めている。良かったな。
「おそろい」
『だな。我ながら綺麗に開けれた』
しみじみ言ったところで押し倒された。次いで着ていたシャツを剥がされた。えっ上半身が寒い!
『なになになになに!?』
「これ」
『!?』
そっと撫でられた胸。
「ニップルピアス。俺も開けたい」
『ななななななんでこのピアス知ってるんだよ』
「寝てる時に見た」
寝てる時!?俺とお前は一度も身体を交えたことないよな!?と思ったけど多分俺が仕事で疲れて風呂上がり上半身裸で爆睡してる時に見たのだろう。
「ねえ…あーって、して」
『え?…あー』
今度は口で口を塞がれた。
『っ!?なんなん…???』
「センタータン」
『なんでこれも知ってるの…』
「寝てる時に見た」
こっちもかよ!
つーか、なんで剛は今日こんなにもオスすぎるんだ!?今までこんなこと一度も無かったぞ!?ワイン飲んだからか!?改めて顔を見ると、ほんのり赤いし目も虚ろだ…。はやくこの押し倒されてる体勢をなんとかしないと。
「流星ってさあ…」
『ん?』
「いーっつも、かっこいーよね。すき」
『!!』
ふにゃりと微笑んでそんなことを言うもんだからこっちは何も言えなくなる。口を噤んだかと思えば、寝てしまった。覆い被さってきてるからね、俺に。
まあ、こんなクリスマスも悪くない。
「うお、まじか」
『上がったらまた連絡入れる』
「ん、りょーかい」
最悪だ。クリスマスだぜ?今日。しかもホテルのディナー予約済。こんなのってありえねえだろ。剛には申し訳ないと常々思う。それでも剛は文句一つ言わず待っていてくれるのだ。いつも頭が上がらない。
結局仕事を終わらせることが出来たのは2時間後だった。クソ上司め、終業間際に仕事を振るんじゃねえ。苛立ちを抑えきれず、そそくさと煙草部屋に向かう。剛に連絡入れないと。
『もしもし、剛?今仕事終わった。浜橋駅の西口待ち合わせで良いか?そう、今期間限定でツリーが出てるところ。じゃあまた後で』
吸い殻を捨て煙草部屋を出ると、フロアの灯りは俺のまわりしか点いていなかった。俺最後かよ。施錠はセキュリティー管理されてるからやらなくてもいいけど、電気は消さないとな。
20分後、待ち合わせ場所に着くと程なくして剛がやってきた。
『ごめん、仕事遅くなって』
「ううん、いつもの事じゃん。お疲れ様」
『ごめん』
「もう謝らなくていいって。行こ?」
『うん』
剛の手を握り、歩き出す。
『ここからすぐのトコだから』
ホントにすぐ。もう見えているあのホテルだ。ちなみに、ホテルへ予約時間に行けないことを連絡したら、「いつでもお待ちしております」というような神対応。さすがだね、一流ホテルは。
『ちゃんと暖かくして来いって言ったじゃん』
「えー暖かいよ?」
『手が冷てぇよ』
「いま握ってもらってるからいいじゃん」
『違ぇ、ここに来るまでに冷えるだろ…もう着く』
「はっや」
扉が開くと煌びやかなクリスマスツリーがお出迎え。
黄金色のような世界。暖まるような色味。
「平手様、お待ちしておりました」
『遅くなってすみません』
「いえいえ。連絡を下さり、ありがとうございました。こちらへどうぞ」
ホテルマンに誘導され席へ着く。ピアノステージがよく見える。どうやら特等席に案内されたようだ。
「流星はあのホテルマンと知り合い?」
『うん。仕事の付き合いでたまにこのホテル使うんだ』
「へぇ」
『それにしても…剛そんなジャケット持ってた?』
ドレスコードなんて気にしなくても良いとは伝えたが、今日の剛はコートの下に見たことのないジャケットを着ていた。ていうかそもそもジャケット持ってたのか。
「買った。だってホテルディナーだよ?良いの着なくちゃ」
『それなら俺が買ってあげたのに』
「俺そんなヒモみたいになりたくないし」
『そうか、えらいえらい』
頭を撫でようとしたが、これまたジェルでセットされているらしく、辞めた。
ワインで乾杯を済ませると、ピアノ演奏が始まった。店員を見やると、目が合う。こういう心配りがありがたい。
「タイミング良いね」
剛は気づかなかったようだが、それで良かった。程よいタイミングで運ばれてくる料理に舌鼓を打ちながら演奏も楽しむ。
『俺も演奏したいな』
「して来れば?」
『いやいや』
言うなり剛が手を挙げ、ウェイターを呼ぶ。
「流星がピアノ弾きたいって」
「構いませんよ」
演奏家を下げさせ、ステージに昇る。なんだか小さい頃のピアノ発表会みたいだ。鍵盤に触れると心地よい音が響く。繰り返すとメロディになってホールに響き渡る。一通り楽しんだところで拍手が起こった。みんなお酒が入っていて聴いてないと思っていたからびっくりだよ。
「ねえ、なんの曲だったの?」
席に戻ると剛からの質問攻め。俺がピアノ弾けることは知らなかったか。
『即興』
「すっげえ」
ふと窓の外を見ると、雪が降っている。
「流星は誕生日いつだっけ」
『ん?えーと…明日か』
「自分の誕生日も忘れたのかよ」
そう言いながら差し出されたのは小さな包みだった。
『これは?』
「一日早いけど、誕プレ」
『ありがと…あ、ピアスだ』
「俺とお揃いだよ」
『剛穴開いてないだろ』
「流星に開けてもらう」
『なるほど』
はやく開けてと急かす剛が子どもっぽくて、やけに焦らしたくなる。
ホテルディナーを十分楽しんだところで、店を出た。
「あんな美味しいの、初めて食べた」
『大袈裟だな』
「ホントだって…ねえ、はやくピアス」
『急ぐなって。ニードル家にあるから』
「じゃあはやく帰ろう」
『わかったわかった』
なんとか終電前の電車に乗りこみ無事帰宅。
「はやく!」
家に着くなりまた騒ぎ出す剛。
『ちゃんと先に手洗いうがいしなさい』
「はーい」
しっかり者と思いきや、いきなり子どもっぽくなる所があるんだよな。と、洗面所へ駆ける姿を見て思う。俺はネクタイを外しながら先程のピアスを眺める。赤い石が嵌め込んであり、シルバーの装飾も繊細。かなり高かったんじゃないのか、これ。
「洗った!」
『はいえらいえらい。じゃあ…どこに開けるんだ?』
「んー、この辺」
『OK。剛の耳開けやすそうだよな』
「こそばゆいからそんな風に触らないでくれる?」
『わりいわりい』
何事もなく開けてやると、嬉しそうに何度も鏡を眺めている。良かったな。
「おそろい」
『だな。我ながら綺麗に開けれた』
しみじみ言ったところで押し倒された。次いで着ていたシャツを剥がされた。えっ上半身が寒い!
『なになになになに!?』
「これ」
『!?』
そっと撫でられた胸。
「ニップルピアス。俺も開けたい」
『ななななななんでこのピアス知ってるんだよ』
「寝てる時に見た」
寝てる時!?俺とお前は一度も身体を交えたことないよな!?と思ったけど多分俺が仕事で疲れて風呂上がり上半身裸で爆睡してる時に見たのだろう。
「ねえ…あーって、して」
『え?…あー』
今度は口で口を塞がれた。
『っ!?なんなん…???』
「センタータン」
『なんでこれも知ってるの…』
「寝てる時に見た」
こっちもかよ!
つーか、なんで剛は今日こんなにもオスすぎるんだ!?今までこんなこと一度も無かったぞ!?ワイン飲んだからか!?改めて顔を見ると、ほんのり赤いし目も虚ろだ…。はやくこの押し倒されてる体勢をなんとかしないと。
「流星ってさあ…」
『ん?』
「いーっつも、かっこいーよね。すき」
『!!』
ふにゃりと微笑んでそんなことを言うもんだからこっちは何も言えなくなる。口を噤んだかと思えば、寝てしまった。覆い被さってきてるからね、俺に。
まあ、こんなクリスマスも悪くない。