イ反面ライダー555
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『真理、洗面台に置いた液処理してもらっていいか?』
「もうやりましたよ」
『さすが。ありがとう』
営業時間後、平手流星と後輩の園田真理は揃って閉店作業をしていた。二人が勤めるこの美容院は駅前という立地も相まって客足は少なくない。客の入りによっては毎日行う閉店後の作業が少し辛い日もあるが、好きな事をして収入を得ることの喜びは何にも代え難い。
「突然なんですけど流星さん、この後空いてます?また今回もうちに木場さん達を呼んで鍋パするんですけど」
木場と言うのは真理が居候をしているクリーニング店の常連客で、さらには真理繋がりで美容室もご贔屓にしてくれている人物のことだ。木場さん達という事は木場と一緒に住んでいる海堂や長田も来るのだろう。流星がこの後の予定を軽く思案し誘いを了承すると、真理の片付けの手が早まった。
最速で店内の片付けを終えると、扉の鍵を閉めて階段を降りる。その後は近隣の提携駐車場に停めている流星の車に二人して乗り込んだ。古いタイプのセダンだが、若者が乗ると逆にお洒落に見えるようで、意外と美容師仲間からも評判が良い。加えて乗り心地も年代物の割にはしっくりと身体に馴染む。
真理の家には仕事が長引いた時など送迎のために何度か行ったことがあり、最早道案内は不要だった。美容院から真理の家までは車で数分。車内でこれと言った会話をすることなくクリーニング屋の裏に車を止め裏口から入ると、既に騒がしく、鍋の中も程よく具材が整っていた。
「おー流星おせーぞ」
海堂が火の調節をしながら話しかけてきた。
『店の片付けしてたんだよ。つか、海堂久しぶり!』
「おう!あれまた流星顔シュッとした?」
海堂の背中をドンと叩くと、ノリの良い返事が帰ってきた。
『ちょっと痩せたかも。真理、さっきコンビニで買った飲み物って…』
「冷蔵庫入れておきましたよ」
『ありがとう』
具材が煮立ってきた頃、皆で乾杯し宴が始まった。
真理と結花は女子ならではの話題で盛り上がり、巧はひたすら取り分けた小皿をフーフーしている。ほろ酔いの啓太郎と海堂はそんな巧を見て笑い転げていた。そんな中黙々と鍋の具材の具合を確認し食べ続けている木場に流星は声をかけた。
『木場、久しぶり。食ってる?』
「うん」
『嘘つけ。お前野菜しか食ってねえじゃん。肉食え、肉』
流星はそう言いながら木場の小皿に肉をよそいまくる。
「流星酔ってるでしょ」
『そんなことねぇよ。なあ真理』
「なんですか?」
『明日休みだし、泊まっていってもいい?さっき飲んだやつ、ノンアルだと思ったらガッツリ酒で帰り運転出来ねえんだわ…』
「この部屋で雑魚寝なら良いですよ」
『喜んで』
一頻り騒いだ後、結花は二階の部屋で真理に寝かしつけられ、海堂は酔っ払ってフローリングに行き倒れていた。木場御一行も流星と同じく無事に帰れる様子ではない。
「流星」
『ん?』
「俺の家に来なよ。ここで雑魚寝するより海堂の部屋借りて寝た方が良い。車は明日取りに来れば解決するだろう」
木場とはそれなりに親しい友人だが、家を訪ねるのは初めてだ。結花や海堂と住んでいるというマンションは一体どんな所なのだろうか。流星はつい好奇心から二つ返事で行くと答えてしまった。
真理と啓太郎と巧に別れを告げ、俺達は木場の運転で出発した。
『木場偉いね、酒飲まなかったんだ』
「当たり前。長田さんと海堂連れてきたんだから」
『俺飲んじゃったのに…』
首都高を降りてしばらくするとマンションへ到着した。
こんな高層マンションに大手企業傘下のベンチャー子会社のロールモデルとして三人で住んでいるだなんて、余程選ばれた人材なのだろう。エレベーターで一気に上層階へと上がると、どうやらこの上層階フロアには片手で数えられる程の部屋数しか無いようだった。ドアを開けるとそこにはモデルルームのような静けさがあった。
『広っ。木場はこんな綺麗なところに結花と海堂と住んでたのか…』
「うん」
『家賃月いくら?』
「さあ。俺払ってないんだ」
『はあ!?どういうこと』
「会社持ちなんだ」
『セレブかよ。ここで寝ていい?』
「そこ俺のベッドなんだけど」
『もうムリ、一歩も動けねえ』
「酔っ払いめ」
『木場、こっち来て』
木場は言われたとおりベッドへ向かい、中途半端に開いたカーテンの隙間から一緒に空を眺めた。
『綺麗に見えるな、ここは。さすがマンション高層階』
「気に入ってくれたようで何より」
『木場』
振り向けば星を見ていたはずの流星の顔が俺のすぐ隣にある。
「なに…?」
『髪伸びたね』
そう言って流星は俺の前髪を梳かして微笑んだ。
「こういうのは女の子にやるものだよ」
『木場女の子でしょ』
「ちがうよ」
『木場が気づいていないだけで、かわいいところ沢山あるんだよ』
流星は相当酔っているらしく、子どもっぽい。普段の頼りがいのある落ち着いた性格が嘘のようだ。
「具体的には?どんなところ?」
木場は面白がって聞いてみることにした。
『まず仕草がかわいいでしょ。んで、髪の毛サラサラでしょ。目が大きいでしょ。口もとがかわいいでしょ…』
「もういいよ」
『えーもっと話したい』
「もういいってば」
『はいはい。そろそろこのサラサラの髪の毛切らないとな。毛量増えてきて辛いでしょ』
「うん」
『明日辺り店おいで。真理も喜ぶだろうし』
「園田さんが?」
『今日の鍋パの時にはさすがに言えなかったけど、真理、木場のこと好きだからさ』
「園田さんが?俺のことを?」
『そう。だからそろそろ2人とも付き合いなよ』
「俺にだって好きな人がいるのに、選ぶ権利がないんだね」
『えっ誰!?俺が知ってる人?』
「知ってる」
『結花?』
「違うよ。長田さんは海堂のことが好きだから」
『え?でも海堂は真理のことが好きなんだろ?んで、真理が木場のことを好きで…そうなると木場は?』
「俺は…流星が好き」
『へ、俺?相思相愛じゃん。俺も木場好きだよ』
そう言いながらワシワシと木場の頭を撫でる。
「流星は俺と付き合ってくれる?」
『いいよ…?』
そう言ったきり流星は限界を迎えたようで深い眠りへと落ちてしまった。
「もうやりましたよ」
『さすが。ありがとう』
営業時間後、平手流星と後輩の園田真理は揃って閉店作業をしていた。二人が勤めるこの美容院は駅前という立地も相まって客足は少なくない。客の入りによっては毎日行う閉店後の作業が少し辛い日もあるが、好きな事をして収入を得ることの喜びは何にも代え難い。
「突然なんですけど流星さん、この後空いてます?また今回もうちに木場さん達を呼んで鍋パするんですけど」
木場と言うのは真理が居候をしているクリーニング店の常連客で、さらには真理繋がりで美容室もご贔屓にしてくれている人物のことだ。木場さん達という事は木場と一緒に住んでいる海堂や長田も来るのだろう。流星がこの後の予定を軽く思案し誘いを了承すると、真理の片付けの手が早まった。
最速で店内の片付けを終えると、扉の鍵を閉めて階段を降りる。その後は近隣の提携駐車場に停めている流星の車に二人して乗り込んだ。古いタイプのセダンだが、若者が乗ると逆にお洒落に見えるようで、意外と美容師仲間からも評判が良い。加えて乗り心地も年代物の割にはしっくりと身体に馴染む。
真理の家には仕事が長引いた時など送迎のために何度か行ったことがあり、最早道案内は不要だった。美容院から真理の家までは車で数分。車内でこれと言った会話をすることなくクリーニング屋の裏に車を止め裏口から入ると、既に騒がしく、鍋の中も程よく具材が整っていた。
「おー流星おせーぞ」
海堂が火の調節をしながら話しかけてきた。
『店の片付けしてたんだよ。つか、海堂久しぶり!』
「おう!あれまた流星顔シュッとした?」
海堂の背中をドンと叩くと、ノリの良い返事が帰ってきた。
『ちょっと痩せたかも。真理、さっきコンビニで買った飲み物って…』
「冷蔵庫入れておきましたよ」
『ありがとう』
具材が煮立ってきた頃、皆で乾杯し宴が始まった。
真理と結花は女子ならではの話題で盛り上がり、巧はひたすら取り分けた小皿をフーフーしている。ほろ酔いの啓太郎と海堂はそんな巧を見て笑い転げていた。そんな中黙々と鍋の具材の具合を確認し食べ続けている木場に流星は声をかけた。
『木場、久しぶり。食ってる?』
「うん」
『嘘つけ。お前野菜しか食ってねえじゃん。肉食え、肉』
流星はそう言いながら木場の小皿に肉をよそいまくる。
「流星酔ってるでしょ」
『そんなことねぇよ。なあ真理』
「なんですか?」
『明日休みだし、泊まっていってもいい?さっき飲んだやつ、ノンアルだと思ったらガッツリ酒で帰り運転出来ねえんだわ…』
「この部屋で雑魚寝なら良いですよ」
『喜んで』
一頻り騒いだ後、結花は二階の部屋で真理に寝かしつけられ、海堂は酔っ払ってフローリングに行き倒れていた。木場御一行も流星と同じく無事に帰れる様子ではない。
「流星」
『ん?』
「俺の家に来なよ。ここで雑魚寝するより海堂の部屋借りて寝た方が良い。車は明日取りに来れば解決するだろう」
木場とはそれなりに親しい友人だが、家を訪ねるのは初めてだ。結花や海堂と住んでいるというマンションは一体どんな所なのだろうか。流星はつい好奇心から二つ返事で行くと答えてしまった。
真理と啓太郎と巧に別れを告げ、俺達は木場の運転で出発した。
『木場偉いね、酒飲まなかったんだ』
「当たり前。長田さんと海堂連れてきたんだから」
『俺飲んじゃったのに…』
首都高を降りてしばらくするとマンションへ到着した。
こんな高層マンションに大手企業傘下のベンチャー子会社のロールモデルとして三人で住んでいるだなんて、余程選ばれた人材なのだろう。エレベーターで一気に上層階へと上がると、どうやらこの上層階フロアには片手で数えられる程の部屋数しか無いようだった。ドアを開けるとそこにはモデルルームのような静けさがあった。
『広っ。木場はこんな綺麗なところに結花と海堂と住んでたのか…』
「うん」
『家賃月いくら?』
「さあ。俺払ってないんだ」
『はあ!?どういうこと』
「会社持ちなんだ」
『セレブかよ。ここで寝ていい?』
「そこ俺のベッドなんだけど」
『もうムリ、一歩も動けねえ』
「酔っ払いめ」
『木場、こっち来て』
木場は言われたとおりベッドへ向かい、中途半端に開いたカーテンの隙間から一緒に空を眺めた。
『綺麗に見えるな、ここは。さすがマンション高層階』
「気に入ってくれたようで何より」
『木場』
振り向けば星を見ていたはずの流星の顔が俺のすぐ隣にある。
「なに…?」
『髪伸びたね』
そう言って流星は俺の前髪を梳かして微笑んだ。
「こういうのは女の子にやるものだよ」
『木場女の子でしょ』
「ちがうよ」
『木場が気づいていないだけで、かわいいところ沢山あるんだよ』
流星は相当酔っているらしく、子どもっぽい。普段の頼りがいのある落ち着いた性格が嘘のようだ。
「具体的には?どんなところ?」
木場は面白がって聞いてみることにした。
『まず仕草がかわいいでしょ。んで、髪の毛サラサラでしょ。目が大きいでしょ。口もとがかわいいでしょ…』
「もういいよ」
『えーもっと話したい』
「もういいってば」
『はいはい。そろそろこのサラサラの髪の毛切らないとな。毛量増えてきて辛いでしょ』
「うん」
『明日辺り店おいで。真理も喜ぶだろうし』
「園田さんが?」
『今日の鍋パの時にはさすがに言えなかったけど、真理、木場のこと好きだからさ』
「園田さんが?俺のことを?」
『そう。だからそろそろ2人とも付き合いなよ』
「俺にだって好きな人がいるのに、選ぶ権利がないんだね」
『えっ誰!?俺が知ってる人?』
「知ってる」
『結花?』
「違うよ。長田さんは海堂のことが好きだから」
『え?でも海堂は真理のことが好きなんだろ?んで、真理が木場のことを好きで…そうなると木場は?』
「俺は…流星が好き」
『へ、俺?相思相愛じゃん。俺も木場好きだよ』
そう言いながらワシワシと木場の頭を撫でる。
「流星は俺と付き合ってくれる?」
『いいよ…?』
そう言ったきり流星は限界を迎えたようで深い眠りへと落ちてしまった。