掴まれた腕と少年を交互に見る

赤髪の映える整った顔に長いまつ毛、耳や指は沢山のピアスやシルバーがキラキラと輝いていた
そしてスカジャンの下に…袈裟…？

『え…と…』

｢雨ん中、傘ささずに、何してんだ｣

追求の口調が強くなる度少年の眉間のしわが深くなる

な、なんでこの人こんなに怒ってるの？

『と、特に…何も』

｢ンでわざわざ雨ん中何もなしに突っ立ってんだよ｣

『そ…れは…』

口篭り目を泳がせた私を見て、少年は少々思案する表情を見せた

短い沈黙が流れる

あれ…？さっきから雨に濡れないと思ったら…傘…傾けてくれて…

｢おい｣

『は、はい！』

｢テメェ、帰る場所は？｣

ビクッと肩を震わせる
少年の目に全てを見透かされている気がした

私が答えられずにいると

｢おら、行くぞ｣

『…え？』

どこに？

そう聞く前に少年は私の腕を引いて歩き出した

『あ、あの、私』

｢いいから黙って着いてこい｣

有無を言わさない口調と離してくれそうにない腕に、私は黙って着いていくしか無かった