バァン！隣で机を叩く音がした

｢おいクソ親父、コイツに余計な詮索すんじゃねぇ｣

『く、こ…さん…』

｢こんなに嫌がってるやつをわざわざ家に帰してどうすんだよ｣

｢すぐ感情的になりおって…それだからお前はいつまで経っても子供なのだ｣

｢あ"ぁ？！｣

｢…とにかく、事情があってすぐに帰りたくないというのなら警察に連絡すればいい。事情を話せば適切な対応をしてくれるだろう｣

『けい、さつ』

警察に行けば私はどうなるのだろうか

私は18歳になったと同時にあそこを出た
出る時は一刻も早くお母さんとの家に帰りたくて、誰にも報告せず着の身着のまま

あの人が私を探している可能性は０ではない
18歳の子供を放浪させてるとメディアに流れれば、きっとあの人にとって都合が悪いだろう

もし本当に私の事を探していたら？

警察に行けば強制的に連れ戻されるかもしれない

そうすればまた、ひとりぼっちのあの部屋に


｢…ぉぃ…おい！#夢主#！｣

空却さんに肩を揺らされ、ハッと我に返る

｢大丈夫か、顔色悪ぃぞ｣

心配そうに覗き込む空却さんに答える心の余裕はなかった

『…ご迷惑、なら、出ていきます、から、警察…警察だけは、やめてください』

スっと立ち上がり扉に向かう

「はぁ？！お、おい！待てよ#夢主#！｣

空却さんが私の肩を掴んで振り向かせる

｢落ち着け！出ていくったって当てはねぇんだろ？！それにこんな雨の中出ていってどうする気だよ！！｣

『でも…』

言いかけたところで足に力が入らなくなり立っていられなくなった

空却さんは突然倒れてきた私に驚きながらも受け止めてくれる

｢っ？！いきなりどうし…！テメェまさか熱あるんじゃ｣

朦朧とした意識の中で空却さんがお父さんに何か叫ぶ声が聞こえたが、聞き取れず深い眠りに落ちた