イ反面ライダー555
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イチョウの木が並ぶ長い通り。
僕は弟分であるゴールデンレトリバーのカイと散歩に来ていた。
今日はいつもの散歩コースを変更してここを歩いている。
会社に通勤、そして帰路につく。その中に季節感は全くない。
いつもの散歩コースもアスファルトの上をただ歩くだけ。
秋を感じたかった。
そんな事をぼんやり考えながら。
「ワン!ワンワン!」
偶然カイの首輪が外れた。
ぼんやりしていた思考にいきなりの衝撃。
『え!?あ…おい!カイ!カイ!!』
カイはいつもと違う散歩コースに興奮しているのだろう。すっげー早く走ってやがる。
カイは一直線に走り、誰かの前で停止。
なんだ?あいつ誰だ?
カイは嬉しそうに尻尾を振っている。
カイは僕にしか懐かない。家にセールスなんかが訪ねて来ると小屋でじっと大人しくして帰るまで姿を見せない。うん、恥ずかしがり屋でもあるな。
そんなカイがちぎれるくらい尻尾振ってんだ。そんな知り合い僕にいたか?いや、そんなやつ僕は知らない。
とりあえず思考しながらカイの突っ走った200mを追う。
会社に勤める様になってから足腰鍛える様な事はしていない。すぐに疲れた。僕、もうオッサン?
そうして軽く息を切らして一人と一匹の元へ。
『すいません…ハァ…ウチの犬が…ハァ…勝手に…』
礼を言った。すっげー息切れしてんじゃんどんだけ疲れてんの僕。
「いえいえ、気にしないでください」
『いやもうホント…ハァ…ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ』
疲れも合間ってやけくそで謝る。
「でもさ、すごく大きくなったよね…カイ」
そいつはカイの胴をわしゃわしゃとやりながら言った。こいつやっぱり僕の知り合いなの?なんでカイの成長過程知ってんだよ。
そう思いながら僕は息切れで前かがみになっていた身体を無理矢理起こす。
『……木場…?』
「久しぶり、流星」
『おお、久しぶり』
木場だった。
こいつとはが高校が同じで、クラス替えがあるにも関わらず三年間同じクラスだった。
大学は学びたいことなんかが違ったから僕は国際科のある大学へ、木場は建築科のある大学へ。
受験勉強中は、カイも入れるカフェでよく勉強を教えてもらっていた。
そんな旧友と突然の再開。
言葉なんか急すぎて全然出てこなかった。
本当久しぶりだよ。
僕らはベンチに腰掛けて少し語らうことにした。カイの首輪もしっかり繋いだ。
『木場、今何やってんの?』
「ん?散歩中だけど?」
『違うよ、そういうんじゃなくて。大学とかさ…』
「!ああ、そういう事か。今は、ちょっと…」
『ん?』
何かあったのだろうか。
何かあったのだろう。
木場はずいぶんと長い間考え込んでいる。
「今はね、」
『!』
僕が思考の川をどんぶらこしてたら、急に木場が口を開いた。なんか今日は急な事が多い。
僕が考え込んでいるからか。
「…流星?」
『ごめん、どんぶらこしてたわ』
「え?」
『?あ、いやなんでもない』
「そう」
『それよりさ、続き』
「ああ、えっと」
僕は話を促す。
「今は大学で建築、設計学んでる。父が建築士だからそのあとを継ぐつもり。でもまあ、自分で下積みしてからだけどね」『そうなんだ』
深く考え込んでいた割には簡単な答えだった。
なんでこんな時間をかけてそれだけの答えなんだよと問いたかったが、まあいいや。
「流星は?」
『僕は今国際科で頑張ってる。この前なんかはアフリカに国際ボランティア行ってきたんだぜー』
「すごいね、流星」
『いーや、すごくないよ。僕が好きでやってることだから。そういう木場はなんだよ、頑張ってないのか~?』
おちょくってるみたいに問いかけてみた。そしたら。
「頑張ってるよ」
そうだよな。木場のやつすっげー昔から要領いいし頑張り屋だし。
カイがもう帰ろうと僕にすり寄る。
あたりには冷たい風が吹きはじめている。そんなに長くは話してないはずなのに。
腕時計を確認する。
再開してから二時間と十五分。
結構話し込んだな。
『僕そろそろ帰らなきゃ。カイが飯食いたいってさ』
「そっか」
『明日、暇?』
唐突に聞いてみた。
「うん、明日、暇だよ」
木場が答えた。
『じゃあさ、昔通ったカフェ行こうよ』
「え?」
『んー十五時くらいでいい?』
木場はいつも聞き役だった。だからこうやって僕がさっさと決めてしまう。
高校時代、多少無茶なことを言っても木場のい答えはいつもOKだった。「いいよ」って。
「いいよ」
ほらね。久々にあった今日もこの返しだ。
『じゃあ、また明日』
「うん」
僕は腹が減って仕方がないカイと来た道を戻る。
結局、今日会話したと言ってもほとんど僕が木場に話しかけてるだけだった。
高校でもこんな感じだったな。
高校時代がすごく昔の事の様。
あれから、僕は変わった。
僕は大学に進学して一ヶ月、アスファルトの上をカイと散歩中にトラックに引かれて死んだ。
僕とカイは即死だったらしい。
トラックの運転手は僕とカイを遠く離れた山中に捨てて逃げた。
そこで僕らはオルフェノク化した。
スマートレディが生き返った僕達をスマートブレイン社まで連れてきていろんな事をレクチャーしてくれた。
今はスマートブレイン社の社員だ。
木場はきっとオルフェノクなんか知らない。
僕はオルフェノクなんだと伝えても理解なんかできないだろう。
それでいい。
『どうする?カイ?明日、木場と何話そうか?』
「クゥ~ン」
『ふはは。そっかー早く飯食いたい、かー』
僕らは明日木場に話すたわいない大学生活を想定しながら、スマートブレイン社への帰路についた。
僕は弟分であるゴールデンレトリバーのカイと散歩に来ていた。
今日はいつもの散歩コースを変更してここを歩いている。
会社に通勤、そして帰路につく。その中に季節感は全くない。
いつもの散歩コースもアスファルトの上をただ歩くだけ。
秋を感じたかった。
そんな事をぼんやり考えながら。
「ワン!ワンワン!」
偶然カイの首輪が外れた。
ぼんやりしていた思考にいきなりの衝撃。
『え!?あ…おい!カイ!カイ!!』
カイはいつもと違う散歩コースに興奮しているのだろう。すっげー早く走ってやがる。
カイは一直線に走り、誰かの前で停止。
なんだ?あいつ誰だ?
カイは嬉しそうに尻尾を振っている。
カイは僕にしか懐かない。家にセールスなんかが訪ねて来ると小屋でじっと大人しくして帰るまで姿を見せない。うん、恥ずかしがり屋でもあるな。
そんなカイがちぎれるくらい尻尾振ってんだ。そんな知り合い僕にいたか?いや、そんなやつ僕は知らない。
とりあえず思考しながらカイの突っ走った200mを追う。
会社に勤める様になってから足腰鍛える様な事はしていない。すぐに疲れた。僕、もうオッサン?
そうして軽く息を切らして一人と一匹の元へ。
『すいません…ハァ…ウチの犬が…ハァ…勝手に…』
礼を言った。すっげー息切れしてんじゃんどんだけ疲れてんの僕。
「いえいえ、気にしないでください」
『いやもうホント…ハァ…ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ』
疲れも合間ってやけくそで謝る。
「でもさ、すごく大きくなったよね…カイ」
そいつはカイの胴をわしゃわしゃとやりながら言った。こいつやっぱり僕の知り合いなの?なんでカイの成長過程知ってんだよ。
そう思いながら僕は息切れで前かがみになっていた身体を無理矢理起こす。
『……木場…?』
「久しぶり、流星」
『おお、久しぶり』
木場だった。
こいつとはが高校が同じで、クラス替えがあるにも関わらず三年間同じクラスだった。
大学は学びたいことなんかが違ったから僕は国際科のある大学へ、木場は建築科のある大学へ。
受験勉強中は、カイも入れるカフェでよく勉強を教えてもらっていた。
そんな旧友と突然の再開。
言葉なんか急すぎて全然出てこなかった。
本当久しぶりだよ。
僕らはベンチに腰掛けて少し語らうことにした。カイの首輪もしっかり繋いだ。
『木場、今何やってんの?』
「ん?散歩中だけど?」
『違うよ、そういうんじゃなくて。大学とかさ…』
「!ああ、そういう事か。今は、ちょっと…」
『ん?』
何かあったのだろうか。
何かあったのだろう。
木場はずいぶんと長い間考え込んでいる。
「今はね、」
『!』
僕が思考の川をどんぶらこしてたら、急に木場が口を開いた。なんか今日は急な事が多い。
僕が考え込んでいるからか。
「…流星?」
『ごめん、どんぶらこしてたわ』
「え?」
『?あ、いやなんでもない』
「そう」
『それよりさ、続き』
「ああ、えっと」
僕は話を促す。
「今は大学で建築、設計学んでる。父が建築士だからそのあとを継ぐつもり。でもまあ、自分で下積みしてからだけどね」『そうなんだ』
深く考え込んでいた割には簡単な答えだった。
なんでこんな時間をかけてそれだけの答えなんだよと問いたかったが、まあいいや。
「流星は?」
『僕は今国際科で頑張ってる。この前なんかはアフリカに国際ボランティア行ってきたんだぜー』
「すごいね、流星」
『いーや、すごくないよ。僕が好きでやってることだから。そういう木場はなんだよ、頑張ってないのか~?』
おちょくってるみたいに問いかけてみた。そしたら。
「頑張ってるよ」
そうだよな。木場のやつすっげー昔から要領いいし頑張り屋だし。
カイがもう帰ろうと僕にすり寄る。
あたりには冷たい風が吹きはじめている。そんなに長くは話してないはずなのに。
腕時計を確認する。
再開してから二時間と十五分。
結構話し込んだな。
『僕そろそろ帰らなきゃ。カイが飯食いたいってさ』
「そっか」
『明日、暇?』
唐突に聞いてみた。
「うん、明日、暇だよ」
木場が答えた。
『じゃあさ、昔通ったカフェ行こうよ』
「え?」
『んー十五時くらいでいい?』
木場はいつも聞き役だった。だからこうやって僕がさっさと決めてしまう。
高校時代、多少無茶なことを言っても木場のい答えはいつもOKだった。「いいよ」って。
「いいよ」
ほらね。久々にあった今日もこの返しだ。
『じゃあ、また明日』
「うん」
僕は腹が減って仕方がないカイと来た道を戻る。
結局、今日会話したと言ってもほとんど僕が木場に話しかけてるだけだった。
高校でもこんな感じだったな。
高校時代がすごく昔の事の様。
あれから、僕は変わった。
僕は大学に進学して一ヶ月、アスファルトの上をカイと散歩中にトラックに引かれて死んだ。
僕とカイは即死だったらしい。
トラックの運転手は僕とカイを遠く離れた山中に捨てて逃げた。
そこで僕らはオルフェノク化した。
スマートレディが生き返った僕達をスマートブレイン社まで連れてきていろんな事をレクチャーしてくれた。
今はスマートブレイン社の社員だ。
木場はきっとオルフェノクなんか知らない。
僕はオルフェノクなんだと伝えても理解なんかできないだろう。
それでいい。
『どうする?カイ?明日、木場と何話そうか?』
「クゥ~ン」
『ふはは。そっかー早く飯食いたい、かー』
僕らは明日木場に話すたわいない大学生活を想定しながら、スマートブレイン社への帰路についた。