人魚の呪い
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『私、人魚になるんだぁ』
「は?」
唐突な少女の発言に、少年は怪訝な顔をした
『水の中の方が音がよく聞こえる気がする』
だからきっと人魚になるんだよ
「…気のせいだろ」
『それでもいいの』
聞こえないよりは、よっぽど
少年は終始笑顔で話す少女から目を逸らす
少年の表情からは、その心情を読み取ることは出来なかった
「…なぁ、名前」
少年は少女に呼びかける
しかし窓の外を眺める少女は振り向かなかった
それは少女が意図してした行動ではないと知っている少年は、少女の手を取り再び呼びかける
「名前」
『…なぁに、空却』
少年は意識してゆっくり、はっきりと話す
「拙僧は、お前、が、」
そこまで言いかけ言葉が詰まる
それ以上は彼女を縛る呪いになると知っているから
『…空却、ごめんね』
これはもう決まっていることなの
「…っ」
これが、こうなることが最初から決まっていたのなら
なんのために生まれ、出会い、今まで生きてきたというのか
『でも、そうだなぁ…空却の声も、顔も、見れなくなっちゃうのは、悲しい、なぁ』
少女の少年を見つめる大きな瞳が揺れた
少年は少女を強く抱きしめる
初めて触れる彼女の身体は酷く冷たかった
まるで本当に人魚になってしまうんじゃないか、そう錯覚するほどに
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