イ反面ライダー鎧武
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駆紋戒斗は電車の乗り方が分からない。切符は買えないわ、乗り換えはできないわ。それを知ったのは、つい最近のことだ。
あの日は、流行りのパンケーキを食べに行く予定だった。
シブヤハラジュクと呪文のように女子高生が唱えるところへ男二人が行くというのも不思議というか場違いな気がした。が、先日ネットでクリームがこんもりと盛られ南国のフルーツが散りばめられたプレートを見て涎が止まらなくなってしまい、どうしようもなかったのだ。
パンケーキにありつくまでにはかなりの待ち時間があるらしい。更には人混みを歩き店へ辿り着くのも一苦労かかりそうだ。
だが甘いものは食べたい。
大の甘党の俺たちは、お互いがお互いにそう言い聞かせて家を出発した。…そこまでは良かった。そこまでは。車で乗り付けていくことができないからと、電車で行くことにしたのだが、普段はマイカーで通勤しているため、電車のICカードなど持っていない。1日乗り放題の切符も事前に調べてみたが、往復するだけなので普通に切符を買った方が良さそうだった。で、当日。
『券売機はこっち』
「ケンバイキ」
『なんでカタコトなんだよ』
「うるせえ」
二人分の切符を買い終え、二人並んで改札を通る。
俺のはカシュン!と勢い良く切符が流れたが、戒斗がついてきていない。振り返ると、戒斗はしきりにICカード読取機に切符を当てていた。アホか。
『戒斗ー、読取機の手前のところへ切符を吸い込ませろ』
やっと通れた。
『電車乗ったことないのか』
「まあな」
自慢げに言われた!
『いいか、電車は乗っても座れないことが多いからな。イライラするなよ?今日は平日の昼間だからまだマシだとは思うけど…』
ホームへ向かうまでにサラッと言っておく。戒斗短気だからなあ。朝のラッシュに乗った末にはブチ切れてそうだ。
「分かってる」
『何が分かってんだよ』
「昨日調べた。満員電車について」
『…そっか』
わざわざ調べたんだ可愛い…なんだこの可愛い生き物は。幸いにも来た電車は空いていて、二人隣合って座ることが出来た。朝のラッシュから一息ついたこの時間、地元の駅は空いている。地元から目的地までは1本で行けるのでこのまま座っていられるのは有り難い。
「なあ」
『ん、どうした?』
「これどこまで行けんの?」
『終点は…あれ見て』
ドアの上に設置された路線図を指さす。
「あ゛?どこまでだよ」
『今俺達が乗ってるのは赤色の線。で、次止まる駅があそこ。だから向かっていった先が終点だよ』
「グルグルまわる線はどれだ」
『何それ』
「グルグルまわる」
『うーん…あっ。あの緑の線のこと?』
「あれか」
『次の次で乗り換えたら緑に乗れるよー』
「それ乗ろう」
『えっ今から!?』
戒斗お前なんでちょっとワクワクしてんだよおおおおお。目がちょっと耀いてる。子どもか。
『また今度でいいじゃん!!』
「嫌だ!!!」
『拗ねるな!!』
俺らの今日の目的はパンケーキ!!!冷静さを取り戻そうと、パンケーキのお店のサイトを調べる。…あれ、嘘だろ?
『戒斗…』
「何だ?」
『今日パンケーキの店臨時休業だって…』
「そうか」
『ショックすぎるわ…』
昨日ちゃんとサイト調べたのに!!!
今朝更新されてたよ!!!悔しい!!!!!
もう今日パンケーキの口になってるんですけど…
「これで1日電車乗っていられるな、流星」
『は?』
「いろんな線の電車に乗りたい」
『何言ってんだよ戒斗』
「…良いだろ?」
なんでそこだけ低音で囁くように言うの!?
ズルくない!?
『…』
「降りるぞ」
手を引かれて降ろされた。
『どこ行くんだよ』
「緑の線」
『あぁ…』
彼はぐるぐると回りたいらしい。子どもかよ…
そして俺らはぐるぐると内回りの電車に揺られた。パンケーキはやむなく、チェーンの牛丼屋に変更された。また今度の機会にパンケーキ食いに行こうな。緑の線の内回りを制覇して、黄色い線や紫の線、水色の線…そして赤色の線でやっと帰宅。乗り放題券を買わなかったから電車賃がかなり高くついたのは秘密だ。
『あただいま…疲れた…』
「電車乗ってただけじゃねーか」
『それが疲れるんだよ』
戒斗に路線図を買い与えてやった。
そうしたら帰りの電車内でずーっと眺めていた。何が楽しいのか俺にはさっぱり分からない。だが、人前では滅多に笑わないヤツの楽しげな表情が見れるのは嬉しいことだ。
「また今度行こうな」
なにやらボソッと呟いているが、お茶を淹れている俺は敢えて聞こえていないフリをする。電車はもう当分嫌だ…。
「流星」
やべ。
「また電車乗ろう」
そんなにせがまれても。
『俺は嫌だね。疲れるから。一人で行けば良いだろ、路線図買ってやったんだし』
「一緒に行こうって言ってんだよ!!!!!」
駆紋戒斗がブチ切れた。ブチ切れ方がバカっぽい。笑いそうになったけど、本人は至って本気なので、ここで笑ったら殺されかねない。とりあえず、適当に宥めすかしてこの場を取り持った。
『あぁ、行く。今度な』
あの日は、流行りのパンケーキを食べに行く予定だった。
シブヤハラジュクと呪文のように女子高生が唱えるところへ男二人が行くというのも不思議というか場違いな気がした。が、先日ネットでクリームがこんもりと盛られ南国のフルーツが散りばめられたプレートを見て涎が止まらなくなってしまい、どうしようもなかったのだ。
パンケーキにありつくまでにはかなりの待ち時間があるらしい。更には人混みを歩き店へ辿り着くのも一苦労かかりそうだ。
だが甘いものは食べたい。
大の甘党の俺たちは、お互いがお互いにそう言い聞かせて家を出発した。…そこまでは良かった。そこまでは。車で乗り付けていくことができないからと、電車で行くことにしたのだが、普段はマイカーで通勤しているため、電車のICカードなど持っていない。1日乗り放題の切符も事前に調べてみたが、往復するだけなので普通に切符を買った方が良さそうだった。で、当日。
『券売機はこっち』
「ケンバイキ」
『なんでカタコトなんだよ』
「うるせえ」
二人分の切符を買い終え、二人並んで改札を通る。
俺のはカシュン!と勢い良く切符が流れたが、戒斗がついてきていない。振り返ると、戒斗はしきりにICカード読取機に切符を当てていた。アホか。
『戒斗ー、読取機の手前のところへ切符を吸い込ませろ』
やっと通れた。
『電車乗ったことないのか』
「まあな」
自慢げに言われた!
『いいか、電車は乗っても座れないことが多いからな。イライラするなよ?今日は平日の昼間だからまだマシだとは思うけど…』
ホームへ向かうまでにサラッと言っておく。戒斗短気だからなあ。朝のラッシュに乗った末にはブチ切れてそうだ。
「分かってる」
『何が分かってんだよ』
「昨日調べた。満員電車について」
『…そっか』
わざわざ調べたんだ可愛い…なんだこの可愛い生き物は。幸いにも来た電車は空いていて、二人隣合って座ることが出来た。朝のラッシュから一息ついたこの時間、地元の駅は空いている。地元から目的地までは1本で行けるのでこのまま座っていられるのは有り難い。
「なあ」
『ん、どうした?』
「これどこまで行けんの?」
『終点は…あれ見て』
ドアの上に設置された路線図を指さす。
「あ゛?どこまでだよ」
『今俺達が乗ってるのは赤色の線。で、次止まる駅があそこ。だから向かっていった先が終点だよ』
「グルグルまわる線はどれだ」
『何それ』
「グルグルまわる」
『うーん…あっ。あの緑の線のこと?』
「あれか」
『次の次で乗り換えたら緑に乗れるよー』
「それ乗ろう」
『えっ今から!?』
戒斗お前なんでちょっとワクワクしてんだよおおおおお。目がちょっと耀いてる。子どもか。
『また今度でいいじゃん!!』
「嫌だ!!!」
『拗ねるな!!』
俺らの今日の目的はパンケーキ!!!冷静さを取り戻そうと、パンケーキのお店のサイトを調べる。…あれ、嘘だろ?
『戒斗…』
「何だ?」
『今日パンケーキの店臨時休業だって…』
「そうか」
『ショックすぎるわ…』
昨日ちゃんとサイト調べたのに!!!
今朝更新されてたよ!!!悔しい!!!!!
もう今日パンケーキの口になってるんですけど…
「これで1日電車乗っていられるな、流星」
『は?』
「いろんな線の電車に乗りたい」
『何言ってんだよ戒斗』
「…良いだろ?」
なんでそこだけ低音で囁くように言うの!?
ズルくない!?
『…』
「降りるぞ」
手を引かれて降ろされた。
『どこ行くんだよ』
「緑の線」
『あぁ…』
彼はぐるぐると回りたいらしい。子どもかよ…
そして俺らはぐるぐると内回りの電車に揺られた。パンケーキはやむなく、チェーンの牛丼屋に変更された。また今度の機会にパンケーキ食いに行こうな。緑の線の内回りを制覇して、黄色い線や紫の線、水色の線…そして赤色の線でやっと帰宅。乗り放題券を買わなかったから電車賃がかなり高くついたのは秘密だ。
『あただいま…疲れた…』
「電車乗ってただけじゃねーか」
『それが疲れるんだよ』
戒斗に路線図を買い与えてやった。
そうしたら帰りの電車内でずーっと眺めていた。何が楽しいのか俺にはさっぱり分からない。だが、人前では滅多に笑わないヤツの楽しげな表情が見れるのは嬉しいことだ。
「また今度行こうな」
なにやらボソッと呟いているが、お茶を淹れている俺は敢えて聞こえていないフリをする。電車はもう当分嫌だ…。
「流星」
やべ。
「また電車乗ろう」
そんなにせがまれても。
『俺は嫌だね。疲れるから。一人で行けば良いだろ、路線図買ってやったんだし』
「一緒に行こうって言ってんだよ!!!!!」
駆紋戒斗がブチ切れた。ブチ切れ方がバカっぽい。笑いそうになったけど、本人は至って本気なので、ここで笑ったら殺されかねない。とりあえず、適当に宥めすかしてこの場を取り持った。
『あぁ、行く。今度な』