｢つってもまあ、まずは親父の説得から初めねーといけんがな｣

ヒャハッと笑う空却さん

空却さん…もしかして…

｢てか#夢主#、髪乾かしてねぇよな？｣

『…あ…ドライヤーは許可もらってから使わせて頂こうと…』

｢別に気ぃ使わんでいいのによ。しゃーねぇな。おら、そこ座れ｣

立ち上がった空却さんにぐっと押され座らされると、肩にかけていたタオルで髪ををわしゃわしゃと拭かれた

『わ、わ』

空却さん、絶対捨て猫を拾った感覚でいる…！

空却さんはふと手を止め私の顔をじっと見つめる

この人は人を凝視するのにあまり躊躇いがないのだろうか

…空却さんのような美形の人に見つめられるのは正直あまり嫌な気持ちはしないというか…なんというか…照れる

『く、空却さん？』

｢ん、そういえばテメェ歳いくつだ？｣

…なんとなく話を逸らされたような

『18、です』

｢なんだ、拙僧と1つしか違わねぇのか｣

ということは空却さんは19歳なんだ…ちょっと意外

｢18っつーと…十四も18だったっけな｣

『十四？』

｢あー、十四ってのは…いや、まぁ会ったときでいいだろ。それよりよぉ、1つしか違わねぇなら別に｣

突然、空却さんの言葉を遮るように居間の扉が開けられた

｢くらぁッ！空却！！買ってきた物を玄関に置きっぱなしにするなと何度言わせれ…ば…｣

すごい形相で入ってきた男の人は私の顔を見るやいなや目を丸くする

空却さんは一瞬ゲッと表情を曇らせたが、ぱっと私の頭から手を離すと男の人を親指でさしながら紹介した

｢拙僧の親父だ｣

『…お、おじゃましてます…』

｢別にこんな奴にかしこまんなくていいぜー。…んで親父｣

空却さんがお父さんの方に向き直る

｢コイツは#夢主#。今日から一緒に住む事にした｣

｢…は？｣

そ、そりゃそんな反応になりますよね…！