イ反面ライダー555
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向こうまでずっと続く堤防。
ここまで電車にのんびり揺られやってきた。
海を眺めるようにして二人は堤防の上に座り込む。
潮風が懐かしい気持ちにさせてくれた。
『木場さん』
隣に座った彼に声をかけると、小首を傾げ、こちらを覗き込んできた。
「平手くん、どうしたの?」
『昨日の話…』
言いかけると彼は思い出したようで。
「ああ、あれね」
途端にパッと明るい顔をする。
「なんだったの?」
昨日の話、と言っても。言いかけてまた明日、と尻切れトンボになっていた話だ。まだなにも彼に伝えていない。
『俺も』
「うん」
まるでこの世界に二人きりみたいな。
耳に入るのは風と、静かに波が打ち寄せる音と、彼の声だけ。
『俺も、オルフェノクなんだ』
「…」
彼は目を見開き、またいつもの顔に戻る。
『木場さんと出会ったこの海で、いつか絶対打ち明けようと思ってたんだ』
そう、彼との出会いはここから始まった。
俺がいつものようにシーグラス採集に夢中になっていた時のこと。突然、奥の茂みから傷だらけの彼がフラフラとこちらに向かってきたのだ。倒れる寸前の彼を受け止めて木陰で休ませてやると、目が覚めたときに何度もお礼を言われた。
倒れる寸前、彼の顔にオルフェノクの紋章が浮かんでいた。
その時彼が裏切り者のオルフェノクであることを知ってしまった。だって茂みから姿を消した相手は、スマートブレインのネクタイピンを身に着けた、スマートブレインの社員だったのだから。
俺が目の良い鷹のオルフェノクでなければ、ネクタイピンなんてものに気付かずに済んだのに。
『今まで隠しててごめん』
「いいよ。君は…平手くんは、俺の仲間なんだろう?」
ああ、なんて彼は優しいのだろう。
でも俺は彼の言葉に頷くことができない。
『ごめん…』
俺は徐ろにシャツを脱いだ。
「…っ!!それは」
胸に彫られたスマートブレインのロゴマーク。
『俺は村上社長に救われた。死んだ時は誰も見届けてくれなかったけど、生まれ変わった時駆け付けてくれたんだ。言わばお父さんみたいなものかな』
「…」
『オルフェノクとしての生き方を教えてくれたのは冴子さん。こっちはお母さんみたいな存在だね』
「…」
『オルフェノクの生命は長くない』
「なんだって?」
『これは本当さ。俺は、人間を手にかけオルフェノクとして蘇らせることでその生命の秘密が解き明かされると思ってる。それに』
「それに?」
『人間を手にかける衝動が抑えられない…これはきっと本能だ。仲間を増やすためのね。俺は本能に抗って生きることは出来ない』
「そんなことない…!」
『事実、木場さんも殺してるんだろう?親戚と婚約者を…本能を抑え込んでいるなら解放した方が良い。きっと』
言いかけて、俺の携帯が鳴った。
『はい、冴子さん?うん。うん…分かった』
簡潔に伝えられた内容に俺は、頷く。
『ごめん木場さん。俺もう行かなきゃ。大丈夫、冴子さんには木場さんのこと今まで話したことないから』
「ありがとう…?」
『俺、木場さんのこと好きだよ。でも、本能に抗ってなかったらもっと好きだった。じゃあね』
堤防を離れて駅に着くと、冴子さんが車で迎えに来てくれていた。
「またシーグラスの採集してたのね?」
『うん』
「可愛い子」
『ねえ冴子さん』
「なあに?坊や」
『裏切り者のオルフェノクはどうなるの?』
「私たちより先に死ぬ、かしらね。だって殺しちゃうから。でも、王の力があれば永遠」
『王の力…』
「そう」
『今からどこへ行くの?』
「村上くんがバーに集まって欲しいって。なんでも、新しい子が来るみたいなのよ。あなたと同じくらいの年齢の…確か名前は…澤田くん、だったかしら」
『ふうん。俺、人間の時は病気がちでずっと病院にいたから同い年の友達が欲しいや』
「そう…」
ここまで電車にのんびり揺られやってきた。
海を眺めるようにして二人は堤防の上に座り込む。
潮風が懐かしい気持ちにさせてくれた。
『木場さん』
隣に座った彼に声をかけると、小首を傾げ、こちらを覗き込んできた。
「平手くん、どうしたの?」
『昨日の話…』
言いかけると彼は思い出したようで。
「ああ、あれね」
途端にパッと明るい顔をする。
「なんだったの?」
昨日の話、と言っても。言いかけてまた明日、と尻切れトンボになっていた話だ。まだなにも彼に伝えていない。
『俺も』
「うん」
まるでこの世界に二人きりみたいな。
耳に入るのは風と、静かに波が打ち寄せる音と、彼の声だけ。
『俺も、オルフェノクなんだ』
「…」
彼は目を見開き、またいつもの顔に戻る。
『木場さんと出会ったこの海で、いつか絶対打ち明けようと思ってたんだ』
そう、彼との出会いはここから始まった。
俺がいつものようにシーグラス採集に夢中になっていた時のこと。突然、奥の茂みから傷だらけの彼がフラフラとこちらに向かってきたのだ。倒れる寸前の彼を受け止めて木陰で休ませてやると、目が覚めたときに何度もお礼を言われた。
倒れる寸前、彼の顔にオルフェノクの紋章が浮かんでいた。
その時彼が裏切り者のオルフェノクであることを知ってしまった。だって茂みから姿を消した相手は、スマートブレインのネクタイピンを身に着けた、スマートブレインの社員だったのだから。
俺が目の良い鷹のオルフェノクでなければ、ネクタイピンなんてものに気付かずに済んだのに。
『今まで隠しててごめん』
「いいよ。君は…平手くんは、俺の仲間なんだろう?」
ああ、なんて彼は優しいのだろう。
でも俺は彼の言葉に頷くことができない。
『ごめん…』
俺は徐ろにシャツを脱いだ。
「…っ!!それは」
胸に彫られたスマートブレインのロゴマーク。
『俺は村上社長に救われた。死んだ時は誰も見届けてくれなかったけど、生まれ変わった時駆け付けてくれたんだ。言わばお父さんみたいなものかな』
「…」
『オルフェノクとしての生き方を教えてくれたのは冴子さん。こっちはお母さんみたいな存在だね』
「…」
『オルフェノクの生命は長くない』
「なんだって?」
『これは本当さ。俺は、人間を手にかけオルフェノクとして蘇らせることでその生命の秘密が解き明かされると思ってる。それに』
「それに?」
『人間を手にかける衝動が抑えられない…これはきっと本能だ。仲間を増やすためのね。俺は本能に抗って生きることは出来ない』
「そんなことない…!」
『事実、木場さんも殺してるんだろう?親戚と婚約者を…本能を抑え込んでいるなら解放した方が良い。きっと』
言いかけて、俺の携帯が鳴った。
『はい、冴子さん?うん。うん…分かった』
簡潔に伝えられた内容に俺は、頷く。
『ごめん木場さん。俺もう行かなきゃ。大丈夫、冴子さんには木場さんのこと今まで話したことないから』
「ありがとう…?」
『俺、木場さんのこと好きだよ。でも、本能に抗ってなかったらもっと好きだった。じゃあね』
堤防を離れて駅に着くと、冴子さんが車で迎えに来てくれていた。
「またシーグラスの採集してたのね?」
『うん』
「可愛い子」
『ねえ冴子さん』
「なあに?坊や」
『裏切り者のオルフェノクはどうなるの?』
「私たちより先に死ぬ、かしらね。だって殺しちゃうから。でも、王の力があれば永遠」
『王の力…』
「そう」
『今からどこへ行くの?』
「村上くんがバーに集まって欲しいって。なんでも、新しい子が来るみたいなのよ。あなたと同じくらいの年齢の…確か名前は…澤田くん、だったかしら」
『ふうん。俺、人間の時は病気がちでずっと病院にいたから同い年の友達が欲しいや』
「そう…」